このような軽い気持ちで他人から金銭をだましとった場合、「寸借詐欺」として詐欺罪に問われる可能性があります。
被害額が少額であっても、逮捕に発展するケースは実際に発生しています。
逮捕されるリスクを減らしたいのであれば、適切かつ慎重な対応が必要です。
本記事では、寸借詐欺の意味や罰則、逮捕されるリスクについて解説します。
あわせて、弁護士に相談するメリットも紹介しているので、詐欺罪で捕まるかもしれないと不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
寸借詐欺とは、実際には返済するつもりのない人が、他人の親切心につけ込んで、あとで返すフリをして少額のお金をだまし取る行為をいいます。
数百円から数千円程度と、「これくらいなら貸してもいいか」と思わせる金額を要求するケースが多いのが特徴です。
また、「もうすぐ電車が来る」「急いで病院に行かなくてはならない」など、緊急性を強調して相手に考える時間を与えず、判断を鈍らせる手口がよく使われます。
そのほかにも、「家族が倒れた」「財布を落として困っている」など、断りにくい理由を持ち出して頼みごとをしてくるのも常套手段です。
寸借詐欺は、刑法第246条の「詐欺罪」に該当する可能性があります。
(詐欺)
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
引用元:刑法 | e-Gov 法令検索
詐欺罪が成立するためには、以下の4つ全ての要件を満たす必要があります。
詐欺罪の法定刑は「10年以下の拘禁刑」であり、重大な財産犯として位置づけられます。
また、詐欺罪は未遂でも処罰されます。
そのため、相手から実際にお金を受け取らなくても、嘘をついて金銭をだまし取ろうという実行行為をした時点で、詐欺罪の未遂として刑事責任を問われる可能性があることを覚えておきましょう。
寸借詐欺は、少額の金銭をだまし取る手口であるため「大したことはない」と軽く見られがちですが、れっきとした詐欺罪に該当します。
そのため、事件が発覚すれば逮捕される可能性があります。
ここでは、実際に逮捕されるに至った寸借詐欺の事例を3件紹介します。
2024年、仙台市泉区の繁華街で、見知らぬ通行人に声をかけて金銭をだまし取る寸借詐欺の事件が相次ぎました。
容疑者は18歳の男性で、2024年8月から10月にかけて、「財布を落として家に帰れない」などと話し、通行中の男女に同情を誘ってタクシー代などの名目で現金を要求していました。
また、「携帯電話を忘れて困っている」「母親の電話番号を教える」などと言い、偽名や偽の連絡先を伝えて相手を信用させていたとされています。
被害者は高校生を含む5人で、被害額は1人あたり5,000円〜3万円、合計約8万5,000円でした。
【参考】「財布を落として…」善意につけ込む寸借詐欺で18歳男逮捕 | khb東日本放送
2023年、愛媛県松山市で、面識のない相手に金銭を要求してだまし取る寸借詐欺の事件が発生しました。
容疑者は41歳の無職の女性で、2023年10月、松山市内に住む46歳の女性宅を突然訪れ、「親戚が不在でお金を借りられなかった」「ガソリン代として5,000円だけ貸してほしい」と頼み込んで、現金5,000円を騙し取ったとされています。
被害者とは面識がなかったものの、容疑者は信用を得るために身分証明書のコピーを渡し、携帯電話番号も伝えていました。
しかし、その後連絡が取れなくなり、不審に思った被害者が警察に相談しました。
その後、身分証明書の情報から容疑者が特定され、逮捕に至りました。
【参考】「当てはないが返済する気がなかったわけではない」 面識ない女性に「ガソリン代として5000円貸して」 詐欺容疑で女(41)を逮捕(愛媛・松山市) | TBS NEWS DIG
2019年12月から2020年1月にかけて、佐賀県内で複数の施設を訪ね歩き、うその理由で金銭をだまし取った寸借詐欺の事件が発生しました。
容疑者は、住所不定・無職の51歳の男性です。
鹿島市の理髪店や鳥栖市の病院、運送会社などを訪れ、「娘が交通事故に遭ったので急いで熊本に帰りたい」「交通費がなく困っている」などと話して、1万円ずつの現金を受け取っていました。
被害は3件で、被害額は合計3万円にのぼりました。
【参考】「1万円貸して」寸借詐欺の男起訴内容を否認【佐賀県】|佐賀のニュース|サガテレビ
寸借詐欺で逮捕されると、さまざまなデメリットを被ります。
ここでは、代表的なデメリットを2つ紹介します。
寸借詐欺で逮捕されると、すぐに釈放されない限り、勾留決定が出るまで、通常は少なくとも2日〜3日間、警察署の「留置場」で身柄を拘束されます。
釈放されない限り、勾留決定後まで外部と連絡を取れず、たとえ家族であっても面会が認められません。
また、警察や検察の判断によっては、逮捕後1~2日後になされる検察官による勾留請求をされた日から最長20日間身柄拘束が続きます。
裁判官からの接見禁止が付かなければ、家族との面会は認められるようになりますが、自由に外出はできません。
このような長期間にわたる身柄拘束によって、仕事や学校を休まざるを得なかったり、周囲に逮捕された事実が知られてしまったりするなど、社会的な不利益を被る可能性があります。
逮捕されると、「逮捕歴(前歴)」として記録が残ります。
逮捕歴とは、刑事事件の被疑者として警察に逮捕された事実を意味します。
前歴とは、逮捕歴も含めた刑事手続きに関与した履歴を意味します。
逮捕歴は、逮捕された時点で警察や検察などの捜査機関に保存されます。
たとえ不起訴処分になった場合や、裁判で無罪となった場合でも、逮捕歴(前歴)が消えることはありません。
逮捕歴があると、将来別の刑事事件に関与した場合に「再犯のおそれがある」と判断され、刑罰が重くなる可能性がある点に注意が必要です。
とくに、過去の逮捕歴と同種の事件に再度関与した場合には、量刑判断においてより不利に扱われやすくなります。
寸借詐欺で逮捕されたときに被るデメリットを避けるためには、できるだけ早く弁護士に相談することがおすすめです。
ここでは、弁護士に相談する主なメリットを3つ紹介します。
弁護士に相談することで、取り調べでの受け答えについて事前に適切なアドバイスを受けられます。
寸借詐欺で逮捕されると、被疑者は警察官や検察官による取り調べを受けます。
取り調べの際、曖昧な発言や誤解を招くような言い回しをしてしまうと、自分に不利な内容の供述調書が作成され、そのまま裁判で使用されるおそれがあります。
その点、弁護士は取り調べでどのようなことを聞かれるのか、どのように対応すべきかを具体的に助言してくれるため、無用なトラブルを防げるでしょう。
また、弁護士の存在が抑止力となり、虚偽の自白を促すような不当な取り調べを防ぐ効果も期待できます。
弁護士は、被害者との示談交渉を代理人として適切に進めてくれます。
刑事事件における示談とは、加害者と被害者間の関係を清算するための示談契約のことです。
被害者と示談が成立していると、被害者の処罰感情がある程度緩和されていると検察官に評価され、結果的に不起訴処分となる可能性が高くなります。
示談交渉は早めに進めるべきですが、加害者本人が直接連絡を取ると、被害者に強い不信感や不安を与え、かえって状況が悪化するおそれがあります。
そこで、弁護士が交渉の窓口となることで、感情的な対立を避けつつ、冷静かつ丁寧に話し合いを進めることが可能です。
また、弁護士は示談書の作成や条件面の調整にも対応してくれます。
弁護士は、被疑者の身柄の早期釈放に尽力してくれます。
逮捕後にそのまま勾留が続くと、数週間にわたり身柄を拘束される可能性があります。
この間に学校や職場を休むとなると、周囲からの信頼を失いかねません。
弁護士は、裁判所や検察に対して「逃亡や証拠隠滅のおそれがない」といった点を丁寧に説明し、勾留の回避や早期釈放に向けた働きかけをおこなってくれます。<?span>
万が一勾留が決定してしまった場合でも、準抗告を申し立てるなどして、できるだけ早く社会復帰できるよう尽力してくれるでしょう。
本記事では、寸借詐欺の意味や詐欺罪に該当する要件、逮捕されるリスク、取るべき対応について解説しました。
寸借詐欺に該当する行為をおこなうと、詐欺罪に問われる可能性があります。
「返すつもりだった」「冗談だった」といった言い訳は通用せず、場合によっては逮捕されたり、前科がついたりすることもあります。
こうしたリスクを回避するには、できるだけ早く刑事事件に強い弁護士に相談することが重要です。
弁護士に相談すれば、取調べの対応方法や、被害者との示談交渉、不起訴処分を得るための戦略などについて具体的なアドバイスを受けられます。
ベンナビ刑事事件を利用すれば、詐欺事件を得意とする弁護士を簡単に探せます。
リスクをできるだけ軽減するためにも、不安を感じた段階で早めにご利用ください。
このような行為が何らかの法律に違反しないか、不安に感じている方も多いでしょう。
他人宛の郵便物などを許可なく開封すると、信書開封罪に問われる可能性があります。
しかし、全てのケースで罪が問われるわけではありません。
具体的な状況や開封した理由によっては、罪に問われないケースもあります。
本記事では、信書開封罪の性質や成立要件、刑罰や時効、実際に手紙などを誤って開封してしまった場合の対応方法について解説します。
正しい知識を持つことで、自分の行為が何らかの罪に該当するか判断できるようになりましょう。
信書開封罪とは、正当な理由がないにもかかわらず、封がされたままの信書を無断で開封した場合に成立する犯罪です。
他人のプライバシーや通信の秘密を保護するための規定です。
信書開封罪の根拠条文は、刑法第133条です。
第十三章 秘密を侵す罪
(信書開封)
第百三十三条 正当な理由がないのに、封をしてある信書を開けた者は、一年以下の拘禁刑又は二十万円以下の罰金に処する。
引用元:刑法|e-Gov 法令検索
ここからは、信書開封剤の成立要件や刑罰について、詳しく見ていきましょう。
信書開封罪の成立要件は、「正当な理由なく封をしてある信書を開けること」です。
成立要件の主なポイントは、以下の3つです。
それぞれについて、以下で詳しく説明します。
「正当な理由」があるとされるのは、法律や特別な事情により信書の開封が認められている場合を指します。
以下にて、「正当な理由がない」とされる主なケースと、「正当な理由がある」とされる主なケースをまとめましたので、ご確認ください。
| 「正当な理由」がないといえるケース | 「正当な理由」があるといえるケース |
| ・引っ越し先に届いた、前の住人宛の郵便物を興味本意で開封すること ・勤務先や組織内で、個人宛に送付された郵便物を勝手に開封すること ・宛名人の同意なしに郵便物を開封すること |
・夫宛てに届いた請求書を妻が開封すること ・破産管財人が、破産手続き中の破産者に届いた信書を開封すること ・捜査機関が、捜索差押許可状に基づいて被疑者宛の郵便物を開封すること ・親権者が、監護権の行使の一環として未成年の子ども宛ての信書を開封すること ・宛名人が、開封に同意していると推定できるとき |
「封をしてある」とは、信書の内容が第三者に見られないように密閉されている状態を指します。
以下にて、「封をしてある」とはいえない例といえる例をそれぞれまとめました。
| 「封をしてある」といえないもの | 「封をしてある」といえるもの |
| ・封筒の口をクリップで留めている ・紐で軽く結んでいる |
・セロハンテープでしっかり閉じられている ・ステープラーでしっかり閉じられている |
郵便法第4条第2項によると、信書とは「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」と定義されています。
つまり、個人間での意思伝達や連絡を目的とした文書が信書に該当します。
以下に、信書に該当するものと該当しないものの具体例をそれぞれまとめました。
| 信書に該当するもの | 信書に該当しないもの |
| ・書状 ・請求書など ・会議招集通知など ・許可証など ・各種証明書 ・ダイレクトメール |
・小切手 ・プリペイドカード ・乗車券 ・クレジットカード ・チラシやパンフレット ・遺言書 |
信書開封罪が成立すると、「1年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金」が科される可能性があります。
拘禁刑とは、従来の刑罰である懲役刑と禁錮刑を一本化した刑罰をいいます。
信書開封罪の公訴時効は「3年」と定められています。
公訴時効とは、一定の期間が経過すると検察官が被疑者を起訴できなくなる制度です。
公訴時効は、犯罪行為が終了した時点からカウントされます。
ここでいう「犯罪行為が終了した時点」とは、犯罪によって結果が発生した時点を含むと解釈されています。
信書開封罪では、実際に信書を開封した時点が犯罪行為の終了時点とみなされます。
