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熟年離婚のメリットとは?原因やデメリット、必要な準備も解説

監修者
金森 将也
弁護士
熟年離婚のメリットとは?原因やデメリット、必要な準備も解説
目次
  1. 熟年離婚とは?
  2. 熟年離婚の原因とは?
    1. 妻から見た原因
    2. 夫から見た原因
  3. 熟年離婚のメリット5つ
    1. 配偶者へのストレスから解放される
    2. 自分のためだけに使える自由な時間とお金が増える
    3. 義父母の介護や親戚付き合いの負担がなくなる
    4. 新しい人間関係やキャリアを築ける可能性がある
    5. 子どもや孫と関係を改善できる可能性がある
  4. 熟年離婚のデメリット5つ
    1. 経済的に困窮する可能性がある
    2. 精神的な孤独を感じる
    3. 病気や介護が必要になった時に頼れる人がいなくなる
    4. 子どもや孫との関係が悪化する可能性がある
    5. 社会的な手続きが煩雑になる
  5. 熟年離婚に向けた準備
    1. 1.離婚後の生活を具体的にシミュレーションする
    2. 2.夫婦の共有財産をリストアップする
    3. 3.離婚後の住まいと仕事の目処をつける
    4. 4.不貞行為やDVなどがある場合は証拠を確保する
    5. 5.離婚の切り出し方とタイミングを見極める
    6. 6.弁護士に相談して法的な見通しを立てる
  6. 熟年離婚の3つの流れ
    1. 協議離婚|夫婦で話し合う
    2. 調停離婚|調停委員のもとで解決する
    3. 裁判離婚|調停が不成立なら判決を下してもらう
  7. 熟年離婚を切り出す前に弁護士に相談するメリット
  8. 離婚の相談は「ベンナビ離婚」
  9. 熟年離婚に関するよくある質問(Q&A)
    1. Q.専業主婦で収入がなく、離婚後の生活が不安です。
    2. Q.熟年離婚後に利用しうる公的な支援制度にはどんなものがありますか?
    3. Q.離婚せずに関係を解消する「卒婚」とはどう違いますか?
  10. まとめ|熟年離婚の不安を弁護士への相談で解消しましょう

熟年離婚を検討しているものの、本当に離婚すべきか冷静に見極めたいと考えていませんか。

熟年離婚には、精神的なストレスからの解放や自由な時間の確保といったメリットがあります。

しかし、経済面の不安や孤独感などのデメリットも存在するため、感情的に決断すると後悔につながりかねません。

本記事では、熟年離婚のメリット・デメリットを具体的に解説します。

財産分与や年金分割など離婚後の生活に直結するお金の知識、後悔しないための準備についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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熟年離婚とは?

熟年離婚とは、一般的に婚姻期間20年以上かつ50歳以上の夫婦の離婚を指します。

厚生労働省の令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況によれば、2024年に離婚した夫婦のおよそ5組に1組が同居期間20年以上です。

近年では、熟年離婚は決して珍しいものではなくなりました。

平均寿命の延伸、女性の経済力向上、年金分割制度の導入といった社会的背景により、熟年離婚は人生の後半で新たな道を選ぶ現実的な選択肢として捉えられています。

熟年離婚の原因とは?

