- 「離婚を考えているけど、自分の理由は世間的に見て妥当なのだろうか」
- 「価値観の違いで離婚したいけど、相手が応じなかったらどうなる?」
配偶者との関係に悩み、離婚を検討し始めたとき、まず気になるのが「ほかの人はどんな理由で離婚しているのか」ではないでしょうか。
令和6年の司法統計によると、離婚原因の1位は男女ともに「性格の不一致」です。
しかし、ランキング上位の理由であっても、それがそのまま法的な離婚原因として認められるとは限りません。
本記事では、最新の統計データにもとづく離婚原因ランキングを男女別に紹介したうえで、それぞれの理由が法的にどう評価されるのかを解説します。
離婚を決断する前に確認すべきポイントもまとめていますので、今後の判断材料としてお役立てください。
離婚原因ランキングで男女とも1位は「性格の不一致」

令和6年の司法統計によると、離婚原因として最も多く挙げられているのは男女ともに「性格が合わない」です。
これは価値観や生活習慣のズレ、コミュニケーション不足など、日常生活の中で積み重なった不満が離婚を決意させる大きな要因となっていることを示しています。
自分の状況を客観的に把握するためにも、まずは男女別のランキングを確認しましょう。
参考:令和6年司法統計
【男性】離婚原因ランキングTOP7
令和6年の司法統計にもとづく、男性側が申し立てた離婚原因のランキングは以下のとおりです。
| 動機 | 件数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 性格が合わない | 9,233 | 60.0% |
| 異性関係 | 1,820 | 11.8% |
| 浪費する | 1,764 | 11.5% |
| 性的不調和 | 1,622 | 10.5% |
| 暴力を振るう | 1,441 | 9.4% |
| 病気 | 629 | 4.1% |
| 酒を飲み過ぎる | 377 | 2.4% |
参考:令和6年司法統計
男性のランキングで特徴的なのは、「異性関係」が2位に入っている点です。
妻の不貞行為を理由に離婚を申し立てるケースが一定数あることがわかります。
また、「浪費する」「性的不調和」が上位に並んでおり、経済面や夫婦間のコミュニケーションに関する不満が離婚の引き金になっていることがうかがえます。
「暴力を振るう」も9.4%と決して少なくなく、妻からのDV被害に悩む男性も存在します。
【女性】離婚原因ランキングTOP7
同じく令和6年の司法統計による、女性側が申し立てた離婚原因のランキングは以下のとおりです。
| 動機 | 件数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 性格が合わない | 16,503 | 38.3% |
| 暴力を振るう | 7,690 | 17.9% |
| 異性関係 | 5,743 | 13.3% |
| 浪費する | 3,662 | 8.5% |
| 性的不調和 | 2,862 | 6.7% |
| 酒を飲み過ぎる | 2,479 | 5.8% |
| 病気 | 948 | 2.2% |
参考:令和6年司法統計
女性のランキングでは、「暴力を振るう」が17.9%で2位に入っている点が特徴的です。
男性の同項目(9.4%)と比較すると約2倍の割合であり、夫からのDV被害が女性にとって深刻な離婚原因となっていることがわかります。
また、「異性関係」が13.3%で3位、「浪費する」が8.5%で4位と続きます。
夫の不貞行為や金銭問題が、離婚を決意する大きな要因になっています。
男性のランキングと比較すると、女性は身体的な安全や経済的な安定に関わる理由が上位に多い傾向があります。
離婚原因ランキング上位7つを法的視点で解説
ランキング上位の離婚理由であっても、法的な離婚原因(法定離婚事由)としてそのまま認められるとは限りません。
離婚の方法によって、求められる条件は異なります。
狭義離婚であれば、夫婦双方が合意すれば理由を問わず離婚が成立します。
しかし、話し合いがまとまらず訴訟へ移行する場合、民法770条に定められた「法定離婚事由」のいずれかに該当する必要があります。
- 一 配偶者に不貞な行為があったとき。
- 二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
- 三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
- 四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