そのため、信書を開封してから3年が経過すれば、刑事責任は問われなくなります。
刑法第135条では、信書開封罪が「親告罪」にあたることが定められています。
つまり、被害者が警察や検察に対して「処罰してほしい」と正式に告訴しなければ、検察官は事件を起訴できません。
起訴されなければ裁判が開かれることもなく、有罪判決を受けたり、前科がついたりすることもありません。
なお、告訴できる人物は信書の差出人だけではない点に注意が必要です。
信書が受取人に届いたあとであれば、受取人も告訴できると解されています。
ここでは、信書開封罪に関してよくある質問をまとめました。
似たような疑問を抱えている方は、ぜひここで疑問を解消してください。
信書開封罪は、家族間であっても成立する可能性があります。
ただし、実際に犯罪が成立するかどうかは具体的な状況によって異なるため注意しましょう。
たとえば、夫宛てに知らない女性から封がされた手紙が届いたとします。
妻が夫の浮気を疑い、その手紙を本人の了承なく開封した場合、正当な理由がないと判断されれば、信書開封罪に該当する可能性があります。
一方で、夫が突然連絡を絶ち、行方不明になったような緊急事態において、居場所の手がかりを得る目的で手紙を開封した場合には、正当な理由として認められるケースも考えられます。
このように、家族間であっても信書を開封する際には正当性について慎重な判断が必要です。
メールやSNSを無断で見る行為は、信書開封罪には該当しません。
なぜなら、信書開封罪の対象は、「信書」に限られるからです。
ただし、他人のメールやSNSを無断で閲覧する行為は、「不正アクセス禁止法」などのほかの法律に違反する可能性があります。
法的なトラブルを防ぐためにも、他人のメールやSNSを勝手に見るのは控えましょう。
信書開封罪は、「故意に信書を開封した場合」にのみ成立する犯罪です。
そのため、勘違いで開封してしまったようなケースでは、原則として信書開封罪には該当しません。
たとえば、従業員個人宛ての信書が誤って会社宛てに届き、総務担当者などが業務上の郵便物と誤解して開封してしまう場合がよくあります。
このような場合、開封に悪意がなく単なる勘違いであったと判断されれば、「過失による開封」として信書開封罪は成立しません。
本記事では、信書開封罪についてわかりやすく解説しました。
信書開封罪は、正当な理由なく封がされた信書を開封した場合に成立する犯罪です。
信書開封罪は親告罪であるため、被害者による告訴がなければ起訴されませんが、告訴があれば実刑判決を受ける可能性があります。
実刑判決を受けるリスクを軽減するためには、できるだけ早めに刑事事件を得意とする弁護士に相談することが非常に重要です。
弁護士に相談すれば、具体的な事情に応じて今後の対応方針について的確なアドバイスが得られます。
また、示談交渉や刑事手続きの代理なども依頼できるため、最善な方法での解決を目指せるでしょう。
「ベンナビ刑事事件」を利用すれば、信書開封罪を含む刑事事件の対応を得意とする弁護士を、地域や相談内容に応じて簡単に検索できます。
今後の対応について不安や疑問がある方は、ぜひ一度ご利用ください。
このような悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。
強姦は、相手の同意がなかったと判断されれば重大な性犯罪として扱われ、逮捕・起訴・実刑といった厳しい処分を受ける可能性があります。
処分を受ける中で仕事を失ったり、家族に事件が知られたりするなど、社会的な不利益を被ることも少なくありません。
だからこそ、ひとりで抱え込まず、早めに弁護士に相談することが重要です。
本記事では、強姦で逮捕された場合に適用される罪の内容や法定刑、逮捕率や起訴率、逮捕から裁判までの流れや、少しでも処分を軽くするために取るべき方法について解説します。
今後の生活を踏まえ適切な行動を取れるようになるためにも、ぜひ最後まで目を通してみてください。
まず、強姦で逮捕された場合に適用される代表的な罪名と、刑罰の重さについて確認しておきましょう。
不同意性交等罪は、相手の同意がないまま性交等をおこなった場合に成立する犯罪です。
不同意性交等罪は、被害者の年齢によって以下のように成立要件が異なります。
| 被害者の年齢 | 加害者との年齢差 | 被害者の同意の有無 |
| 13歳未満 | 不問 | 不問 (被害者の同意があっても、性交等をすれば不同意性交等罪が成立) |
| 13歳以上16歳未満 | 5歳以上 | 不問 (被害者の同意があっても、性交等をすれば不同意性交等罪が成立) |
| 13歳以上16歳未満 | 5歳未満 | 問われる (被害者の同意があれば、不同意性交等罪が成立しない) |
| 16歳以上 | 不問 | 問われる (被害者の同意があれば、不同意性交等罪が成立しない) |
対象となる「性交等」は、いわゆる性行為に限られず、以下のような行為も含まれます。
また、「同意がない」と判断されるのは、明確に拒否の言葉があった場合だけに限られません。
以下のような状況があれば、「同意がなかった」と判断される可能性があります。
| 状況 | 具体例 |
| 暴行・脅迫 | 殴られる脅されるなどして、拒否や抵抗ができなかった |
| 心身の障害 | 身体傷害、知的傷害、発達障害、精神障害などを有しており、拒否や抵抗ができなかった |
| 飲酒・薬物 | 酒や薬の影響で、同意や拒否の判断を正常にできない状態だった |
| 睡眠その他の意識不明瞭 | 寝ていたり気を失っていたため、拒否の意思を示せなかった |
| 同意しない意思を形成、表明、全うする暇の不存在 | 相手の不意をつくような行動で、拒否の意思を示す暇がなかった |
| 予想と異なる事態との直面に起因する恐怖または驚愕 | 予期しない状況に驚き、恐怖で固まってしまい、明確に拒否できなかった |
| 虐待に起因する心理的反応 | 日常的にDVを受けており、恐怖心から拒否できなかった |
| 経済的または社会的関係上の地位に基づく影響力による不利益の憂慮 | 上司など社会的地位のある相手からの要求に対し、拒否すると生活や評価に影響すると考えて断れなかった |
法定刑は、「5年以上の有期拘禁刑」です。
有期拘禁刑とは、刑務所に一定期間拘禁される刑罰をいいます。
不同意性交致死傷罪は、不同意性交などをおこなった結果、人を死傷させた場合に成立する犯罪です。
本罪は、性交そのものによって傷害を負わせた場合に限らず、性交に至る過程で傷害を負わせた場合や、性交の機会に付随して傷害を負わせた場合であっても成立します。
たとえば、以下のケースが該当します。
法定刑は、「無期または6年以上の拘禁刑」です。
性犯罪に関する刑事事件では、どの法律が適用されるかは「犯行時点の法律」によって決まります。
そのため、同じ行為でも、犯行の時期によって罪名や処罰内容が異なります。
以下の表で、犯行時期ごとに適用される主な罪名とその特徴をまとめました。
| 犯行時期 | 適用される罪名 | 処罰の対象 | 被害者の性別 | 法定刑 |
| 2017年7月11日 | 強姦罪 | 暴行または脅迫による性交 | 女性のみ | 3年以上の懲役刑 |
| 2017年7月12日~2023年7月11日 | 強制性交等罪 | 暴行または脅迫による性交等 | 男女とも対象 | 5年以上の懲役刑 |
| 2023年7月12日以降 | 不同意性交等罪 | 相手の同意がない性交等 | 男女とも対象 | 5年以上の拘禁刑 |
かつての「強姦罪」では、被害者が女性に限定されていました。
また、処罰対象も性交に限られていたため、口腔性交や肛門性交といったほかの性行為は処罰対象に含まれていませんでした。
そのため、たとえば男性が肛門性交や口腔性交などの被害を受けた場合であっても、処罰されないケースがあったのです。
そのほか、暴行や脅迫を受けたケース以外でも、「本当は嫌だったが、それをはっきり伝えられる状況ではなかったケース」や、「断ることが実質的に不可能だったケース」が、処罰の対象とされていませんでした。
こうした不公平を解消するため、法律が段階的に改正されてきたのです。
2017年の改正では、性別を問わず処罰対象とする「強制性交等罪」が新設され、2023年の改正では、同意の有無に焦点を当てた「不同意性交等罪」が新設されました。
これにより現在では、被害者の性別や暴力の有無にかかわらず、「相手の同意がなかった性行為」が処罰される運用に変更されています。
不同意性交等罪で逮捕・起訴されるかどうかについては、証拠の内容、被害者の供述、加害者の態度など、さまざまな要素が総合的に判断されます。
ここでは、一般的な逮捕率や起訴率・逮捕までにかかる期間について、実際の傾向を踏まえて解説します。
不同意性交等罪の逮捕率は、ほかの犯罪と比べて高い傾向にあります。
逮捕率が高くなる理由は以下のとおりです。
法務省が発表した「令和6年版 犯罪白書」によると、2023年の不同意性交等罪の逮捕率は56.7%にのぼります。
刑法犯全体の逮捕率が34.8% であることと比較しても、非常に高い数値といえます。
引用元:令和6年版 犯罪白書|法務省
不同意性交等の容疑で逮捕されてしまうと、仕事を失ったり、家族や友人との関係が壊れたりと、生活のあらゆる場面に深刻な影響が出る可能性があります。
逮捕のリスクを避けるためには、疑いをかけられた段階で速やかに弁護士へ相談し、逮捕を回避するための適切な行動を取ることが非常に重要です。
不同意性交等罪で逮捕されるまでの期間は、一般的には数日から数週間程度とされています。
ただし、これはあくまでも目安で、実際の期間は事件の内容や証拠の有無によって大きく異なります。
捜査機関は、被害者の申告内容や証拠の状況、加害者と被害者の関係性、逃亡や証拠隠滅の可能性などを総合的に判断し、逮捕のタイミングを慎重に決定します。
たとえば、事件直後に被害者が通報し、証拠がそろっている場合は、発生から数日~1週間以内に逮捕されることもあります。
一方で、被害届の提出が遅れた場合や、加害者を特定できていない場合には、数ヵ月あるいは数年経ってから逮捕されることもあるのです。
時間がどれだけ経過していても、逮捕される可能性は残り続けると考えておきましょう。
不同意性交等罪で逮捕された場合でも、必ずしも起訴されるとは限りません。
実際には、不起訴処分になるケースのほうが多く見られます。
法務省が発表した「検察統計 2023年(e-Stat)」によると、2023年の不同意性交等罪に関する処理状況は、以下のとおりです。
| 処理区分 | 人数 | 割合 |
| 起訴処分 | 653人 | 約33% |
| 不起訴処分 | 1,303人 | 約67% |
| └起訴猶予(証拠はあるが反省や示談により起訴を見送り) | 396人 | └不起訴処分のうち約30% |
| └嫌疑不十分(証拠が不十分で立件できず) | 880人 | └不起訴処分のうち約68% |
| └嫌疑なし(犯罪そのものがなかったと判断) | 6人 | └不起訴処分のうち約0.5% |
また、不同意性交等致死傷罪に関しても、以下のようなデータがあります。
| 処理区分 | 人数 | 割合 |
| 起訴 | 19人 | 約53% |
| 不起訴 | 17人 | 約47% |
| └ 起訴猶予 | 5人 | └不起訴処分のうち約29% |
| └ 嫌疑不十分 | 12人 | └不起訴処分のうち約71% |
これらの統計からわかるとおり、不起訴になる可能性は決して低くはありません。
とくに、不同意性交等罪では、3人に2人が不起訴処分となっています。
不起訴処分となった場合、その時点で刑事手続は終了し、釈放されるうえに前科もつきません。
一方で、起訴されてしまった場合は、たとえ最終的に無罪や執行猶予の判決となっても、被告人として長期間にわたり刑事手続きに関わる負担を強いられます。
起訴をできるだけ回避するためには、できる限り早期に弁護士へ相談して適切な対応を取ることが、現実的かつ合理的な判断といえるでしょう。
強姦(不同意性交等罪)で逮捕されると、手続きの流れは以下のように進みます。
ここから、それぞれ順に解説します。
逮捕されると、まず警察署に連行され、取り調べを受けるために警察署内の留置場に身柄を拘束されます。
取り調べでは、事件の経緯や関与の有無などについて詳細に質問されます。
取り調べでの発言は弁解録取書や供述調書に記録され、発言の内容が今後の手続きに大きな影響を与える可能性があるので注意が必要です。
警察での取り調べが終わると、事件は検察に送致されます。
送致は逮捕から48時間以内におこなわれる必要があり、また送致を受けた検察官は24時間以内に勾留請求をするかどうかを判断しなければなりません。
つまり、逮捕から最長72時間(3日間)は、留置場や拘置所にて身柄を拘束されます。
検察官が勾留を請求し、裁判所が勾留を認めると、被疑者は最長10日間勾留されます。
