- 「市役所で相続放棄の手続きができる?」
- 「相続放棄についてわからないことがあったとき、市役所に相談したら教えてもらえる?」
相続放棄には3ヵ月の期限があり、なるべく早く手続きをしなくてはなりません。
そのため「身近な市役所で手続きができればいいな」と思うのではないでしょうか。
本記事では、市役所で相続放棄の手続きや相談ができるかや、市役所以外に相続放棄の無料相談ができる窓口、相続放棄手続きを自分ですすめるリスクを解説します。
相続放棄は、相続に関わる重要な手続きです。
期限が短い一方で、失敗することにより、その後の生活に大きな影響が生じる可能性も否定できません。
本記事を参考にすれば、あなたが相続放棄について誰に相談しどうすすめるとよいかがわかります。
市役所で相続放棄の手続きや相談はできるの?
市役所では生活に関わるいろいろな相談を受け付けていますが、相続放棄の手続きや相談はできるのでしょうか。
以下、手続きと相談のそれぞれについてみていきましょう。
市役所で相続放棄の手続きはできない
まず市役所では相続放棄の手続きはできません。
相続放棄の手続きは、裁判所にておこなう必要があります。
なお相続放棄手続きに必要な以下書類については、市役所で発行することも可能です。
- 相続放棄をする方の戸籍謄本
- 被相続人の住民票除票または戸籍の附票
- 被相続人の戸籍謄本
市役所で相続放棄の無料相談は可能
多くの市役所では、弁護士による無料の法律相談会を定期・不定期で実施しており、そこで相続放棄に関する相談も可能です。
なお市役所の法律相談は、誰でも受けられるわけでない点は注意ください。
市役所の法律相談を利用できるのは、基本的に管轄内の住所に在住している方です。
市役所によっては在勤・在学の方が利用できるケースも多いので、気になる方は市役所の公式サイトで確認ください。
市役所で相続放棄の無料相談をする際の注意点
身近にある市役所で、相続放棄の無料相談が受けられるのは非常に便利です。
ただ、以下にあげる注意点があり、あらかじめ把握しておく必要があります。
相続放棄の無料相談をいつでも受けられるわけでない
市役所の法律相談会は、常設されているわけではありません。
「週に1回、水曜日の午後だけ」「毎月第2、第4木曜日のみ」といったように、開催日時が限られています。
スケジュールが合わなくて利用できないという方は少なくないでしょう。
「相続放棄の期限である3ヵ月が迫っているので早く相談したい」というときも、市役所の法律相談が使えるとは限らないのです。
相談先の弁護士を自分で選べない
相談会で対応してくれる専門家は、その日の担当者として割り当てられた弁護士です。
自分で選ぶことはできません。
弁護士には、それぞれ得意な分野があります。
離婚問題に強い弁護士、企業の法律問題に注力する弁護士などさまざまです。
運悪く、相続問題をあまり扱ったことがない弁護士が担当になる可能性もゼロではありません。
その場合は、有益なアドバイスを得られないかもしれないのです。
相談できる時間は平日の日中に限られることが多い
法律相談会のほとんどは、市役所が開いている平日の日中におこなわれます。
仕事をされている方にとっては、相談のためだけに会社を休んだり、早退したりする必要があり、決して手軽とはいえないのが実情です。
1回あたりの相談時間が限られている
市役所の法律相談は、 1回あたりの時間が20分~30分程度と限られています。
この時間内で、自分の相続に関する状況を詳しく説明して、その状況に適した有効なアドバイスを得るのは簡単ではありません。
法律事務所で弁護士に相談を受ける場合は、相談時間を延長したり改めて予約し直して同じ弁護士に相談を続けたりすることもできます。
市役所の法律相談では、そういった手続きをするのは難しいでしょう。
相談の場で弁護士に対応を依頼することはできない
たとえ相談した弁護士がとても親身で、「この先生にお願いしたい!」と思ったとしても、その場で手続きを依頼することは、原則として禁止されています。
市役所の相談は、あくまでアドバイスをおこなう場であり、弁護士が仕事を受任する場ではないからです。
弁護士に対応を依頼したいという場合は、法律事務所へ行くなどして相談からし直すことになります。
弁護士に対応を依頼することを検討しているのであれば、はじめから法律事務所で相続放棄の相談をした方がよいでしょう。
市役所で相続放棄の相談をする流れ
「まずは一度、市役所で話を聞いてみたい」という方のために、一般的な相談の流れを解説します。
市役所の公式サイトで無料相談のスケジュールを確認する
まず、お住まいの市役所の公式サイトや、市から配布される広報誌などで、法律相談のスケジュールを確認します。
「(お住まいの市町村名) 法律相談」といったキーワードで検索すると、簡単に見つけられることが多いです。