- 五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
引用元:民法 | e-Gov 法令検索
「自分の離婚理由は法的に認められるのか」という疑問を持つ方も多いでしょう。
ここからは、ランキング上位の各原因が法律上どのように評価されるのか、具体的に解説していきます。
性格の不一致|これだけでは離婚は難しい
単に性格が合わないという理由だけでは、裁判で離婚が認められる可能性は低いです。
性格の不一致は法定離婚事由に直接該当しないため、裁判離婚を成立させるには「婚姻を継続し難い重大な事由」として婚姻関係が完全に破綻していることを証明する必要があります。
具体的には、以下のような客観的な事実とセットで主張するのが一般的です。
- 長期間(3〜5年以上)の別居が継続している
- 夫婦間のコミュニケーションが完全に断絶している
- 修復に向けた努力をしたが改善しなかった経緯がある
お互いの合意があれば協議離婚は可能ですが、相手が拒否した場合は、別居期間を積み重ねるなど「婚姻関係の破綻」を示す事実が必要になります。
関連記事:性格の不一致で離婚は可能?慰謝料の相場やチェックすべきポイント6つ
異性関係・不貞行為|離婚・慰謝料が認められる典型例
配偶者と第三者との間に肉体関係(不貞行為)があったことを立証できれば、離婚や慰謝料請求が認められます。
法的な不貞行為とは、配偶者以外の異性と性的関係を持つことを指します。
単なる食事やデートだけでは不貞行為とは認められません。
不貞行為を証明するための有効な証拠には、以下のようなものがあります。
- ラブホテルへの出入りを撮影した写真・動画
- 肉体関係を示唆するLINEやメールのやり取り
- 探偵事務所による調査報告書
配偶者が不貞を認めている場合は協議での解決が可能ですが、否定している場合は証拠の確保が重要になります。
証拠が不十分なまま離婚を切り出すと、相手に証拠隠滅の機会を与えてしまう可能性があるため、まずは弁護士に相談して戦略を立てることが得策です。
関連記事:浮気の証拠になるもの15選!裁判で認められにくいものや自分で集めるときの注意点も
暴力を振るう(身体的DV)|即時保護と離婚が認められやすい
身体的DVは、法定離婚事由の「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当します。
たとえ一度きりの暴力でも離婚が認められる可能性は高く、慰謝料請求も通りやすいケースです。
離婚や慰謝料請求を有利に進めるためには、以下の証拠を確保しておくことが重要です。
- 医師による診断書(打撲、骨折などの記録)
- 怪我の写真(日付がわかるように撮影)
- 警察への相談記録
- 配偶者暴力相談支援センターへの相談履歴
DV案件では、被害者の安全確保と離婚手続きを同時に進める必要があります。
証拠の集め方や別居のタイミング、保護命令の申立て方法など、早い段階で弁護士に相談し、状況に応じた具体的なアドバイスを受けましょう。
精神的虐待・モラハラ|継続性と悪質性が判断基準
モラハラ(精神的虐待)も、程度が著しければ「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当し、離婚が認められる可能性があります。
ただし、身体的DVと異なり外傷が残らないため、証拠集めが重要です。
- 暴言や人格否定の発言を録音した音声データ
- 被害の内容と日時を詳細に記録した日記
- 心療内科での診断書(うつ病、適応障害など)
裁判では、単発の暴言よりも「長期間にわたる継続的な言動」が重視されます。
日頃からスマホの録音アプリを活用する、LINEのやり取りを保存しておくなど、証拠を積み重ねておきましょう。
金銭問題・生活費の不払い|悪意の遺棄に当たる可能性
正当な理由なく生活費を渡さないことは、法定離婚事由の「悪意の遺棄」に該当する可能性があります。
民法では、夫婦は互いに扶助する義務を負っており、生活費(婚姻費用)を分担しなければなりません。
十分な収入がありながら故意に生活費を渡さないのは、この義務に明確に違反しています。
また、ギャンブル依存や浪費癖、多額の借金なども、家庭生活を破壊するレベルであれば「婚姻を継続し難い重大な事由」として離婚原因になり得ます。
生活費を渡してもらえず困っている場合は、家庭裁判所に「婚姻費用分担請求調停」を申し立てる方法があります。
調停で金額が決まれば、相手に支払いを強制する法的根拠ができ、応じない場合は給与の差押えも可能です。
関連記事:姻費用調停とは?聞かれる6つの項目や流れ・有利に進めるコツを解説!