また、必要があると判断されれば勾留はさらに10日間延長されます、つまり、逮捕後の勾留期間は合計で20日間に及ぶ可能性があるということです。
なお、勾留期間中は取り調べが続き、接見禁止の処分が付いていなければ家族との面会は可能ですが、警察職員が立ち会うなどの制限が課されます。
一方、弁護士との面会は原則として自由におこなえます。
勾留期間が終了するまでに、検察官は事件を起訴するか、不起訴とするかを判断します。
不同意性交等罪の起訴率は約33%です。
つまり、3件に1件程度の割合で起訴に至っているのが実情です。
起訴されると、刑事裁判が開始されます。
裁判は通常、複数回の公判を経て進行し、最終的に判決が言い渡されます。
判決に不服がある場合には、控訴や上告を通じて争うことも可能です。
なお、刑事裁判全体における有罪率は99.9%と非常に高いです。
そのため、起訴された場合にはほぼ確実に有罪判決が下されてしまいます。
不同意性交等罪の法定刑は「5年以上の有期拘禁刑」であるため、特別な事情がない限り執行猶予が付く可能性は低く、実刑判決となるケースが大半です。
刑が確定すれば、刑務所での服役を余儀なくされます。
不同意性交等罪で逮捕されたからといって、必ずしも悲観する必要はありません。
適切な対応を取ることで、処分の軽減や不起訴を目指すことも可能です。
ここでは、逮捕されたあとにおこなうべき3つの行動について紹介します。
強姦で逮捕された場合、できるだけ早く刑事事件が得意な弁護士に相談することが重要です。
刑事事件では、逮捕から起訴・不起訴の判断が下されるまでの期間が非常に短く、初動の対応が処分の行方を大きく左右します。
そのため、弁護士による弁護活動を早期に開始できるかどうかが、不起訴や処分の軽減を実現できるかの分かれ目となるのです。
弁護士に依頼すれば、被疑者本人と接見して事情を聞き取り、取調べへの対応方針を整理してくれます。
また、黙秘権の行使や供述の際の注意点など、取調べを有利に進めるための具体的なアドバイスをもらえるでしょう。
被害者との間で連絡を取ることが可能な状況であれば、できるだけ早い段階で示談交渉を進めることも重要です。
示談が成立し、あわせて被害者が検察官に対して「処分を軽くしてほしい」といった内容の書面を提出した場合、起訴を免れたり、刑罰が軽減されたりする可能性が高まります。
ただし、性犯罪に関する事件では、被害者が示談に応じないケースが多く、交渉が難航することも少なくありません。
なかには、被疑者と直接関わること自体を避けたいと考えている被害者も多いでしょう。
そのため、示談を進める際には、必ず弁護士を通じて交渉することが重要です。
弁護士が間に入ることで、被害者の精神的負担を軽減しながら、適切な条件で示談を成立させやすくなります。
起訴を免れるには、再犯防止に向けた具体的な取り組みを進めることも重要です。
たとえば、以下のような取り組みをおこなえば、検察や裁判所から「反省の意思がある」「更生に向けて真剣に努力している」と評価される可能性があります。
また、再犯防止の努力を見せることは、示談交渉において誠意を伝える材料にもなり、被害者側の心理的ハードルを下げるきっかけとなりえます。
本記事では、不同意性交等罪に該当するケースや逮捕後の流れ、逮捕された場合の対応すべきことなどをわかりやすく解説しました。
不同意性交等罪に該当する行為をしてしまった場合、逮捕・勾留・起訴といった厳しい刑事手続きが進む可能性があります。
また、職場での解雇や社会的信用の失墜など、日常生活にも深刻な影響を及ぼすリスクも高まるでしょう。
このような事態を回避するためには、できるだけ早い段階で刑事事件を得意とする弁護士に相談することが不可欠です。
弁護士のサポートを受けることで、取調べへの準備、被害者との示談交渉、再発防止に向けた取り組みなど、各場面に応じた適切な対応が可能になります。
「ベンナビ刑事事件」では、不同意性交等罪(レイプ・強姦)などの性犯罪に強い弁護士を地域別に検索できます。
適切な対応をスピーディーに進めるためにも、ひとりで抱え込まず、まずは信頼できる弁護士に相談しましょう。
このように考えて、何も対処せずに日々を過ごしていませんか?
確かに、十分な証拠が揃っていなければ警察はすぐに捜査や逮捕に動くとは限りません。
しかし、「証拠がなければ警察は絶対に動かない」というわけではありません。
通報や被害者の証言、周囲からの情報提供などがきっかけで密かに捜査が進められ、ある日突然逮捕されるケースもあるのです。
本記事では、警察が証拠なしで動くことがあるのかどうか、警察の主な証拠収集方法、加害者として取るべき対応について解説します。
逮捕のリスクを少しでも下げたい、不安な状況を解消したいという方は、ぜひ参考にしてください。
警察は、証拠が完全に揃っていない場合でも、何らかのきっかけがあれば、事実確認のために捜査を開始する場合があります。
ここでは、警察が捜査を開始する主なきっかけを2つ紹介します。
通報があれば、警察は現場に駆けつけ状況を確認します。
通報は被害者本人だけでなく、第三者も可能で、匿名通報も受け付けられています。
通報内容に「いつ・どこで・どのようなことが起きたか」といった具体的な情報が含まれていれば、警察が実際に現場に出向く可能性は高まるでしょう。
ただし、匿名通報の場合、通報者の身元が確認できず、通報者に捜査の結果を伝えられません。
そのため、警察が捜査をおこなうかどうかは、通報内容や現場の状況をふまえて慎重に判断されます。
被害者から被害届が提出された場合、被害届の内容に基づき警察が捜査を開始する可能性があります。
被害届とは、犯罪の被害にあったことを捜査機関に知らせるための正式な届け出です。
書面だけでなく、口頭でも提出することが可能で、口頭で申し出た場合には、警察官が内容を聞き取りながら書面にまとめてくれます。
被害届が受理されると、明確な証拠が揃っていなくても、警察は事件の詳細を確認し、犯人の特定に向けた捜査を開始します。
警察は、被疑事件に関する証拠がまだ十分に揃っていない段階でも、事件性が認められれば、さまざまな方法を用いて証拠の収集を進めます。
ここでは、警察が実際におこなっている主な証拠収集の手法を紹介します。
警察は、通報や情報提供を受けた時点で必要と判断すれば、自ら積極的に証拠を収集することが可能です。
たとえば、事件発生直後に現場に急行し、以下のような初動対応をおこない情報収集を進めます。
また、客観性の高い証拠を確保するために、以下のような科学技術を積極的に活用します。
このように、警察は複数の手法を組み合わせて捜査をおこないます。
そのため、初期段階では証拠が見つからなかった場合でも、後になって決定的な証拠が発見されることも少なくありません。
刑事事件では、被疑者の「自白」も重要な証拠のひとつとされており、捜査の進行や裁判の結果に大きく影響を与えます。
自白とは、被疑者本人が自分が事件を起こしたと認めることです。
とくに、犯行現場の様子や凶器の隠し場所など、加害者しか知りえない情報が自白の中に含まれている場合には、自白の信ぴょう性が高いと判断される傾向があります。
警察の捜査開始をただ待っているだけでは、事態が悪化してしまうおそれがあります。
そのため、刑事事件を起こしてしまった場合には、「できるだけ早く、かつ適切に」行動することが非常に重要です。
ここでは、少しでも不利益を被る可能性を下げるために加害者がとるべき対応を、主に3つ解説します。
まずは、状況に応じて自首や出頭を検討しましょう。
自首とは、警察などの捜査機関がまだ犯人を特定していない段階で、自ら罪を申告することをいいます。
自首には、以下のようなメリットがあります。
ただし、自首として認められるのは、あくまで警察がまだ加害者を特定していない段階に限られます。
すでに氏名や顔などが判明している場合は「出頭」と扱われ、自首としての法的な効果は得られません。
とはいえ、自分から進んで出頭すること自体が評価されるのは変わりません。
どんなタイミングであっても、早めに動き出すようにしましょう。
なお、自首すべきかどうかについては慎重な判断が求められるため、事前に弁護士に相談することをおすすめします。
場合によっては自首に同行してもらえることもあるので、判断を仰ぎましょう。
被害者がいる事件では、誠意をもって謝罪し、示談成立に向けた交渉を進めるのが重要です。
示談とは、加害者と被害者が話し合い、被害の補償や謝罪の方法などについて合意することをいいます。
示談が成立していれば、「被害者が加害者の処罰を強く求めていない」と評価されやすく、不起訴処分なる可能性が高まります。
示談の成立に時間がかかる場合もあるので、できる限り早い段階から被害者との話し合いを進めましょう。
自首を検討する場合も、示談交渉を進めたい場合も、まずは刑事事件を得意とする弁護士へ相談するのがおすすめです。
弁護士に相談すれば、自首をする際の注意点や準備すべき書類、警察での対応方法などについて具体的なアドバイスを受けられます。
また、自首後の流れや、今後の手続きの見通しも説明してもらえるため、適切に対応しやすくなります。
また、示談交渉についても、弁護士を通じておこなうのが望ましいといえます。
被害者にとって加害者と直接顔を合わせることは大きな心理的負担になり、感情的な対立を深めるリスクがあるからです。
弁護士であれば、被害者の心情に配慮しながら、誠実かつ円滑に示談交渉を進めてくれます。
金銭の支払い方法や示談書の作成など、法的に適切な手続きをとってもらえる点でも安心です。
また、弁護士は警察での取り調べ対応についてもサポートしてくれます。
警察の取り調べの際に発言した内容は、「供述調書」として記録されます。
しかし、弁護士のサポートがないまま取り調べに臨んでしまうと、以下のようなリスクが生じる可能性があります。
その点、事前に弁護士へ相談しておけば、取り調べにどう対応すべきか、どこまで話すべきかなどについて、的確なアドバイスを受けられます。
警察は証拠がなくても動くことがある一方で、証拠が揃っていてもすぐに動かないケースもあります。
ここでは、警察が動かない可能性が高い3つの代表的なケースを紹介します。
警察は証拠が揃っていたとしても「事件性がない」と判断した場合には、捜査をおこなわないのが一般的です。
たとえば、高齢者が自宅で亡くなった場合が一例です。
がんなどの持病があり療養中だった場合や、かかりつけ医が健康状態を継続的に把握していた場合には、外傷や不審な点がなければ「自然死」と判断されることが多くなります。
自然死と考えられる状況であれば、事件性は否定され、捜査が展開されることはありません。
証拠が揃っていたとしても「民事不介入の原則」に該当する事案については、警察は対応しないのが原則です。
民事不介入の原則とは、警察は私人同士のトラブルといった民事事件には原則として関わらないというルールです。
たとえば、以下のような事案は民事事件と扱われるので、基本的に警察は動きません。
民事事件であれば、弁護士などに相談して、民事手続きによって解決を図る必要があります。
親告罪に該当する犯罪は、被害者からの告訴がない場合には警察は捜査を進めないのが通常です。
親告罪とは、被害者やその家族など、一定の立場にある人が警察に対して告訴しなければ、起訴ができないとされる犯罪です。
主な申告罪は、被害者のプライバシーや人間関係への配慮が重視される、以下のような犯罪類型です。
なお、いったん告訴しても、「起訴前」であれば取り下げが可能ですが、「起訴後」は認められません。
また、親告罪で告訴がないまま起訴された場合、その手続き自体が無効となり、公訴は棄却されます。
本記事では、警察は証拠がないと動かないのかどうかについて詳しく解説しました。
たとえ現時点で証拠が見つかっていなくても、警察が捜査を始める可能性は十分あります。
そして、捜査が進んで犯罪の嫌疑が固まれば、ある日突然逮捕されるという事態も起こり得ます。
このようなリスクを回避するためには、できるだけ早い段階で刑事事件に強い弁護士に相談することが非常に重要です。
弁護士に相談することで、以下のようなサポートが受けられます。
「ベンナビ刑事事件」を利用すれば、相談内容やお住まいの地域に応じて、刑事事件を得意とする弁護士を簡単に探せます。
刑事事件では、対応が早ければ早いほど、不利益な処分を回避できる可能性が高まります。
少しでも不安を感じたら、ひとりで悩まず、早めに弁護士へ相談しましょう。
ある日突然、「ご家族が客引きで逮捕されました」と警察から連絡を受けたら、「なぜ逮捕されたのか」「これからどうなるのか」と、不安や動揺で頭がいっぱいになるでしょう。
客引き行為で逮捕された場合、取り調べ・勾留・起訴といった刑事手続きが進む可能性があります。
長期間にわたって身柄を拘束されたり、前科がついてしまうリスクもあるので、決して軽視してはいけません。
冷静に対処するためには、客引きがどのような行為にあたるのか、また逮捕後にどのような流れで手続きが進むのかを正しく理解しておくことが大切です。