指定の方法(オンライン・電話など)で予約する
相談はだいたい予約制です。
電話やオンラインフォームなど、市役所の公式サイトで指定された方法で予約します。
人気の相談会はすぐに予約が埋まってしまうこともあるため、早めに予約することをおすすめします。
予約日時に市役所へ行って相談する
予約した日時に、市役所の指定された窓口へ行きます。
限られた相談時間を有効に使うため、事前に以下の準備をしておくとよいでしょう。
- 聞きたいことをメモにまとめておく
- 亡くなった方とあなたの関係がわかる簡単な家系図を書いておく
- わかっている範囲で、財産(預貯金、不動産など)と負債(借金など)のリストを作成しておく
- 本人確認書類(運転免許証など)を持参する
これらの準備をすることで、弁護士が状況を把握しやすくなり、少しでも具体的なアドバイスに近づける可能性があります。
市役所以外に相続放棄の無料相談ができる主な窓口
では、どこに相談するのが最善なのでしょうか。
実は、市役所以外にも無料で相談できる窓口はあります。
【おすすめ】ベンナビ相続|相続問題に強い弁護士を複数の条件で選べる
弁護士は相続放棄の相談先として最も頼れる専門家です。
弁護士は相続放棄をすべきか否かのアドバイスから、相続放棄に関わる手続きの代行までおこなえます。
裁判所から届く照会書への回答なども対応してもらえるので、安心して手続きをすすめられるでしょう。
相続放棄をすることでほかの相続人と話し合う必要がある場合は、弁護士に交渉を代行してもらうこともできます。
そのうえで相続放棄の相談をする弁護士を選ぶ際におすすめしたいのが、相続問題に強い弁護士を探せるポータルサイト「ベンナビ相続」です。
ベンナビ相続は、市役所の法律相談が抱えるデメリットを解決してくれます。
- いつでも探せる、相談できる:市役所のように日時は決まっていません。土日や夜間に相談可能な弁護士や、電話・オンラインでの相談に対応している弁護士も多数掲載されているため、自分の都合に合わせて相談相手を探せます。
- 相続の専門家を自分で選べる:相続問題のなかでも、相続放棄や財産の使い込みなど特定のカテゴリを得意とする弁護士に絞って検索できます。法律事務所ごとのページでは、その事務所の特徴が詳しく掲載されており、希望に合う弁護士を選びやすいでしょう。顔写真や事務所の雰囲気もわかるので、安心して相談できる相手を自分でじっくり選ぶことができます。
- 相談時間の延長も可能:多くの法律事務所では、1回あたり30分もしくは60分で法律相談ができます。有料になる可能性はありますが、必要に応じて相談時間の延長や、後日改めて同じ弁護士に相談することも可能です。
- 相談から依頼までスムーズに進められる:相談して信頼できる弁護士だと感じたら、その場で相続放棄の手続きを正式に依頼できます。改めて事務所を探し直すなどする必要はありません。
司法書士事務所|書類の作成や手続きの方法を相談できる
司法書士も、相続放棄の相談ができる専門家です。
司法書士は、裁判所に提出する書類作成のプロであり、相続放棄申述書の作成や、必要な戸籍謄本の収集などを依頼することができます。
また弁護士に比べ、対応を依頼した費用が安くなりやすい点も司法書士に相談するメリットです。
ただし、弁護士との間には決定的な違いがあります。
それは、司法書士は「代理人」にはなれないという点です。
- 裁判所からの問い合わせ(照会書)は、本人に直接届き、自分で回答しなければならない。
- 相続財産のなかに高額な借金が含まれていて債権者から督促を受けても、司法書士は代わりに交渉することはできない。
- ※借金額が1件あたり140万円以下の場合、司法書士のなかでも認定司法書士であれば代理人として対応が可能です。
- ほかの相続人との間でもめ事が発生した場合、司法書士は間に入って解決することはできない。
他相続人と対立していたり、相続財産に膨大な借金が含まれていたりしたら、弁護士の方が相談先として適しているでしょう。
司法書士に相談するとよいのは、こういったトラブルがなくて書類作成などの手続き面だけサポートしてほしいときです。
少しでも不安要素がある場合は、全てを任せられる弁護士に依頼する方が安心です。
家庭裁判所|相続手続きの方法を相談できる
家庭裁判所に相談すれば、申述書の書き方など相続手続きの方法については教えてもらえます。
ただし「相続放棄をした方がよいか」など、個別の事情にかかわる相談は一切できないので注意ください。
相続に関わるトラブルなどが一切なく、手続きの方法についてのみ聞きたいときは、家庭裁判所に相談するのもよいでしょう。
相続放棄手続きの方法
ここでは相続放棄手続きの、一般的な方法を解説します。