夫と妻、それぞれの視点で見ると、離婚を考えるきっかけは異なるかもしれません。

以下では、妻側・夫側それぞれの視点から、熟年離婚の原因を詳しく解説します。

妻から見た原因

妻が熟年離婚を考える主な原因として、夫からのモラハラ的な言動が挙げられます。

「誰のおかげで生活できるんだ」という高圧的な発言に傷つく方は少なくありません。

日常的に否定的な言葉を浴びせられたり、家事や育児に無関心な態度を取られたりするのも不満の原因になるでしょう。

夫の定年退職が離婚の引き金になる場合もあります。

夫が家にいる時間が増えると、三度の食事準備や日常的な気遣いに負担を感じる方もいます。

夫の世話係のような生活に疲れ果て、離婚を決意するケースもあるでしょう。

さらに、子どもの独立も大きな転機です。

子育てという共通の目的がなくなると、夫婦でいる意味を見いだせなくなる方もいます。

夫から見た原因

夫側から見た熟年離婚の原因の一つに、定年退職後の家庭での孤立感が挙げられます。

仕事中心の生活を終え、家庭に戻ると居場所がないと感じる方は珍しくありません。

妻から冷たい態度をとられ、孤独感が強まることもあるでしょう。

また、定年後の生活に対する考え方の違いも原因となり得ます。

夫は「夫婦で旅行してのんびり過ごしたい」と考えていても、妻は「友人との時間や趣味を楽しみたい」と望んでいる場合もあるでしょう。

将来の過ごし方への認識の違いが、夫婦関係の亀裂に繋がります。

経済力がある点も、夫が離婚に踏み切りやすい要因です。

退職金や年金で生活できる見通しがあれば、我慢し続ける必要がないと判断する方もいるでしょう。

【関連記事】離婚原因ランキングTOP14!あなたの夫婦関係は大丈夫?