本記事では、客引きとはどのような行為か、適用される法律や逮捕に至る具体的なケース、そして逮捕後の流れについてわかりやすく解説します。
まずは、「客引き」の定義と、似た意味を持つ「呼び込み」との違いについて確認しましょう。
客引きとは、不特定の人の中から特定の人に対し、営業客となるように積極的に誘う行為をいいます。
たとえば、以下のような行為が客引きに該当します。
客引きは、風営法や各都道府県が定める迷惑防止条例で禁止されています。
一方で、呼び込みであれば必ずしも違法とはなりません。
呼び込みとは、不特定多数の人に対してお店への入店を勧誘する行為をいいます。
たとえば、以下のような行為は呼び込みに該当します。
ただし、最初は不特定多数への呼びかけであっても、途中から特定の人物に対してしつこく勧誘した場合には、客引きと見なされるリスクがあるため注意が必要です。
客引き行為で逮捕された場合、以下の3つの法律が適用される可能性があります。
ここから、それぞれの法令の規制内容と、違反時の刑罰について解説します。
風営法第22条では、通行人につきまとうような悪質な客引き行為や、通行を妨げるような立ちふさがりなどを禁止しています。
違反した場合には「6ヵ月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」が科される可能性があります。
迷惑防止条例や軽犯罪法と比較すると、刑罰が重く定められている点が特徴です。
なお、風営法は風俗営業に該当する店舗だけでなく、居酒屋などの一般的な飲食店にも及ぶため注意が必要です。
各都道府県が定める迷惑防止条例では、通行人に対してしつこく声をかけたり、つきまとうといった客引き行為を禁止しています。
たとえば、東京都の迷惑防止条例では、以下の行為が規制対象となっています。
刑罰は地域によって差がありますが、東京都の場合であれば、客引きをした人に「50万円以下の罰金または拘留もしくは科料」が科される可能性があります。
拘留は1日以上30日未満の間刑事施設に拘束する刑罰で、科料は1,000円以上1万円未満の金銭を納付させる刑罰です。
風営法違反に比べれば刑罰は軽めですが、条例違反でも逮捕され前科がつく可能性もあるため、注意しましょう。
軽犯罪法第1条第28号では、他人の進路に立ちふさがって、もしくはその身辺に群がって立ち退こうとせず、または不安もしくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとう行為を禁止しています。
違反した場合には「拘留または科料」が科される可能性があります。
いずれも比較的軽い処罰とはいえ、前科がつくことになるので注意が必要です。
客引き行為による逮捕には、大きく分けて「現行犯逮捕」と「通常逮捕」の2つのケースがあります。
ここでは、それぞれの典型的なパターンを紹介します。
まず挙げられるのは、警察官に対して違法な客引きをおこなってしまい、その場で現行犯逮捕されるケースです。
警察は、風営法や迷惑防止条例に違反する行為を取り締まるため、繁華街などで定期的に見回りをおこなっています。
特に私服警察官は見た目では一般人と見分けがつかないため、気づかないまま違法な客引きをしてしまい、そのまま現行犯で逮捕される可能性があるのです。
近隣住民やライバル店からの通報・情報提供をきっかけに、警察が内偵捜査を進めたうえで通常逮捕に至るケースも多いです。
通報や情報提供があった場合、警察は一定期間、状況を調査・記録する内偵捜査をおこないます。
その結果、違法行為が確認されれば、裁判所から逮捕状を取得して通常逮捕に踏み切ります。
客引き行為によって逮捕された場合、以下の流れで手続きが進むのが通常です。
ここでは、それぞれの手続きについて解説します。
逮捕されると、まず警察署に連行され、事件の内容に関する取り調べがおこなわれます。
法律上、逮捕から検察官に送致されるまで最大48時間と定められており、その間に取り調べが行われます。
この間に、警察は事件を検察に送致するか、それとも「微罪処分」として処理するかを判断します。
微罪処分とは、社会的な影響が小さく、被疑者が反省していると認められる場合に、警察の判断で事件の処理を終了する制度です。
微罪処分となれば、比較的早期に釈放される可能性があります。
警察が事件を検察に送致する場合、今度は検察官が取り調べを担当します。
検察官は、警察から送致された被疑者を受け取ってから最長24時間以内に、被疑者を釈放するか、裁判官に勾留を請求するか判断します。
検察が「引き続き身柄拘束が必要」と判断した場合は、裁判官に対して勾留請求をおこないます。
裁判官が勾留請求を認めれば、まずは10日間の勾留が決定されます。
さらに捜査の継続が必要と判断された場合は、最長10日間の範囲で勾留延長が認められます。
つまり、逮捕から起訴の判断まで、最長23日間身柄を拘束されることになるのです。
勾留期間が満了するまでに、検察は以下の要素などをもとに、被疑者を起訴するかどうかを判断します。
正式に起訴されると刑事裁判に進みますが、不起訴となった場合は、その時点で事件は終了し、前科もつきません。
なお、比較的軽微な客引き行為については、「略式起訴」によって罰金刑が言い渡されるケースもあります。
略式起訴とは、通常の公開裁判を経ずに書面だけで審理をおこない、罰金や科料を科す特別な裁判手続きです。
この場合、正式な裁判を開かずに処分が下されるので、短期間で事件が解決します。
検察が正式に起訴すると、刑事裁判が開かれます。
裁判では、事実関係や情状について審理がおこなわれ、有罪か無罪か、またどのような刑罰を科すかが決まります。
有罪判決を受けると、拘禁刑や罰金刑などの刑罰が科されます。
また、前科がつくことになるので、今後の社会生活や就職などにも影響が及ぶおそれがあるでしょう。
なお、日本の刑事事件においては起訴された場合の有罪率が非常に高く、99.9%以上の確率で有罪判決が下されています。
そのため、起訴される前の段階から、弁護士のサポートを受けながらできる限り不起訴処分を目指すことが非常に重要です。
ここでは、客引きでの逮捕に関するよくある質問をまとめました。
似たような疑問を持っている方は、ぜひここで疑問を解消してください。
客引きは、その行為をおこなった従業員だけでなく、従業員に客引きをさせた店舗側も責任を問われます。
なぜなら、風営法や迷惑防止条例では、「実際に客引きをした本人」だけでなく、「客引きをさせた者」も違反者として定められているからです。
客引き行為が現行犯または準現行犯(犯行直後で明らかに犯人とわかる状態)であれば、私人による逮捕が認められる場合もあります。
ただし、犯したとされる罪が「30万円以下の罰金、拘留または科料に該当する罪」であれば、次の条件のいずれかを満たしていなければ、私人逮捕はできません。
要件を満たさずに私人逮捕をしてしまうと、不法に身体を拘束したと判断され「逮捕罪」などに問われるおそれがあります。
つまり、目の前で客引き行為がおこなわれていたとしても、客引きが軽犯罪法違反のみに該当するなどの場合は、私人逮捕が認められない場合があるのです。
そのため、客引きを不快に感じても、自分で相手を取り押さえるのではなく、冷静にその場を離れ、警察や関係機関に通報することが適切な対応といえるでしょう。
初めて摘発された場合であれば、略式起訴となり罰金ですむケースが多く見られます。
仮に正式な刑事裁判に発展したとしても、初犯であれば執行猶予付きの判決となることが多く、実刑となる可能性はそれほど高くありません。
ただし、他人を使って組織的に客引きをおこなっていたようなケースや、すでに前科・前歴がある場合などには、裁判所がその事情を重く見て、懲役刑などを下す可能性も十分に考えられます。
本記事では、客引きの定義や逮捕された場合の罰則などについてわかりやすく解説しました。
客引きによって逮捕された場合には、風営法違反や迷惑防止条例違反などの罪に問われる可能性があります。
特に繁華街では取り締まりが厳しく、私服警官による現行犯逮捕や、通報・内偵による通常逮捕も日常的におこなわれているので注意しましょう。
一度逮捕されると、取り調べ、勾留、起訴といった刑事手続きが進むおそれがあり、身柄拘束が長引けば仕事や家庭への影響も避けられません。
このような事態を防ぐためには、早い段階で弁護士に相談し、的確な対応を取ることが重要です。
早期に弁護士がつくことで、勾留の回避や不起訴処分の獲得、前科を避けられる可能性が高まります。
ベンナビ刑事事件を利用すれば、客引きを含む刑事事件を得意とする弁護士を地域別に簡単に探せます。
不安な状況を早く打開するためにも、ぜひお早めにご活用ください。
家族が突然逮捕され、留置所に拘束されたという知らせを受けたときの戸惑いや不安は計り知れません。
これまで一度も刑事手続きに関わったことがない場合、「面会はできるの?」「何を持っていけばいいの?」「いつ話せるの?」など、疑問や心配ごとが次々に浮かぶことでしょう。
そこで本記事では、はじめて面会を経験されるご家族に向けて、留置所での面会に関する基本ルールや注意点をわかりやすく解説します。
差し入れの可否や持ち物、面会で話してよい内容のほか、面会自体が禁止される「接見禁止」の制度や、その解除方法についても触れるほか、弁護士に接見を依頼することで得られるメリットについても解説するので、家族ができる最善のサポートとは何かを考える一助としてください。
警察署の留置所では、勾留中の被疑者に対して面会の機会が設けられています。
ただし、自由に誰でもいつでも面会できるわけではなく、さまざまな制限や条件が存在します。
まずは、面会が可能となるタイミングや曜日、回数、面会できる人やその人数など、面会の基本ルールを確認しましょう。
逮捕された直後の72時間は、警察・検察による取り調べや身柄の送致、勾留請求の判断などに充てられるため、家族や友人であっても面会は認められません。
勾留が決定したあと、原則としてその翌日以降から一般の面会が可能となります。
ただし、捜査の都合や接見禁止の有無によって、さらに面会が制限される場合もあります。
面会は、原則として1日に1組までしか認められません。
たとえば、家族が午前中に面会した場合、同日に別の友人が面会に訪れても受付されません。
そのため、あらかじめ家族内で誰が面会に行くのかを調整しておく必要があります。
なお、1回の面会時間は15分~20分程度です。
限られた時間で伝えたいことを正確に伝えるためには、あらかじめメモを準備しておくことをおすすめします。
面会の受付は、各警察署の留置係でおこなわれます。
受付時間は署ごとに異なりますが、一般的には平日の午前9時~12時、午後1時~4時など、昼間の時間帯に限られています。
土日祝日や夜間は、面会できません。
事前に対象となる警察署に電話で面会可能時間を確認しておくと安心です。
被疑者が取り調べのために検察庁へ移送されていたり、健康上の理由で病院へ搬送されている場合など、留置所以外の施設に一時的に身柄を移されることがあります。
このような場合、たとえ通常の面会時間内であっても面会はできません。
また、警察署に戻ってくる時間が不明確なケースや、長時間の取り調べ・診察が予定されているときには、面会が終日不可能と判断されることもあります。
こうした事情は当日の朝にならないとわからないことが多いため、面会に向かう前に、必ず警察署へ電話を入れて「本日は面会可能かどうか」を確認しておくのが安心です。
留置所で面会ができるのは、家族だけではありません。
友人や恋人、勤務先の同僚などでも、本人と面識があれば面会が可能です。
ただし、事件との関係や被疑者の供述内容によっては、面会が制限される場合もあります。
とくに共犯者がいる事件や、組織的犯罪が疑われている場合などは注意が必要です。
一度に面会できる人数は、多くの警察署で3人までとされています。
面会室の広さや警察官の監視体制にも限りがあるため、大人数での面会は認められていません。
家族や親族で訪れる場合は、代表者を決めて交代で面会するようにしましょう。
一般の方が留置所で被疑者と面会する際には、必ず警察官が立ち会います。
面会は接見室と呼ばれる専用の部屋でおこなわれ、被疑者と面会人の間にはアクリル板や金網などが設置されています。
警察官は、接見中の様子を終始監視しており、会話の内容にも注意を払っています。
これは、面会を通じて証拠隠滅や口裏合わせなどがおこなわれるのを防ぐための措置です。
そのため、面会中の会話には一定の制限があり、事件や捜査に関する話題は避けなければなりません。
留置所での面会では、話してよい内容に制限があります。
とくに、事件の詳細、証拠の場所、共犯者との関係、供述や取り調べの状況などについては、捜査妨害や罪証隠滅のおそれがあるとみなされるため、話してはいけません。
また、面会中は録音や録画がされることは原則としてありませんが、必要に応じてメモを取られることがあります。