- 財産調査:亡くなった方のプラスの財産とマイナスの財産を全て調べて、相続放棄をするべきか判断します。相続放棄では、マイナスの財産だけ相続の権利を放棄することはできません。
- 必要書類の準備:亡くなった方の戸籍謄本や住民票除票など、必要な書類を集めます。
- 相続放棄申述書の作成:裁判所の公式サイトなどから書式をダウンロードし、必要事項を記入します。
- 家庭裁判所への申立て:準備した書類一式と収入印紙、郵便切手を添えて、管轄の家庭裁判所に提出します。家庭裁判所への申立ては、郵送でも可能です。
- 照会書への回答:申立て後、裁判所から「本当に自分の意思で放棄しますか?」「故人の財産を使ったりしていませんか?」といった内容の質問状(照会書)が送られてきます。これに回答して返送します。照会書の回答内容は非常に重要で、内容次第では放棄が認められないこともあります。
- 相続放棄申述受理通知書の受領:手続きに問題がなければ、裁判所から相続放棄が受理された旨の通知書が届きます。
- これをもって、正式に手続きは完了です。
下記記事では、相続放棄手続きの流れを詳しく説明していますので興味があれば参照ください。
【関連記事】相続放棄手続きの流れを6ステップで解説!自分でおこなう際の注意点も紹介
相続放棄手続きを自分でするのはリスクも多い
相続放棄手続きを自分ですれば費用をおさえられますが、リスクが多いのは否めません。
少しでも不安があれば、弁護士などの専門家に相談・依頼することが強く推奨されます。
以下、具体的にどのようなリスクがあるかみていきましょう。
| 相続放棄をすることで損をしてしまう | 相続放棄をすると、プラスの相続財産を受け取る権利を失います。 相続財産に借金などが含まれているとはいえ、必ずしも相続放棄が適しているとは言えないのです。 場合によっては限定承認という別の方法をとれば損をしないこともあります。 正確な財産調査をして相続放棄が最適か正しく判断するのが、自分だけでは難しいケースも少なくありません。 |
|---|---|
| 期限内に手続きが間に合わないことがある | 相続放棄手続きでは、必要書類の収集などに時間がかかりがちです。 トラブルや不備で期限が過ぎてしまう可能性もあります。 弁護士に依頼すれば、そういった心配はありません。 |
| ほかの相続人とトラブルになりやすい | 相続放棄をすると、相続順位がほかの相続人に引き継がれます。 そのため、相続財産に借金が含まれるなどすると、ほかの相続人とトラブルになりやすいのです。 弁護士に依頼すれば、こういったトラブルも避けやすくなります。 |
| 照会書の書き方が難しい場合がある | 照会書で聞かれる事項はケースによって異なり、どのように回答すべきかも違ってきます。 法律の専門家でないと、どう回答すればよいか正しく判断できない場合もあるのです。 照会書の書き方次第で、前述のとおり相続放棄手続きが失敗してしまう可能性もあります。 |
このように、自分で相続放棄の手続きをするリスクは多いので注意が必要です。
相続放棄手続きに失敗した場合は、被相続人の借金まで背負わされてしまう可能性もあります。
そのため相続放棄手続きに少しでも不安があれば、まずは弁護士などの専門家へ相談をしてみるとよいでしょう。
相談だけであれば無料で受け付けている専門家も少なくありません。
さいごに|相続放棄手続きに不安があればなるべく早く弁護士に相談を!
相続放棄の手続きは、市役所ではできません。
相続放棄をしたい場合は、家庭裁判所に申述書をはじめとした必要書類を提出します。
相続放棄に関して市役所でおこなえるのは、一部の必要書類を収集することと、限られた範囲の相談のみです。
相続放棄に関わる法律上の一般的なアドバイスが欲しい、といった程度なら市役所の無料相談は役立つでしょう。
一方で、個別の事情に即した詳しいアドバイスが欲しいのであれば、相続問題に強い専門家に直接相談を申し込むことを推奨します。
特に弁護士であれば、相続放棄すべきか否かや、手続きの仕方について詳しいアドバイスが可能です。
弁護士なら、相続放棄手続きのほぼ全てを代行してもらうこともできます。
相続放棄は、相続に関わる重要な手続きです。
失敗すると、被相続人が遺した莫大な借金などを背負ってしまうかもしれません。
相続放棄の期限が、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヵ月と長くはない点も注意が必要です。
少しでも手続きに不安があれば、なるべく早く弁護士などに相談することが推奨されます。
相続放棄の相談先となる弁護士探しに役立つのが、相続問題に強い全国の弁護士を探せるポータルサイト「ベンナビ相続」です。
ベンナビ相続であれば、地域別や初回無料相談の可否といった条件で相続放棄の対応が得意な弁護士を簡単に探せます。
相続放棄手続きについて弁護士に相談したい際は、ぜひ活用ください。