熟年離婚のメリット5つ

熟年離婚は、精神的・時間的な自由を手に入れ、自分らしい第二の人生をスタートさせる機会となり得ます。

以下では、熟年離婚の主なメリットを解説します。

配偶者へのストレスから解放される

配偶者へのストレスから解放されるのは、熟年離婚のメリットの一つです。

長年の結婚生活では、価値観の違いや会話の減少、相手への遠慮や我慢が積み重なりやすくなります。

常に気を張った状態で生活するのが当たり前になると、心身への負担が増すでしょう。

たとえば、相手の機嫌を優先して行動を選んだり、本音を伝えられなかったり、衝突を避け続けたりする状況です。

離婚によって、ストレスの原因となっていた関係そのものから距離を置くと、心の緊張が和らぎます

精神的な負担が軽減されることで、不眠や体調不良が改善されるケースも少なくありません。

自分のためだけに使える自由な時間とお金が増える

これまで家族のために使ってきた時間やお金を、自分のために使えるようになる点もメリットです。

結婚生活では、配偶者や家族を優先する生活リズムや家計管理が前提となりがちです。

結果的に、自分の希望や価値観が後回しになり、不満を抱えたまま過ごすケースも少なくありません。

離婚後は、誰にも干渉されず、趣味や習い事、友人との交流に時間を自由に使えます

休日の過ごし方や食事の時間も自分の意思で決められるため、日常生活のストレスが軽減されるでしょう。

自分自身の判断で資産を管理・運用でき、お金の使い道を他人に制限されることもありません。

時間やお金の使い方を自分で決められるようになると、自分の人生を生きているという実感を取り戻せるでしょう。

義父母の介護や親戚付き合いの負担がなくなる

義父母の介護や親戚付き合いといった負担から解放される点も、熟年離婚のメリットの一つです。

婚姻中に介護を一人で担っていた場合、精神的・肉体的負担は相当なものです。

また、気乗りしない親戚の集まりや冠婚葬祭への参加に伴う金銭的・時間的な負担も、積み重なるとストレスとなり得ます。

離婚が成立すると、法的には配偶者の親族との姻族関係も終了します。

そのため、義父母の介護や形式的な親戚付き合いを続ける必要は基本的にありません。

離婚後は、義務的な人間関係から距離を置き、自分自身や自分の親の生活、老後に集中できる環境を整えられるでしょう。

新しい人間関係やキャリアを築ける可能性がある

熟年離婚は、人間関係や社会との関わり方を見直すきっかけになり得ます。

結婚生活に縛られていた時間的・心理的制約が減ると、新しい活動に目を向けやすくなるでしょう。

趣味や地域活動を通じて、新たな人間関係が生まれるかもしれません。

また、時間の使い方を自分で決められるようになり、働き方の選択肢も広がります。

資格取得や再就職、経験を活かした仕事に挑戦する方も少なくありません。

熟年離婚は、社会とのつながりを失うものではありません。

自分の価値観に合った関係や役割を、あらためて築き直す出発点となり得ます。

子どもや孫と関係を改善できる可能性がある

熟年離婚が、子どもや孫との関係を見直すきっかけになる可能性もあります。

両親の不仲が続く環境は、成人した子どもにとっても心理的な負担になり得ます。

子どもが独立していても、緊張感のある家庭の雰囲気が、帰省や家族の集まりを憂鬱にさせるかもしれません。

親が離婚を経て精神的に安定し、落ち着いた生活を送れるようになれば、子どもも安心でしょう。

夫婦喧嘩が絶えない家よりも、訪ねやすくなるかもしれません。

また、一人の大人として対等に付き合えるようになると、関係が改善する場合もあります。

率直に話せる関係が築ければ、以前よりも深いつながりが生まれる可能性もあるでしょう。

熟年離婚のデメリット5つ

熟年離婚には、経済面や精神面で考慮すべき点もあります。

メリットばかりに目を向けると、離婚後に想定外の困難に直面するかもしれません。

後悔を避けるために、事前にデメリットを理解し、対策を検討しましょう。

以下で示すデメリットは、計画的な準備によって軽減できる可能性があります。

経済的に困窮する可能性がある

離婚後、経済的に困窮する可能性があります。

特に専業主婦(夫)の場合、離婚後の収入源は年金のみになるケースが多いでしょう。

厚生労働省の調査によると、令和6年度の平均年金月額は以下のとおりです。

国民年金のみ 国民年金+厚生年金
男性 6万1595円 16万9967円
女性 5万7582円 11万1413円
男女全体 5万930円 15万0289円

【参照】令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況|厚生労働省

家賃や光熱費、食費を賄うには不十分な金額といえます。

物価上昇によって生活費が増加したり、突発的な医療費や介護費が発生したりする可能性もあります。

想定していた老後の資金計画が崩れるリスクを考慮しなければなりません。

熟年離婚を検討する際は、財産分与や年金分割で得られる金額と、毎月の収支をシミュレーションし、長期的な資金計画を立てましょう。

精神的な孤独を感じる

離婚により一人で過ごす時間が増えると、想像以上の孤独感に襲われることもあるでしょう。

日常の出来事を共有する相手がいなくなる寂しさは、想像以上に大きいかもしれません。

見ているテレビが面白くても、笑い合う相手がいない。

体調が悪くても、気にかけてくれる人がいない。

そうした日常の積み重ねが、孤独感を深めていきます。

夫婦ぐるみの付き合いだった友人との関係が変化し、交流の機会が減る可能性もあります。

孤独感を解消するためには、能動的な行動が必要です。

趣味のサークルや地域のコミュニティに参加し、新しい人間関係を築く努力が求められます。

病気や介護が必要になった時に頼れる人がいなくなる

加齢に伴う健康不安が増す中で、緊急時や体調不良の際に身近に頼れる人がいない状況は大きな懸念事項です。

急な病気や怪我の際に、誰に助けを求めるかという現実的な問題があります。