そのため、面会では、本人の体調や生活上の困りごと、家族の近況など、事件に関係しない話題にとどめましょう。
なお、本人から「自宅を掃除してほしい」といった依頼があっても、証拠隠滅につながるおそれがある内容には応じないよう注意が必要です。
どうしても事件に関する確認をしたい場合は、弁護人を通じておこなうようにしましょう。
留置所での面会に際しては、被疑者本人の生活を支えるために、衣類や現金、書籍などを差し入れることが可能です。
ただし、なんでも自由に持ち込めるわけではなく、警察署ごとに細かな制限やルールが設けられています。
ここでは、差し入れの方法や注意点について、基本的なルールを整理してお伝えします。
留置所への差し入れは、面会時に本人へ直接手渡すことはできません。
警察署の留置係窓口で「差し入れ希望」と申し出て、持参した品を警察官に預けることになります。
預けた差し入れを警察官が確認し、許可されたもののみが被疑者の手元に届きます。
また、面会せずに差し入れだけをおこなうことも可能です。
遠方に住んでいて来署が難しい場合は、郵送による差し入れが認められている警察署もあります。
事前に電話で対応可否を確認し、宛先や記載方法などを確認しておきましょう。
留置所への差し入れには明確なルールがあり、持ち込める物と禁止されている物があります。
家族であっても、全ての品が許可されるわけではないため、事前に確認したうえで適切な品を選んで差し入れることが大切です。
以下に、差し入れできるものと差し入れできないものの例をまとめました。
| 区分 | 差し入れできるもの | 差し入れできないもの |
| 衣類・身の回り | 下着、Tシャツ、靴下など 紐・金具のないもの |
フード付きパーカー、紐つき衣類、ベルトなど |
| 書籍・文具 | 漫画・小説、便箋、封筒、切手 | ホチキス留め冊子・書き込み可能な教材など |
| 現金・貴重品 | 現金 | 財布、時計、スマートフォンなどの貴重品 |
| 飲食物 | 一切不可 | 弁当、お菓子、飲み物など全般 |
| 医薬品 | 一切不可 | 風邪薬、ビタミン剤、湿布、処方薬・市販薬など |
| その他 | 事前に許可が取れている写真や手紙 | タオル、マフラー、電化製品、液体物など警察が不適切と判断した物 |
上記はあくまで一般的な目安であり、警察署ごとに運用が異なることもあります。
とくに衣類や書籍の形式、差し入れ可能な金額などは事前確認が重要です。
迷ったときは、警察署の留置係に問い合わせて確認しましょう。
留置所での生活は非常に限られており、外部からの差し入れは本人にとって貴重な支えとなります。
なかでも喜ばれるのが現金の差し入れです。
留置施設内では、自費で飲み物や日用品を購入できるため、現金があれば必要な物を自分で用意することができます。
差し入れできる金額には上限がありますが、1万円から2万円程度が目安です。
また、下着やTシャツなどの清潔な衣類や、小説や漫画などの気分転換になる書籍も喜ばれるでしょう。
本人の状況を思いやりながら、必要とされている物を届けてあげることが大切です。
勾留中の被疑者には家族や知人との面会が認められていますが、例外として「接見禁止」が付くと、弁護士以外の面会が一切できなくなります。
ここでは、接見禁止が付されるケースや、接見禁止中の対応、解除の可能性について解説します。
接見禁止とは、被疑者が外部と接触することで証拠隠滅や口裏合わせを図るおそれがあると判断された場合に、裁判所がおこなう措置です。
なかでも、組織的な犯罪が疑われる事件では、この措置が取られやすい傾向にあります。
たとえば、詐欺罪や覚せい剤、大麻などの薬物犯罪は、複数人が関与する組織型犯罪であるケースが多く、関係者同士が連絡を取り合うことで証拠が隠されたり、供述が変化するリスクがあると判断されがちです。
このような事件では、被疑者が組織の中でどのような役割を担っていたのか、共犯者が誰なのかといった広範な捜査がおこなわれるため、外部との接触を遮断する必要性が高まります。
その結果として、家族であっても面会が認められず、接見禁止が付される可能性があるのです。
接見禁止が付されると、家族や友人を含めた弁護士以外の面会や手紙のやりとりが一切禁止されますが、完全に外部との接触が遮断されるわけではなく、一定の範囲で差し入れは認められています。
たとえば、現金や衣類、書籍など、通常の面会時と同様の物品については、警察署の窓口を通じて差し入れが可能です。
しかし、差し入れ内容の確認は通常以上に厳格におこなわれることが多くなります。
なお、差し入れ時に伝言やメモを同封することは認められていないため、あくまで物品のみの差し入れとなる点には注意が必要です。
何を持参できるか不安な場合は、事前に警察署の留置係に問い合わせ、接見禁止中でも受付可能な品目や手続きについて確認しておくことをおすすめします。
接見禁止の処分は、原則として勾留期間中に限られますが、最大で20日間続くこともあるため、家族との面会が長期間できないケースも少なくありません。
さらに、事件の内容によっては、起訴されたあとも接見禁止が継続されることがあります。
共犯者がいる場合や、組織的な関与が疑われる事件では、証拠隠滅や口裏合わせを防ぐために、裁判中であっても接見が制限されることがあるのです。
こうしたことから、接見禁止は一時的な措置にとどまらず、実際には数週間から1ヵ月近く続く可能性があると理解しておく必要があります。
接見禁止が付された場合でも、それを解除してもらうための手続きをすることが可能です。
代表的な方法として「接見禁止の一部解除の申立て」があります。
これは、弁護士を通じて裁判所に対し、「家族など特定の人物に限って面会を認めてほしい」と申し出る手続きです。
たとえば、両親や配偶者、子どもとの面会を求めるケースがよく見られます。
申し立てが認められるかどうかは、事件の性質や共犯の有無、家族との関係性、被疑者の供述状況など、さまざまな事情を踏まえて判断されます。
捜査への影響が大きいと判断された場合は、たとえ家族であっても許可が下りないこともあるでしょう。
なお、申し立ては弁護士が代理しておこなうのが通常であり、家族が個別に請求することはほとんどありません。
面会ができず不安な場合には、まず弁護士に状況を伝えたうえで、必要があれば一部解除の申し立てを検討してもらいましょう。
はじめて警察署で面会を申し込む場合、流れや必要な持ち物がわからず不安に感じる方も多いかもしれません。
ここでは、留置所での面会をスムーズに進めるための申し込み方法や注意点を解説します。
留置所での面会は、原則として事前予約制ではありません。
電話での受付はおこなっていないため、平日の日中に警察署へ直接足を運び、窓口で申し込みをおこなう必要があります。
なお、面会に訪れる際は、ほかの家族や知人と予定が重ならないよう、あらかじめ調整をしておくとスムーズです。
1日に1組しか面会できないというルールがあるため、複数人での申し込みには注意が必要です。
警察署での面会は当日の事情によって実施できないことがあります。
たとえば、被疑者が検察庁での取り調べや現場検証などで庁舎外に出ている場合や、すでにその日に面会が済んでしまっている場合などが該当します。
こうした事態を避けるには、警察署へ向かう前に、あらかじめ電話で面会が可能かどうかを問い合わせておくのが確実です。
なお、電話をする際は「留置管理課につないでください」と伝えれば、担当部署に取り次いでもらえます。
本人の名前を告げたうえで「今日は面会ができそうか」を尋ねれば、現時点での対応可否や注意点を教えてもらえるはずです。
留置所で面会をするには、本人確認のために身分証の提示が求められます。
運転免許証や健康保険証など、公的な証明書を忘れずに持参しましょう。
面会申込書への記入も必要で、氏名や住所、生年月日、連絡先、被疑者との関係などを記載します。
また、複数人で面会に訪れる場合は、全員分の身分証と記入が必要です。
警察署によっては、印鑑の提出や携帯電話の電源オフ、預かりなどを指示されることもあります。
持ち物や手続きは署によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
不備があると面会ができない場合もあるため、万全の準備を心がけましょう。
留置所での一般面会には、時間や回数、会話の内容などにさまざまな制限がある一方で、弁護士による接見は、一般の面会とは大きく異なる特徴があります。
ここでは、弁護士に接見を依頼することで得られる具体的なメリットを紹介します。
逮捕された直後は、被疑者がひとりで取り調べに対応しなければならず、精神的にも非常に不安定になりがちです。
その点、弁護士であれば逮捕直後から接見に入り、状況の確認や本人の希望の聞き取りをおこなうことができます。
さらに、取り調べにどう対応すべきか、不利な供述を避けるためにどのような点に注意すべきかなど、法律的なアドバイスをその場で伝えることができる点は、被疑者にとって非常に心強いサポートとなります。
一般の面会は、1日1回・15分〜20分程度という制限が設けられ、警察官が必ず立ち会います。
しかし、弁護士との接見には時間の制限がなく、立会人もつきません。
これは、弁護士と被疑者のあいだの「接見交通権」が認められているためであり、外部に知られることなく自由にやり取りができることが法律上保障されています。
この環境があるからこそ、本人は本音を話すことができ、弁護士も正確な状況把握が可能になるのです。
密室でおこなわれる取り調べに対して適切に対処するためにも、立会なしの接見は極めて重要です。
接見禁止処分が付されると、家族や知人は一切の面会ができなくなりますが、弁護士はこの制限の対象外です。
つまり、被疑者がどのような状況であっても、弁護士は自由に接見が可能です。
また、弁護士は面会だけでなく、差し入れを代行することもできます。
家族が面会できない状況であっても、弁護士を通じて本人の様子を確認したり、必要な支援を届けることができるのは大きな安心材料になります。
家族が逮捕され、留置所にいるという状況は、多くの人にとって初めての経験であり、大きな不安を伴います。
何をすればよいのかわからず、面会や差し入れを通じて少しでも支えたいと考えるのは自然なことです。
しかし、面会には時間や回数、話せる内容などの制限があり、場合によっては接見禁止で会うことすらできないこともあります。
そうした中で、弁護士は本人に自由に接見できる立場として、大きな役割を果たします。
弁護士は取り調べへの対応を助言し、面会や差し入れも代行可能です。
さらに、勾留への異議申し立てや示談交渉などを通じて、早期釈放や不起訴を目指す動きも可能です。
できるだけ早く弁護士に相談することで、ご家族にとっても安心につながります。
不安な状況だからこそ、専門家の力を頼ることを前向きに検討してみてください。
「保釈金って何だろう」「払えなかったらどうなるのか」「返ってくるものなのか」など、保釈金に関する疑問や不安を抱えてこのページを訪れた方も多いのではないでしょうか。
突然家族が逮捕され、「保釈すれば出られるらしい」と聞いても、何をどうすればいいのかわからず、戸惑ってしまうのは当然のことです。
特に、保釈金の金額が大きいと聞けば「そもそも用意できるのか」「支払って損をしないのか」といった不安も膨らみます。
この記事では、保釈金の意味や仕組みをはじめ、返金の有無や金額の目安、支払えない場合の対処法、保釈申請から返金までの流れを詳しく解説します。
保釈制度の全体像をつかみ、安心して必要な準備に取りかかるためにも、ぜひ参考にしてください。
保釈金とはどのようなもので、なぜ支払う必要があるのでしょうか。
制度の根拠や趣旨がわからなければ、大金を納めることに抵抗や不安を感じるのも当然です。
まずは「保釈」と「保釈金」の基本的な仕組みについて理解しておきましょう。
そもそも保釈とは、刑事事件で起訴された被告人の身柄拘束を解く制度です。
被告人は通常、勾留中に起訴されると裁判が終わるまで引き続き勾留されます。
しかし、保釈が許可されれば、自宅などで通常の生活を送りながら裁判に出廷することができます。
保釈金とは、保釈を許可してもらうために裁判所に預けるお金のことです。
法的には「保釈保証金」と呼ばれ、被告人が逃亡したり証拠を隠滅したりしないようにするための「担保金」の役割を果たします。
保釈金は、被告人が保釈後もきちんと裁判に出廷し、保釈条件を守っていれば、判決後に返金されるのが原則です。
つまり、「罰金」や「使用料」ではなく、「条件を守ること」を前提に一時的に預けるお金であるということです。
保釈金は、一時的に裁判所へ預けるものとはいえ、一般的には高額になるため、「最終的に返ってくるのかどうか」が気になる方も多いでしょう。
実際には、保釈金は一定の条件を守っていれば返還されますが、状況によっては返ってこないケースもあります。
ここでは、保釈金が返ってくる場合と返ってこない場合について、それぞれ見ていきましょう。