性的不調和・セックスレス|期間や事情による判断
正当な理由のない長期間のセックスレスは、「婚姻を継続し難い重大な事由」として認められる場合があります。
一般的には、1年以上の性的関係の拒否が続いていること、改善に向けた話し合いや努力をしたにもかかわらず状況が変わらなかったことなどが考慮されます。
ただし、以下のような事情がある場合は、離婚事由として認められないこともあります。
- 病気や怪我により性行為が困難な場合
- 高齢により身体的に難しい場合
- 妊娠・出産後の一時的な期間
セックスレスは非常にデリケートな問題であり、証拠化が難しい側面があります。
また、話し合いの場で感情的になりやすいテーマでもあるため、第三者である弁護士を介して冷静に交渉を進めることをおすすめします。
関連記事:セックスレスで離婚できる?離婚できるケース・離婚の流れ・慰謝料相場を解説
病気|認められるケースは限定的
民法770条1項4号では「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」を離婚事由として定めていますが、認められるケースは限定的です。
まず、身体的な病気(がん、難病など)は原則として離婚事由になりません。
精神疾患についても、「強度」かつ「回復の見込みがない」の両方の条件を満たす必要があります。
離婚が認められる可能性があるケースは以下のとおりです。
- 統合失調症や躁うつ病などで長期間回復の見込みがない
- 夫婦としての精神的交流が完全に失われている
- 離婚後も病者の生活・療養について具体的な手当てが用意されている
一方、うつ病など回復可能性のある精神疾患のみを理由とする場合や、病者の離婚後の生活に配慮がない場合は、離婚が認められない傾向にあります。
病気を理由とした離婚は、裁判所も慎重に判断するため、認められるハードルは高いと考えておきましょう。
離婚を決断する前に確認すべきこと3つ
離婚は人生における大きな決断です。
感情的に行動する前に、法的な視点と将来の生活設計の観点から、冷静に確認すべきポイントがあります。
後悔のない選択をするためにも、以下の3点を事前にチェックしておきましょう。
①自身の離婚理由が法的に通用するか
まず確認すべきは、自分の離婚理由が法定離婚事由に該当するかどうかです。
協議離婚であれば、双方が合意すれば理由を問わず成立します。
しかし、相手が拒否すれば調停・裁判へと進むことになり、その場合は民法770条に定められた法定離婚事由のいずれかに該当する必要があります。
「性格の不一致」や「価値観の違い」だけでは、裁判で離婚が認められにくいのが現実です。
以下の点を事前に整理しておきましょう。
- 離婚原因を証明できる証拠はあるか
- 別居期間はどのくらいか(または別居を開始できる状況か)
- 修復に向けた話し合いや努力をした経緯はあるか
相手が離婚を拒否している場合は、別居を開始して期間の実績を作るなど、「婚姻関係の破綻」を客観的に示す準備が必要になります。
②離婚後の経済的な見通しは立っているか
離婚後の生活を安定させるには、経済面の見通しを具体的に立てておくことが不可欠です。
まず、財産分与の対象となる共有財産を洗い出しましょう。
婚姻期間中に築いた預貯金、不動産、生命保険の解約返戻金、退職金(婚姻期間に対応する部分)、株式などが対象となり、原則として2分の1ずつ分割されます。
子どもがいる場合は、養育費の相場も確認が必要です。
裁判所が公開している「養育費算定表」を参考にすれば、双方の収入や子どもの年齢・人数に応じた目安がわかります。
そのうえで、離婚後の収支を具体的に試算してみてください。
自身の収入だけで生活費をまかなえるか、専業主婦(主夫)の場合は就労の準備が必要かを検討します。
ひとり親世帯が受けられる公的扶助(児童扶養手当、医療費助成など)も把握しておくと、より現実的な生活設計ができます。
③子どもの親権や面会交流をどうするか
未成年の子どもがいる場合、親権者を決めなければ離婚届は受理されません。
親権者の決定にあたっては、以下の点を踏まえて検討します。
- 子どもの年齢と意思
- これまでの養育実績(主に誰が世話をしてきたか)
- 離婚後の生活環境(住居、収入、サポート体制など)