一人暮らしで倒れたときに、発見が遅れるリスクも否定できません。

将来、自身が介護を必要とする状態になったときの生活設計も難題です。

配偶者がいれば互いに支え合えますが、一人では外部のサポートに頼らざるを得ません。

施設への入居や在宅介護サービスの利用には、相応の費用がかかります。

離婚前には、公的な介護サービスや見守りサービスを事前に調べておきましょう。

近隣住民との関係づくりも、緊急時のセーフティネットとして有効です。

子どもや孫との関係が悪化する可能性がある

離婚の進め方によっては、子どもや孫との関係が悪化する可能性も否定できません。

一方的に離婚を進めたり、相手の悪口を子どもに言ったりすると、信頼を失うおそれがあります。

再婚を前提とした離婚であれば、子どもとの関係悪化のリスクは高まるでしょう。

離婚が原因で孫に会わせてもらえなくなるケースも見られます。

離婚に至る過程で、子どもが元配偶者の肩を持っている場合などには、孫との交流が絶たれる可能性があります。

熟年離婚という決断が、互いを尊重し、それぞれの今後の人生をより良いものにするためだと子どもが理解できれば、関係は崩れにくいでしょう。

不用意に子どもを巻き込まないよう、相手を批難する言動を避け、円満な話し合いを心がけてください。

社会的な手続きが煩雑になる

熟年離婚では、若い世代より離婚後の手続きが複雑になりがちです。

長年の結婚生活で形成した財産や契約が多いと、それに比例して手続きの量も増えます

名義変更等の手続きが必要な主な例は、以下のとおりです。

  • 運転免許証
  • 預貯金口座
  • 生命保険・損害保険
  • クレジットカード
  • 健康保険・年金
  • 公共料金の契約

これらの手続きには時間と労力がかかります。

離婚後に慌てないよう、事前にリストアップして準備しておくと安心です。

また、熟年世代では退職金や年金受給が近くなるため、財産分与や年金分割に関する協議は必須と言えるでしょう。

しかし、お互いに老後の生活への心配があるため、双方が譲歩しづらく、交渉や手続きがスムーズに進まないケースもよくあります。

話合いが難航しそうなときは、調停や弁護士への依頼も視野に入れてください。

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熟年離婚に向けた準備

後悔のない熟年離婚を実現するためには、計画的な準備が必要です。

事前の準備が不十分なまま離婚を切り出すと、財産分与で損をしたり、離婚後の生活に行き詰まったりするリスクが高まります。

本章では、熟年離婚に向けた6つの準備を紹介します。

準備を進める過程は、本当に離婚すべきかを冷静に判断する機会にもなるはずです。

1.離婚後の生活を具体的にシミュレーションする

毎月の収入と支出を具体的に書き出し、離婚後の生活を具体的にシミュレーションしましょう。

離婚後に見込まれる収入(自身の給与、年金分割後の見込み額など)と、支出(住居費、生活費、医療費、保険料)を洗い出しましょう。

楽観的な想定ではなく、現実的な数字で計算することが大切です。

見落としがちな支出として、以下の項目も確認してください。

  • 国民健康保険料・介護保険料
  • 固定資産税などの税金
  • 家電や住宅設備の修繕費
  • 冠婚葬祭などの交際費

シミュレーションの結果、経済的に自立が困難だと感じたら、離婚のタイミングを再検討する選択肢も視野に入れましょう。

2.夫婦の共有財産をリストアップする

離婚を切り出す前に、夫婦の共有財産をすべてリストアップし、資料を確保しましょう。

相手に離婚の意思を伝えた後では、財産を隠されるリスクがあるためです。

預貯金の口座残高、不動産の登記簿、有価証券の取引報告書など、事前にコピーを取っておくとよいでしょう。

リストアップすべき財産の例は、以下のとおりです。

  • 預貯金・有価証券
  • 不動産
  • 自動車
  • 生命保険・学資保険
  • 退職金(婚姻期間に対応する部分)
  • 住宅ローンなどの負債

退職金や生命保険の解約返戻金は見落としがちですが、高額になるケースが多いです。

特に熟年離婚では、配偶者の退職金が財産分与の対象となるケースが多いため、支給見込み額を事前に調べておきましょう。

配偶者名義の資産についても、存在を把握している限りリストに含めてください。

3.離婚後の住まいと仕事の目処をつける

住まいの確保と収入の安定は、離婚後の生活基盤となります。

自宅に住み続ける場合は、住宅ローンの名義や返済方法について取り決めが必要です。

売却する場合は、売却益の分配方法や引っ越し時期の調整も検討しましょう。

新たに住居を借りる場合、敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用がかかります。

加えて、高齢者は保証人の確保が難しいケースもあるため、保証会社の利用も視野に入れてください。

専業主婦(夫)の方は、ハローワークや自治体の就労支援サービスを活用するのも有効です。

50代以上を対象とした再就職支援プログラムを提供している自治体もあるため、離婚前から情報収集を始めておくと安心できるでしょう。

4.不貞行為やDVなどがある場合は証拠を確保する

相手に不貞行為やDV・モラハラがある場合は、客観的な証拠を事前に集めておきましょう。

相手が非を認めない場合、証拠がなければ離婚や慰謝料請求が認められない可能性があります。

離婚を切り出す前の段階で、以下のような証拠を確保しておくのが重要です。

離婚原因 有効な証拠の例
不貞行為 肉体関係の存在を窺わせるメールや写真
ラブホテルの領収書やクレジットカード明細
2人きりで旅行に行ったことがわかるメールや写真
探偵の調査報告書
DV・モラハラ 暴力や暴言の様子を記録した録音や動画データ
怪我の写真や診断書
人格を否定するメールやLINE
DVやモラハラの状況を綴った日記、メモ