保釈金は、被告人が裁判にきちんと出廷し、保釈中のルールを守ることを条件として預けられる担保金です。
裁判所から定められた期日に欠かさず出廷し、被害者への接触など禁止されている行動を取らなければ、原則として裁判が終わったあとに全額返還されます。
返金のタイミングは、判決確定後おおむね1週間以内で、裁判所が手続きを進めたうえで、納付者に対して振込で返金がなされます。
なお、被告人が有罪となって実刑判決を受けた場合でも、保釈中の条件を守っていれば返金の対象であることに変わりはありません。
つまり、保釈金は裁判所からの「信用に対する預け金」であり、問題なく裁判を終えれば損をすることはないのです。
被告人が保釈中に定められた条件を破った場合、保釈金は返還されません。
特に、次のような行為があった場合には、全額または一部の没取処分を受ける可能性があります。
また、このような違反が認定されると、保釈は取り消され、被告人は再び勾留されることになります。
保釈金が没取されるだけでなく、裁判所からの心証が悪化し、後の判決にも影響を及ぼす可能性があるので注意しましょう。
保釈金の返金を確実に受け取るためには、裁判が終わるまで慎重に行動し、裁判所が定めた条件を確実に守ることが必要です。
「没取」とは、行政庁・裁判所などが物の所有権を剥奪し、国庫に帰属させる処分のことです。
「没収」が刑法上の刑罰であるのに対し、「没取」は刑罰ではありません。
意味合いとしては「没収」と同じと捉えて概ね問題ありません。
保釈金は原則として返還されるとはいえ、一時的にまとまったお金を用意しなければならない点で、被告人やその家族にとっては大きな負担となります。
そのため、実際にどのくらいの金額が必要なのか、またその金額はどのように決められているのかを把握しておくことは非常に大切です。
ここでは、一般的な相場と、保釈金の金額が決まる際に考慮される要素について解説します。
実務における保釈金の相場は、概ね150万円から300万円程度といわれています。
これは、被告人の経済状況や事件の性質に応じて「逃亡や証拠隠滅を思いとどまらせる金額」として裁判所が設定するためです。
ただし、これはあくまで一般的な範囲であり、軽微な事件であれば100万円以下となる場合もあれば、重大事件や被告人に相当な資産がある場合などには、1,000万円を超える高額な保釈金が課されることもあります。
保釈金の金額は、刑事訴訟法第93条第2項に基づき、裁判所が被告人の状況を総合的に考慮して決定します。
具体的な判断要素は、以下のとおりです。
| 判断要素 | 内容 |
| 被告人の資力 | 資力が大きい場合、仮に逃亡しても痛手とならない金額では抑止力に欠けるため、保釈金は高く設定される傾向 |
| 犯罪の性質・重大性 | 殺人や放火など重大事件であるほど、逃亡や証拠隠滅の動機が強いと判断されやすく、保釈金は高くなりやすい |
| 証拠の内容・証明力 | 裁判で有罪が見込まれるだけの証拠がそろっている場合、逃亡のリスクが高まると判断され、保釈金が加算されることがある |
| 被告人の性格や前科の有無 | 再犯のおそれがあるとされる場合には、逃亡や規則違反のリスクが高いと見なされ、保釈金に影響 |
| 住居や職業などの生活基盤 | 定職がある、住居が固定されているなど社会的な安定がある場合は、逃亡のおそれが低いと判断され、比較的低めに設定されることがある |
このように、保釈金の金額は事件の内容だけでなく、被告人の社会的・経済的背景まで踏まえて個別に判断されます。
なかでも重要なのが、被告人の資力と罪状です。
被告人に多額の収入や資産がある場合、仮に逃亡しても保釈金を失うことに対する心理的な抑止力が弱くなると判断され、保釈金は相場より高く設定されることがあります。
逆に資力がほとんどない場合でも、逃亡を防ぐために最低限の金額は求められやすく、極端に低額にはならない傾向があります。
また、罪の重さも金額に大きく影響します。
たとえば殺人や放火、組織的詐欺など重大な犯罪で起訴された場合、判決で実刑が下される可能性が高く、それに伴って被告人が逃亡する動機も強くなると考えられます。
そのため、裁判所は保釈金を高額に設定して、逃亡や証拠隠滅を防止しようとするのです。
被告人に多額の資産や高収入があると、保釈金は「逃亡や違反行為を思いとどまらせるのに十分な金額」として、相場を大きく超える額に設定されることがあります。
以下は、被告人の経済力が反映された高額保釈金の例です。
事件の内容とともに、被告人の社会的立場や資産状況が考慮された結果とみられます。
これらの事例はいずれも、保釈金がその人の経済的な背景を踏まえて個別に設定されていることを示しています。
保釈が許可されたとしても、指定された金額を納めなければ実際に保釈されることはありません。
ここでは、保釈金を払えない場合に生じる影響や、取るべき対応について解説します。
裁判所が保釈を許可しても、その効力が生じるのは「保釈金を納めたあと」です。
保釈金は一括での納付が必要とされており、分割払いや支払いの猶予には対応していません。
そのため、たとえば保釈金が200万円と決まっても、被告人や家族がその金額を一時的に用意できなければ、保釈の許可が出ていたとしても釈放されることはなく、被告人の身柄拘束は続きます。
こうした経済的理由で保釈が実現できない場合、被告人の社会生活や家族の生活にはさまざまな悪影響が及びます。
たとえば、職場への復帰が遅れることで収入が途絶えたり、学生であれば学業の継続が難しくなり、進級や卒業に支障をきたすかもしれません。
また、勾留中は家族や周囲との連絡が制限されるため、信頼関係や精神的な支えが失われることもあります。
このように、保釈金を工面できないことは単なる金銭的問題にとどまらず、被告人とその周囲の生活全体に深刻な影響を与える要因となり得ます。
保釈の許可が出ても、裁判所が決定した保釈金の金額が高すぎて支払えないという場合には、「準抗告」という手続きを通じて金額の見直しを求めることができます。
準抗告とは、裁判官の決定に対して不服を申し立てる制度のことです。
たとえば、保釈は許可されたが金額が高額すぎて現実的に納付できないとき、その事情を明らかにしたうえで、保釈金の減額を申し立てることが可能です。
準抗告の審理にあたっては、被告人やその家族の経済状況、支払い能力、生活の実態などが具体的に考慮されます。
場合によっては、数十万円から100万円以上の減額が認められることもありますが、保釈金が「逃亡や証拠隠滅を抑止するための担保」である以上、単に生活が苦しいという理由だけでは減額が認められないこともあります。
準抗告が認められるかどうかは個別の事情により異なるため、申立てを検討する際には、弁護士とよく相談することが大切です。
保釈金を一括で納めることが難しい場合でも、保釈をあきらめる必要はありません。
経済的な理由で保釈が実現しない場合に備えて、いくつかの支援制度や代替手段が用意されています。
ここでは、保釈金を支払えないときに検討できる代表的な対処法について紹介します。
保釈金の工面が難しいと感じたら、まずは弁護士に事情を説明し、適切なアドバイスを受けることが大切です。
弁護士は、保釈金の減額申し立ての可能性や、支援制度の活用についての情報を持っており、被告人や家族にとって現実的な選択肢を示してくれます。
また、裁判所とのやり取りや書類作成も弁護士が担うため、スムーズかつ確実に手続きを進めるうえでも、専門家のサポートは欠かせません。
特に支援団体の制度を利用する場合には、弁護士を通じて申請をおこなう必要があるため、早めの相談が重要です。
保釈金は、被告人本人が用意しなければならないという決まりはありません。
そのため、家族や親族、友人など、周囲の信頼できる人から一時的にお金を借りて納めることも可能です。
実際、保釈金の多くは被告人の家族や支援者によって用意されています。
保釈金は、裁判が終了して被告人が条件を守っていれば返還されるお金であり、返済の見通しが立てやすいことから、事情を説明することで援助を得られる可能性は十分にあります。
ただし、金銭の貸し借りによって人間関係が悪化するのを防ぐためにも、借用書を作成する、返済時期を明確にするなど、誠実な対応を心がけることが大切です。
現金で保釈金を用意することが難しい場合、株式や国債などの有価証券を担保として差し入れる方法もあります。
これは「代用有価証券」と呼ばれる制度で、現金の代わりに一定の価値がある財産を保釈金として納めることが裁判所に認められています。
ただし、全ての有価証券が対象になるわけではなく、裁判所が価値の安定性や換金性を確認したうえで、担保として適切であると判断しなければなりません。
資産の内容や証券の種類によって可否が分かれるため、詳細については個別に確認することが重要です。
保釈金をどうしても用意できない場合には、一般社団法人日本保釈支援協会が提供する「保釈保証金立替制度」を利用するという選択肢があります。
この制度は、経済的な事情により保釈金の支払いが困難な被告人の家族や支援者に代わって、協会が一時的に保釈金を立て替えるというものです。
利用できる金額には上限がありますが、原則として500万円までの範囲内で立て替えが可能です。
ただし、立て替えにあたっては一定の審査があり、利用者の人柄や事件の内容、再犯の可能性なども考慮されます。
また、立て替えを受ける際には、所定の手数料を支払わなければなりません。
なお、この制度の特徴は、銀行などと異なり担保や保証人が不要である点です。
保釈金は裁判が終われば原則として返還されるため、協会も返金を前提に立て替えをおこなっています。
ただし、被告人が逃亡した場合や条件に違反した場合は、返還されないリスクがあるため、審査は慎重におこなわれます。
利用を検討している場合は、まず弁護士に相談し、手続きの流れや必要書類について案内を受けるのが確実です。
経済的な事情で保釈金を用意できない場合、全国弁護士協同組合連合会(全弁協)が実施する「保釈保証書発行事業」を活用する方法もあります。
この制度では、裁判所が認めた場合に限り、現金の代わりに「保釈保証書」を提出することで保釈を受けられる可能性があります。
保釈保証書とは、全弁協が「被告人が逃亡等をした場合には、保釈金相当額を弁済する」ことを保証する書面です。
実質的には、全弁協が保証人のような役割を果たし、被告人や家族が現金を直接納めなくても保釈が認められるケースがあります。
ただし、この制度の利用にはいくつかの条件があります。
まず、裁判所が「保証書による保釈」を認める必要があり、全ての事件に適用されるわけではありません。
さらに、全弁協による審査に通過しなければ保証書は発行されません。
保証書の発行には、申請者の資力や信用力に関する確認が必要となり、保釈金額の上限も原則300万円(薬物事件は200万円)に設定されています。
また、保証料として保釈金額の2~3%程度が必要となります。
申請手続きは弁護士を通じておこなうのが原則であるため、制度の利用を希望する場合は、まず担当弁護士に相談し、条件や手続きの流れについて確認することが重要です。
保釈を実現するためには、単にお金を用意するだけではなく、裁判所への申請から保釈金の納付、そして最終的な返還に至るまで、いくつかの手続きを踏む必要があります。
ここでは、起訴後から保釈金の返還に至るまでの流れを6つのステップに分けて紹介します。
保釈の申請は、起訴されて初めておこなうことが可能です。
申請できるのは被告人本人のほか、弁護人、配偶者、直系の親族などに限られています。
通常は弁護士が被告人に代わって保釈請求書を作成・提出します。
申請には、身元引受人の情報や保釈後の生活状況、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを示す資料が添付されることが一般的です。
保釈請求が提出されると、裁判所が保釈を許可するかどうかの審査をおこないます。
この過程では、裁判官による被告人や弁護人への面接がおこなわれる場合があるほか、検察官からの意見も聴取されます。
検察官は、保釈を認めるべきではないと考える場合、「逃亡や証拠隠滅のおそれがある」「被告人の行動に不安がある」などの理由を付して反対意見を提出することがあります。
意見聴取の場では、弁護人が身元引受人の信頼性や保釈後の生活の安定性などを丁寧に説明することが、保釈許可に向けた重要なポイントです。
裁判所は、保釈請求とそれに対する検察官の意見、被告人の生活状況や事件の内容などを総合的に考慮したうえで、保釈を許可するかどうかを決定します。
また、保釈が許可される場合はあわせて保釈金の金額も裁判所から通知されます。
保釈の許可が下りたとしても、保釈金を納付しなければ実際に釈放されることはありません。
裁判所から保釈が許可されると、指定された保釈金を納める手続きに進みます。
保釈金は原則として現金での一括納付が求められ、通常は裁判所の会計課窓口で支払います。