- 子どもの学校や友人関係への影響
また、親権を持たない親と子どもの「面会交流」についても取り決めが必要です。
頻度、場所、連絡方法などを具体的に決めておくことで、離婚後のトラブルを防げます。
離婚原因についてお悩みなら弁護士へ相談を
「自分の離婚理由は法的に認められるのか」「どう進めればいいのかわからない」といった悩みは、離婚問題に詳しい弁護士に相談するのが確実な解決策です。
弁護士に相談・依頼することで、以下のようなメリットがあります。
- 法的に有利な条件での交渉が可能になる
- 相手との直接交渉を代行してもらい、精神的負担が軽減する
- 調停や裁判など、煩雑な法的続きを任せられる
多くの法律事務所では初回無料相談を実施しており、電話やオンラインで対応してもらえるケースも増えています。
まだ離婚を決めたわけではないという段階でも問題ありません。
今の状況が法的にどう評価されるのかを知っておくだけで、今後の選択肢が明確になります。
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離婚の原因に関するよくある質問
離婚を検討している方から寄せられる、よくある質問とその回答をまとめました。
ご自身の状況と照らし合わせて参考にしてください。
Q. 自分の不倫が原因でも離婚は成立する?
自分が不倫をした側(有責配偶者)からの離婚請求は、原則として認められにくいです。
法律上、婚姻関係の破綻を自ら招いた有責配偶者からの離婚請求は、信義則に反するとして認められない傾向にあります。
ただし、以下のような条件を満たす場合は、例外的に離婚が認められる可能性があります。
- 長期間の別居が継続している(一般的には7〜10年以上)
- 未成年の子どもがいない
- 離婚により相手方が精神的・経済的に苛酷な状況に置かれない
以上の条件を満たしていなくとも離婚できることがありますので、有責配偶者からの離婚を検討している場合は、まず弁護士に相談して見通しを確認することをおすすめします。
Q. 熟年離婚で多い原因とは?
熟年離婚では、長年の不満の積み重ねや、定年退職を機にした生活環境の変化が主な原因となります。
性格の不一致に加え、親の介護負担の押し付けや、夫が一日中家にいることによる在宅ストレスが引き金になるケースが目立ちます。
子どもの独立や夫の定年退職は、夫婦関係を見直す卒婚や離婚のタイミングになりやすいと言えます。
熟年離婚の割合は年々増加傾向にあり、決して珍しいことではありません。
老後の資金計画とセットで慎重に検討することが重要です。
Q. スピード離婚を決意する主な原因は?
結婚から短期間で離婚に至る「スピード離婚」の主な原因は、結婚前後のギャップです。
同居を始めて初めて、相手の生活習慣や金銭感覚が見えてくることがあります。
「こんな人だと思わなかった」という失望が、早期の離婚決断につながります。
- 生活習慣の違い(衛生観念、食事、睡眠時間など)
- 金銭感覚のズレ(浪費癖、過度な節約など)
- 将来設計の不一致(子どもを持つかどうかなど)
- 結婚後に発覚した問題(借金、DV、モラハラ、過度な親への依存など)
これらは交際期間中には見えにくく、同居して初めて顕在化するケースが少なくありません。
Q. 特別な原因がなくても離婚は成立する?
特別な理由がなくても、夫婦双方が合意すれば離婚は成立します。
日本の離婚の約9割は協議離婚であり、双方が離婚届に署名・押印して役所に提出すれば、理由を問わず受理されます。
調停離婚も、話し合いで双方が合意すれば成立します。
相手が離婚を拒否し、裁判に発展した場合は、民法770条に定められた法定離婚事由が必要です。
「特に理由はないが離婚したい」という主張だけでは認められません。
つまり、相手が同意していれば理由は不要ですが、同意が得られなければ法的な離婚原因が求められるということです。
まとめ
離婚原因ランキングでは、男女ともに「性格の不一致」が1位です。
このほかにも「精神的虐待」「金銭問題」「DV」「異性関係」など、離婚を決意する理由は人によって異なります。
ただし、これらの理由がそのまま法的な離婚事由として認められるとは限りません。
相手が離婚に応じない場合、裁判で認められるかどうかは、法定離婚事由への該当性と証拠の有無にかかっています。
感情だけで進めると、条件面で不利な結果を招くリスクがあります。
後悔のない選択をするためにも、まずは専門家に相談し、自分の状況を客観的に把握してみてください。