有効な証拠かどうかの判断に迷う場合は、弁護士に相談してください。

【関連記事】不貞行為の証拠とは?証拠にならない物の判断基準や証拠の集め方を解説

5.離婚の切り出し方とタイミングを見極める

相手への離婚の切り出し方とタイミングを検討しましょう。

相手が感情的にならず、冷静に話し合いができるタイミングを見計らうと、協議がスムーズに進みやすくなります。

一方、準備が整う前に離婚の意思を悟られると、財産隠しや証拠隠滅のリスクが高まります。

具体的なタイミングとして、以下を参考にしてください。

  • 相手の仕事が落ち着いている時期
  • 子どもが帰省していないタイミング
  • 休日など、時間に余裕があるとき

切り出す際は、相手を責める言葉は控えましょう。

話し合いがこじれそうな場合や、DV・モラハラの危険がある場合は、直接対峙するのは避け、弁護士を立てて交渉する方法が安全です。

6.弁護士に相談して法的な見通しを立てる

準備がある程度進んだ段階で、弁護士に相談して法的な見通しを確認しておくと安心です。

無料相談などを活用すれば、財産分与や慰謝料の見込み額、離婚手続きの流れについて具体的なアドバイスを得られます

専門家の客観的な視点が入ると、感情的にならずに交渉を進めやすくなるでしょう。

弁護士に相談するメリットは、以下のとおりです。

  • 自分の状況で主張できる権利を把握できる
  • 一人では気づかなかったリスクや有利な点を指摘してもらえる
  • 相手との交渉や調停を任せられる

年金分割や退職金の財産分与など、熟年離婚特有の問題は専門的な判断が求められます。

早い段階で相談しておくと、準備の方向性を誤るリスクを減らせるでしょう。

【関連記事】夫と離婚したい妻必見!離婚の流れと準備を徹底解説

熟年離婚の3つの流れ

離婚には協議離婚・調停離婚・裁判離婚の3つの方法があります。

多くの夫婦は協議離婚で解決しますが、熟年離婚は財産関係が複雑になりやすく、調停や裁判に発展するケースも少なくありません。

協議離婚|夫婦で話し合う

協議離婚は、夫婦間の話し合いで離婚の合意を目指す方法です。

離婚自体の合意に加え、財産分与や年金分割などの条件も話し合うのが一般的です。

条件面は後日交渉する方法もありますが、離婚前に取り決めておくのがベストでしょう。

合意した内容は離婚協議書として書面に残します。

支払いが滞る不安があるなら、公正証書にしておくのがおすすめです。

公正証書があれば、支払いが滞った際も裁判を経ずに強制執行の手続きに進めます。

協議離婚の利点は、手続きが簡単で費用や時間を抑えられる点です。

ただし、感情的になり話し合いが進まないケースも多いでしょう。

熟年離婚では財産分与の金額も大きくなりやすく、双方の主張が対立しやすい傾向があります。

話し合いで合意できない場合は、調停離婚に進みます。

調停離婚|調停委員のもとで解決する

調停離婚は、家庭裁判所で調停委員を介して話し合う方法です。

調停委員が中立な立場で夫婦の間に入り、話し合いの合意形成を助けます。

当事者は別室で待機するため、直接顔を合わせずに済みます。

相手と顔を合わせたくない方にとっては、精神的な負担を軽減できる進め方といえるでしょう。

ただし、調停委員の役割は、中立な立場で双方の意見を聞き、歩み寄りを促すこと。

離婚や条件を決めるのは、あくまで当事者自身です。

話し合いで合意できると調停が成立します。

合意内容を記載した調停調書は、確定判決と同じ効力を持ち、原則として内容の変更や不服申し立てはできません。

裁判離婚|調停が不成立なら判決を下してもらう

調停が合意に至らなければ、裁判で解決を図ります。

裁判所に離婚の可否の判断を委ねる手段です。

現行民法下で、裁判で離婚が認められるには、以下のいずれかの法定離婚事由が必要です。

  • 不貞行為
  • 悪意の遺棄
  • 配偶者の3年以上の生死不明
  • 回復の見込みがない強度の精神疾患
  • その他、婚姻を継続し難い重大な事由

性格の不一致や親族との不和などの事情は、基本的に法定離婚事由に該当しません。

裁判では、裁判官が当事者の主張や証拠をもとに、離婚を認めるかどうかを判断します。

財産分与などの離婚条件も判決で決められます。

判決には強制力があり、相手が拒否しても離婚が成立する点が裁判離婚のメリットです。

一方、時間や費用、精神的な負担が大きい方法でもあります。

裁判に発展する可能性がある場合は、早い段階で弁護士に相談しておくと安心です。

熟年離婚を切り出す前に弁護士に相談するメリット