振込による納付が可能な場合もありますが、裁判所によって対応が異なるため、詳細は弁護士を通じて確認するのが確実です。
保釈金の納付は、原則として平日の日中に限られており、金融機関の営業時間にも関係するため、スケジュールの調整が必要です。
納付が完了すると、裁判所が被告人の釈放手続きを進めます。
保釈金の納付が完了するまで、たとえ保釈が許可されていても身柄の解放は実現しないため、迅速な準備が重要です。
保釈金の納付が完了すると、裁判所から拘置所に対して保釈許可の連絡が送られ、拘置所側で手続きが整い次第、被告人は釈放されることになります。
納付から釈放までは通常1〜3時間程度が目安とされていますが、混雑状況や時間帯によって前後する場合もあります。
釈放の際には、被告人に対して保釈中の遵守事項があらためて伝えられます。
たとえば「被害者への接触禁止」「住居の制限」「出頭義務」などが定められている場合、それに違反すると保釈が取り消され、保釈金が没取されるおそれがあるので注意しましょう。
なお、保釈の際は身柄の引受人が釈放予定時刻にあわせて拘置所へ迎えに行くことが一般的です。
無事に保釈されても、裁判は続いていくため、以降の出廷義務などをしっかりと守ることが重要です。
被告人が全ての公判に出廷し、保釈中の条件を守ったまま裁判が終了すれば、保釈金は原則として全額が返還される仕組みです。
判決の内容にかかわらず、保釈中に違反がなければ返還の対象です。
返還の手続きは、裁判の判決が確定したあとに裁判所から通知され、進められます。
返金方法は、裁判所窓口での受け取りのほか、指定口座への振込に対応している場合もあります。
返還までの期間は、判決確定後おおむね1週間から10日程度が一般的です。
なお、保釈中に逃亡や証拠隠滅などの行為があった場合には、保釈金の全部または一部が没取され、返金されないことになります。
返還を受けるには必要書類の保管や手続きの確認が重要となるため、釈放時に交付された書類は大切に保管しておくようにしましょう。
保釈金は、逃亡や証拠隠滅を防ぐための担保として裁判所に預けるものであり、保釈中に定められた条件を守っていれば原則として返還される仕組みです。
しかし、一時的にまとまった金額を用意しなければならないことから、経済的な負担は小さくありません。
とはいえ、保釈金を支払えない場合でも、保釈をあきらめる必要はありません。
準抗告による減額申請のほか、家族や友人からの借入、有価証券の代用、日本保釈支援協会の立替制度、保釈保証書の利用など、さまざまな支援策があります。
こうした制度を適切に活用するためにも、まずは刑事事件にくわしい弁護士に相談することが重要です。
弁護士は被告人や家族の状況を踏まえて最適な方法を提案し、保釈の実現に向けた手続きを全面的にサポートしてくれます。
保釈制度を正しく理解し、適切な支援を受けながら、一日でも早く日常生活を取り戻すための第一歩を踏み出しましょう。
スピード違反は道路交通法に違反する犯罪行為であり、刑事罰も設けられています(道路交通法第118条1号)。
しかし、実際にはスピード違反をしても逮捕されるケースは少なく、刑事事件になる可能性も低くなっています。
それでも場合によっては警察に逮捕されることがあるため、違反行為をしたあとの対応は非常に重要といえます。
本記事では、スピード違反をしたことがある人に向けて、以下の内容について説明します。
本記事を参考に、スピード違反で逮捕されるか、逮捕されるとどうなるのかなどについて確認しましょう。
一般的に、以下のような理由から「スピード違反だけ」であれば逮捕される可能性は低いです。
通常、捜査機関が被疑者を逮捕する理由は、証拠隠滅や逃亡などを防ぐという目的があるからです。
しかし、スピード違反の場合は、捜査機関側がすでに証拠を確保しているため証拠隠滅の心配がありません。
また、交通反則通告制度により反則金を納めれば刑事事件とならないため、逮捕されにくい傾向があります。
スピード違反であっても、以下のように内容・状況によっては逮捕される可能性があります。
ここでは、スピード違反で逮捕される可能性がある代表的なケースについて確認しましょう。
交通反則通告制度による処分対象は、以下の範囲までとなっています。
上記の範囲を超えてスピード違反をしていると、交通反則通告制度の対象外となり赤切符を切られます。
さらに時速80km超など、著しくスピードを超過している場合は、拘禁刑を科されるリスクも高まります。
著しくスピードを超過しており、刑事事件となる可能性がある場合は、捜査機関に逮捕されることがあります。
スピード違反が警察に見つかるとその場で停止するよう求められます。
その警察からの制止を振り切って逃走した場合は、その後の捜査によって逮捕されるリスクが高まります。
警察の制止に応じないでいると「逃走の恐れがある」と判断され、逮捕要件を満たすことになるからです。
スピード違反の動画を撮影し、それをSNSなどで投稿する人もいます。
そのような動画を撮影・投稿している場合は、視聴者による通報がきっかけで逮捕されることがあります。
著しくスピードを超過しているものも多く、危険な運転であることから、警察が動く可能性は高いでしょう。
スピード違反が原因で警察に青切符を切られるということは多いです。
青切符を切られたにもかかわらず、反則金を納めない場合は、逮捕される可能性が高まります。
警察は「逃げ得を許さない」という方針を取っており、逮捕に踏み切るケースも多くなっています。
前科・前歴がある場合や執行猶予期間中である場合は、逮捕される可能性が高まります。
上記のような場合は「常習性がある」と判断されるため、警察は逮捕に動くことが多いようです。
また、常習性が認められるようなケースでは、起訴されて実刑判決を下される可能性もあるでしょう。
スピード違反が原因で逮捕される主なパターンは、以下のとおりです。
ここでは、スピード違反が原因で警察に逮捕される主なパターンについて説明します。
スピード違反の現場を警察に見つかり、その場で現行犯逮捕されることがあります。
もっともスピード違反だけであれば、切符を切られて逮捕されることは少ないです。
警察の制止を振り切り逃走していたり、酒気帯び運転があったりする場合は、現行犯逮捕される可能性があります。
【関連記事】現行犯逮捕とは|逮捕できる条件と流れ・捕まった場合の対策を解説
警察からの呼び出しを無視したり、重大なスピード違反をしたりしている場合は、逮捕される可能性があります。
こちらのケースでは、逮捕状を取得した警察官が自宅や職場などにやってきて、逮捕されることになるでしょう。
【関連記事】後日逮捕とは?よくある疑問や事例、やるべきことなどを解説
スピード違反で逮捕されてから刑事裁判を受けるまでの流れは、以下のとおりです。
ここでは、スピード違反で逮捕されてから刑事裁判を受けるまでの大まかな流れを説明します。
逮捕されると、まずは警察で取り調べを受けます。
主にスピード違反の理由や背景などを確認されて、供述調書という資料が作成されます。
なお、警察での取り調べは逮捕後48時間までであり、その後は検察へと事件が送致されることになります。
事件が検察へ送られると、今度は検察で取り調べを受けることになります。
検察では、一般的に警察の取り調べ内容の確認などがおこなわれることが多いです。
また、検察は送致から24時間以内に勾留請求をおこなうかどうか判断することになります。
検察が被疑者の身柄を拘束しておく必要があると判断した場合は、勾留請求がおこなわれます。
勾留請求がおこなわれた場合は裁判所で面談が実施され、裁判官が勾留決定を出すかどうかの判断をします。
勾留決定が出された場合は、原則10日以内(最長20日以内)にわたって身柄を拘束されることになります。
勾留期間中にも警察・検察は捜査や取り調べをおこない、最終的に検察は起訴・不起訴の判断をします。
不起訴の場合はすぐに釈放されますが、起訴の場合はそのまま身柄を拘束され続ける可能性があります。
なお、起訴には「略式起訴」と「正式起訴」の2通りがあり、どちらになるかで今後の流れは変わります。
略式起訴(略式裁判)と正式起訴(正式裁判)の違いは、以下のとおりです。
略式裁判の場合は、簡易裁判所の裁判官から罰金や科料が言い渡されて、即日で釈放されることになります。
一方、正式裁判の場合は事実関係などが争われて、最終的に裁判官から刑罰が言い渡されることになるでしょう。
スピード違反だけが原因で逮捕されるケースはあまり多くありません。
しかし、重大なスピード違反をしている場合や、警察の呼び出しを無視している場合は逮捕のリスクがあります。
もし上記のような状況にあり逮捕される可能性がある場合は、早めに弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。
弁護士に相談・依頼することで、逮捕を回避できたり、早期の身柄解放に繋げられたりする可能性が高まります。
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このように、過去の言動や金銭のやりとりについて不安を感じ、「結婚詐欺をしてしまったかもしれない」と心配している方も多いのではないのでしょうか。
何気なくおこなっていた行為によって、知らず知らずのうちに結婚詐欺が成立してしまう可能性もあるため、正しい知識を持たずに対応を誤ると、逮捕や起訴といった事態に発展するおそれもあります。
本記事では、結婚詐欺の定義や刑罰や罰則の内容、逮捕される可能性が高いケース、被害届を出されたときにとるべき対応について解説します。
今後どのように行動すべきか正しく選択できるようになるためにも、ぜひ参考にしてください。
結婚詐欺とは、本当は結婚する意思がないにもかかわらず、あたかも結婚するかのように装って相手を信じ込ませ、信頼を利用して金銭や財産をだまし取る行為を指します。
たとえば、内心では結婚する気持ちがないのも関わらず、結婚式場の見学に同行する、相手の家族に挨拶する、新居を一緒に探すなど、結婚に向けた具体的な行動を見せて、相手方を結婚できるであろう錯誤に陥れ、「借金を返済してから結婚したい」などともっともらしい理由を伝えて金銭を要求し、相手からお金をだまし取るケースが代表的です。
結婚詐欺は、刑法第246条の「詐欺罪」に該当して、逮捕・起訴される可能性があります。
(詐欺)
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
引用元:刑法 | e-Gov 法令検索
詐欺罪が成立するには、以下の4つ全ての要件を満たしている必要があります。
詐欺罪の刑罰は、10年以下の懲役です。
有罪判決が下されると刑務所に入るケースもあるので、重大な犯罪といえます。
なお、詐欺罪は未遂でも処罰の対象となります。
そのため、相手が金銭を支払わなくとも、嘘をついて金品をだまし取ろうとする行為を行った時点で詐欺罪の未遂が成立します。
交際相手に対して結婚詐欺を働くと、主に以下の2つの重大なリスクが生じます。
それぞれのリスクについて、詳しく見ていきましょう。
まず考えられるのは、被害者が警察に被害届を提出するリスクです。
被害届が出されると、警察は事件として捜査を開始し、証拠がそろえば詐欺罪として容疑者を逮捕する可能性もあります。
ただし、被害届を出されたからといって、すぐに逮捕されるとは限りません。
警察はまず、当事者間に実際に結婚の意思があったのか、相手をだます意図があったのかなど、詐欺罪の成立要件に該当する事実があるかを慎重に判断します。
そのため、初期段階では任意の事情聴取や電話での連絡といった対応から始まることが多いです。
しかし、同様の手口で複数の被害者が存在する場合や、不自然な事情が重なる場合には、本格的な捜査に発展し、逮捕される可能性が高まります。
もう一つは、被害者から金銭の返還や慰謝料を請求されるリスクです。
民法第96条1項では、詐欺によってなされた契約や贈与などの意思表示は取り消せる旨が定められています。
そのため、詐欺によって得た金銭や財産については返還義務が生じます。
また、結婚詐欺によって精神的な苦痛を与えたと認められる場合には、民法第709条に基づき、不法行為として慰謝料を請求されることもあります。
恋愛や金銭のトラブルは、私的な問題として処理されることもあります。
しかし、以下のようなケースでは、警察が詐欺罪として積極的に捜査・逮捕に踏み切る可能性が高くなります。
被害額が数十万円〜数百万円にのぼる場合、警察は深刻な事件と取り扱って捜査を進める傾向があります。
また、複数回にわたって金銭を受け取っていた場合は、被害が積み重ねられていると評価され、逮捕の可能性が高まります。
複数の相手に対して結婚詐欺を繰り返していた場合は、常習的な詐欺や組織的な犯罪として扱われ、悪質と判断されやすくなります。
そのほか、存在しない親族トラブルや病気、借金などを理由に金銭を要求するなど、巧妙に相手を信じ込ませるような手口も悪質と判断されやすく、逮捕後の処分にも大きな影響を与える可能性があります。
LINEやメールなどに「本当は結婚する気なんてなかった」といった内容のやりとりが残っていたり、第三者の証言によって詐欺の意図が明らかになったりした場合、それらが証拠として警察に提出されれば、逮捕につながる可能性が高まります。
被害届が提出されたことがわかった場合、適切な対応を取ることで、逮捕や起訴の可能性を下げることができます。
ここでは、主な対応として以下2つを見ていきましょう。
まず最優先すべきなのは、刑事事件を得意とする弁護士への相談です。
被害届が提出されると、警察や検察が事実関係を調査し、必要に応じて事情聴取や証拠収集を進めます。
一連の捜査により犯罪の嫌疑が固まれば、警察は逮捕や勾留に乗り出す場合もあります。
そこで、経験豊富な弁護士にあらかじめ相談しておけば、現在の状況を整理したうえで、今後の見通しや、起訴・不起訴の判断に影響するポイントについても丁寧に説明してくれるはずです。
また、取り調べにはどう対応すればよいかといった具体的なアドバイスも受けられます。
被害届が提出されたあとであっても、示談が成立すれば、逮捕や起訴を避けられる可能性があります。
示談とは、加害者と被害者の間で、損害賠償や謝罪の方法などについて合意し、事件を円満に解決することを目的とした合意のことです。
検察が事件を起訴するかどうかを判断する際、被害者の処罰感情や被害の回復状況も重要な要素とします。
そのため、あらかじめ示談を成立させておくことは、不起訴処分や処分の軽減につながる大きなポイントになるのです。
ただし、加害者本人が直接謝罪や示談を申し出ることは慎重におこなうべきです。
なぜなら、被害者の感情を逆なでするおそれがあるだけでなく、態度によっては謝罪や返金の意思が「脅迫」と受け取られてしまうリスクもあるからです。
そのため、示談交渉は必ず弁護士を通じておこなうようにしましょう。
弁護士が第三者として中立的かつ法的な立場で関与することで、より安全かつ円滑に話を進められます。
本記事では、結婚詐欺についてわかりやすく解説しました。
結婚を信じ込ませて金銭を受け取る行為は、状況によっては詐欺罪に該当する可能性があります。
相手が警察に被害届を提出すれば、捜査が進み、結婚詐欺と認定されれば、10年以下の懲役という重い刑罰が科されることもあります。
決して軽く考えてよい問題ではありません。
実刑判決や前科を避けるためには、できるだけ早く刑事事件に強い弁護士に相談することが重要です。
弁護士に相談すれば、現状の整理や今後の見通し、逮捕・起訴を避けるための具体的な対応、被害者との示談交渉の支援など、専門的なサポートを受けることができます。
「ベンナビ刑事事件」を利用すれば、詐欺事件を得意とする弁護士を地域に応じて簡単に検索できます。
できるだけ早めに弁護士のサポートを受けるためにも、ぜひご利用ください。
このような不安や疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
在宅事件になると、逮捕や勾留を受けることなく、普段通りの生活を続けながら捜査に応じられます。
ただし、在宅のままでも起訴や裁判に進む可能性は十分にあり、決して油断はできません。
在宅事件の仕組みや、身柄拘束を避けるためのポイントをあらかじめ理解しておけば、精神的な負担が軽くなり、より適切な対応ができるようになるでしょう。
本記事では、在宅事件の基本的な意味や身柄事件との違い、在宅事件になった場合に知っておくべきポイントなどを解説します。
手続きに関する不安を少しでも軽減するためにも、ぜひ参考にしてください。
在宅事件とは、被疑者が逮捕や勾留などの身柄拘束を受けずに、捜査が進められる刑事事件をいいます。
たとえ犯罪の疑いがあっても、「逃亡のおそれ」や「証拠隠滅のおそれ」があるなど、法律で定められた条件を満たさなければ、逮捕されることはありません。
条件を満たさない場合には、任意の手続きによる捜査が適切とされるため、強制力を伴わない任意捜査である在宅事件として処理されるのです。
そして、在宅事件では被疑者が留置所に入る必要がないため、通常の生活を続けながら捜査に対応することになります。
しかし、身柄を拘束されない分、捜査が長期化する傾向があり、定期的に数ヵ月、あるいはそれ以上にわたって取り調べを受けるケースも少なくありません。
また、ある日突然逮捕されたり裁判にかけられることもあるので、注意が必要です。
【関連記事】逮捕とは|3種類の逮捕の特徴・その後の流れと対処法を解説
身柄事件とは、被疑者が逮捕や勾留を受けて捜査が進められる刑事事件をいいます。
身柄事件と在宅事件の主な違いは、以下の3つです。
| 項目 | 身柄事件 | 在宅事件 |
| 取り調べ方法 | 留置所に収容された被疑者へおこなう | 被疑者を任意で出頭させておこなう |
| 弁護人の選任 | 国選弁護人を選任できる | 国選弁護人を選任できない(私選弁護人を選ぶ必要がある) |
| 捜査期間 | 最長23日間 | 期間制限がない(長期間にわたることも多い) |
在宅事件では逮捕や勾留といった身柄拘束はされませんが、捜査は進行していることに変わりはないので、手続きについてある程度理解しておいたほうがよいでしょう。
ここでは、在宅事件になった場合の刑事手続きに関する基本的な知識を解説します。
在宅事件の大きなメリットは、普段通り会社や学校に通える点です。
身柄事件の場合、起訴・不起訴の判断が出るまで最長23日間の身体拘束を受ける可能性があります。
この間は出勤や登校ができず、欠勤や欠席の理由を十分に説明できないと、職場で解雇や減給、学校で退学などの不利益を受けるリスクが生じます。
一方、在宅事件では身柄拘束がないため、通常の生活を続けることが可能です。
そのため、仕事や学業に与える影響が比較的少なく、社会的信用を失うリスクも抑えられます。
在宅事件では、警察や検察から呼び出しを受けることがありますが、その回数は事件の内容や対応状況によって異なります。
軽微な事件で容疑を認めている場合は、警察の取り調べが1回〜2回、検察官による聴取が1回程度、合計3回前後の呼び出しで済むことが一般的です。
ただし、容疑を否認している場合や被害が大きい場合、共犯者が関わる事件では呼び出し回数が増えることがあります。
また、書類送検後に補充捜査が必要と判断されれば、再度呼び出されるケースもあります。
なお、警察や検察からの連絡や呼び出しには誠実に対応しましょう。
無視して出頭を拒むと、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断され、逮捕される可能性が高まってしまいます。
在宅事件として捜査が進んでいても、あとから重要な証拠が見つかった場合などには、突然逮捕される可能性があります。
「在宅事件になったから安心」と安易に判断せず、状況によっては警察や検察の捜査方針が変わる可能性があることを理解しておきましょう。
捜査によって十分な証拠が集まり、犯罪の嫌疑が強いと判断された場合には、在宅事件であっても起訴される可能性があります。
起訴後は、身柄を拘束されないまま刑事裁判を受けます。
裁判所から指定された期日に自宅から裁判所へ出向く必要がありますが、通常は期日の調整が可能であり、仕事や学業への影響も比較的少なく済むのが一般的です。
刑事手続きが進む中で不起訴処分を得られれば、前科がつかずに事件を終結できます。
そして、不起訴となる可能性を高めるためには、以下のようなポイントを押さえることが大切です。
ここでは、不起訴を目指すうえで特に意識したい3つのポイントを解説します。
被害者への謝罪と示談の成立は、不起訴の可能性を高めるために効果的です。
検察官が起訴の可否を判断する際、被害者との関係が修復されているかどうかを重要な要素とします。
そのため、示談が成立し、被害者が「これ以上の処罰を望まない」という意思を示せば、不起訴処分となる可能性が高まるのです。
なお、示談を成立させるためには、被害者に誠意をもって謝罪をおこないましょう。
示談書には「今後は処罰を求めない」という内容を記載するのが一般的で、これを検察官に提出すれば反省と被害回復の意思を伝えられます。
ただし、トラブルの原因となりやすいので、被害者との連絡は慎重におこなう必要があります。
可能であれば、弁護士を通じてやり取りしましょう。
自分に非があると感じている場合は、警察や検察の取り調べに素直に応じましょう。
捜査機関に嘘をついたり、事実を隠そうとしたりすると、「反省していない」または「証拠隠滅のおそれがある」と判断され、刑罰が重くなるおそれがあります。
一方で、率直に事実を認め、深く反省している姿勢が伝われば、刑罰が軽くなる可能性が高まります。
また、供述調書に記載される内容は起訴・不起訴の判断に大きく影響します。
取り調べで「今後は同じことを繰り返さない」といった反省の言葉や生活改善の努力を伝えれば、検察官は再犯可能性が低く更生の可能性が高いと判断する材料となるでしょう。
ただし、犯行内容にまったく身覚えがない場合は、無理に事実を認める必要はありません。
この場合は、弁護士と相談しながら否認の意思をはっきり示しましょう。
不起訴処分を獲得するためには、刑事事件を得意とする弁護士に依頼することも非常におすすめです。
弁護士は、取り調べに関する助言、被害者との示談交渉、検察官に提出する意見書の作成など、あらゆる面で被疑者をサポートすることができます。
在宅事件であっても、後日逮捕される可能性がゼロとはいえません。
そのため、万が一に備えて早めに弁護士に相談し、安心して捜査に対応できるよう準備しておくことが大切です。
在宅事件になった場合に注意すべきポイントがいくつかあります。
ここでは、主なポイントを3つ紹介します。
在宅事件では、不起訴になったかどうかを自分で確認する必要がある点に注意が必要です。
なぜなら、不起訴処分が決まったとしても、「不起訴になりました」といったお知らせが自動的に自宅に郵送されてくるわけではないからです。
不起訴となったかどうか確認するには、自分で「不起訴処分告知書」を取得する必要があります。
告知書の取得は義務ではありませんが、会社から提出を求められたり、ビザや永住権の申請に必要になったりする場合があります。
将来のトラブルを避けるためにも、できるだけ取得しておくことをおすすめします。
弁護士に依頼している場合は、代わりに請求してもらえることもあります。
ただし、国選弁護人を利用した場合、釈放後に対応が終了してしまい、告知書の請求まではおこなってもらえないケースが一般的です。
弁護士がいない場合は、本人が郵送または検察庁に直接出向いて請求します。
郵送する際は、必要事項を記入した申請書と切手を貼った返信用封筒を同封して送付しましょう。
窓口で請求する場合は、事前に検察事務官と日程を調整し、身分証明書とシャチハタ以外の認印を持参しましょう。
在宅事件では、身柄事件と比較すると捜査機関が長期化する傾向がある点に注意が必要です。
身柄事件では、最長23日以内に起訴・不起訴を判断する必要があります。
しかし、在宅事件では期間期限がないので、数ヵ月から1年以上不安な日々を過ごさなければならない場合もあります。
「もう終わったのでは?」と思っていたタイミングで、突然起訴状が届くというケースも少なくありません。
いつ終わるかわからない不透明な状況が続くと、精神的な負担も大きくなるでしょう。
逮捕された場合は、勾留期間中から「国選弁護人制度」を利用できるのが通常です。
しかし、在宅事件の場合、起訴前に国選弁護人制度を使うことはできません。
「逮捕されていないし、裁判にもならないだろう」と考えて、弁護士への依頼を先送りにする方もいます。
しかし、在宅事件であっても、示談交渉や証拠の整理、検察への対応など、早めに進めておくべき重要な対応が数多くあります。
これらをひとりで対応するのは非常に難しいので、弁護士のサポートがなければ、不起訴の可能性を逃してしまうかもしれません。
本記事では、在宅事件についてわかりやすく解説しました。
在宅事件は、逮捕や勾留を受けずに捜査が進むため、「それほど重大な問題ではない」と軽く考えてしまう方も少なくありません。
しかし、在宅事件であっても、犯罪の嫌疑が固まれば起訴される可能性はあります。
また、身柄を拘束されない分、捜査が長引く傾向があり、処分結果が出るまでに時間がかかるケースも多くあります。
先の見えない不安を抱えながら過ごすことは、精神的にも大きな負担となるでしょう。
こうした不安を少しでも和らげるためには、できるだけ早い段階で私選弁護士に相談することが重要です。
弁護士に相談すれば、現在の状況や今後の見通し、不起訴に向けた適切な対応などについて、専門的なアドバイスを受けられます。
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起訴のリスクを少しでも抑えるためにも、ベンナビ刑事事件を活用し、自分にあった弁護士を見つけましょう。