熟年離婚を有利に進めるには、離婚を切り出す前に弁護士へ相談するのがおすすめです。

熟年離婚は婚姻期間が長く、財産の種類が多い傾向にあります。

預貯金や不動産のほか、退職金や年金分割など計算が複雑なものも含まれます。

弁護士に依頼すれば、見落としを防ぎつつ、法的に適正な金額を算出してもらえるでしょう。

長年連れ添った相手との交渉は、感情的になりがちです。

弁護士が代理人となれば、相手と直接話す必要がなくなります。

法的な根拠に基づいて冷静に交渉を進めてくれるため、精神的な負担を軽減できるでしょう。

また離婚協議書の作成や、調停・裁判になった場合の手続きもすべて任せられます。

将来のトラブルを防ぐうえでも、弁護士のサポートは心強いものとなるでしょう。

離婚の相談は「ベンナビ離婚」

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熟年離婚に関するよくある質問(Q&A)

本章では、熟年離婚を検討する方が抱えやすい疑問にQ&A形式でお答えします。

Q.専業主婦で収入がなく、離婚後の生活が不安です。

専業主婦の方でも、財産分与や年金分割を請求する権利があります

まずは受け取れる金額を正確に把握しましょう。

財産分与では、婚姻期間中に夫婦で築いた財産を原則2分の1の割合で分けられます。

年金分割を利用すれば、婚姻期間中の厚生年金記録を分割でき、将来受け取る年金額を増やせる可能性があります。

離婚前に別居を希望する場合は、婚姻費用の分担請求も視野にいれましょう。

収入の少ない側が多い方に対して生活費を請求できます。

公的な支援制度も活用しながら、離婚後の収支をシミュレーションしておくと、経済的な見通しが立てやすくなるでしょう。

Q.熟年離婚後に利用しうる公的な支援制度にはどんなものがありますか?

公的な支援制度の一つに、生活福祉資金貸付制度があります。

高齢者・低所得者・障害者の生活を支えるための制度です。

具体的には、以下のような費用が貸付の対象です。

  • 生活再建までに必要な一時的な生活費
  • 住宅を借りる際の敷金・礼金
  • 就職や転職のための技能習得費用

民間の金融機関よりも低い金利で借りられますが、あくまで貸付のため返済を要します。

利用できるのは、65歳以上の高齢者のみで構成される世帯や、低所得で必要な資金を他から借り受けられない世帯などです。

離婚後の生活に不安がある方は、お住まいの地域の社会福祉協議会に事前に相談しておくとよいでしょう。

Q.離婚せずに関係を解消する「卒婚」とはどう違いますか?

卒婚は、婚姻関係を維持したまま、お互いが自由に生活するスタイルです。

法律上の婚姻関係が続くため、財産や相続の扱いは離婚と全く異なります。

卒婚のメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリット 世間体を保てる
経済的な安定を維持しやすい
相続権が残る
デメリット 相手の介護義務が残る
恋愛は不貞行為になるリスクがある
完全に他人にはなれない

相手と完全に他人になりたいのか、籍だけは残しておきたいのかによって、選ぶべき道は変わります。

自身が相手との関係に何を望むかを整理してみてください。

まとめ|熟年離婚の不安を弁護士への相談で解消しましょう

熟年離婚のメリットは、配偶者との関係によるストレスからの解放、自分のための時間の確保、義父母の介護負担からの解放などが挙げられます。

一方、経済面の不安や孤独感といったデメリットも存在します。

後悔しない熟年離婚を実現するには、離婚後の生活シミュレーションや共有財産のリストアップなど、計画的な準備が欠かせません。

特に、財産分与や年金分割はお金に直結する問題であり、正しい知識をもとに進める必要があります。

熟年離婚特有の複雑な問題は、一人で抱え込まず弁護士に相談するのがおすすめです。

無料相談を受け付けている法律事務所も多いため、まずは「法ナビ離婚」を活用し、弁護士に話を聞いてもらうところから始めてみてください。

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本記事は法ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
※法ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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