- 不倫がバレた後の展開と裁判になる確率
- 不倫裁判とは?何を争う裁判なのか基本から押さえよう
- 不倫(不貞行為)の裁判は弁護士と進めるのが最適
- 不倫(不貞行為)で裁判を起こすための条件
- 不倫(不貞行為)の裁判で追及できる5つの請求
- 不倫(不貞行為)の裁判にかかる費用と実費の内訳
- 不倫(不貞行為)の裁判で必要な証拠とその集め方
- 不倫(不貞行為)裁判の流れ -8ステップ-
- 不倫(不貞行為)で裁判を起こす3つのメリット
- 不倫(不貞行為)で裁判を起こすデメリットと注意点
- 不倫裁判を実行に移す前にやるべきこと
- 不倫裁判について相談できる窓口3選
- 不倫裁判(不貞行為)を起こすなら特殊ケースに注意!
- 不倫裁判に関するよくある質問
- まとめ|不倫裁判を考えているなら弁護士に相談しよう
不倫が発覚したあと、「このまま泣き寝入りするしかないの?」「裁判なんて本当にできるの?」と悩む方は少なくありません。
相手を許せない気持ちがあっても、裁判に踏み出すのは金銭的にも勇気がいるものです。
しかし、不倫(不貞行為)は民法上の不法行為として、慰謝料請求などの法的手段を取ることができます。
そこでこの記事では、不倫がバレた後の現実的な展開から、裁判で争われる内容・費用・証拠・進め方までを解説します。
早期解決のためにも、ぜひ参考にしてください。
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不倫がバレた後の展開と裁判になる確率
不倫が発覚すると夫婦関係が大きく揺らぎ、「離婚」や「慰謝料請求」に発展することがあります。
最高裁判所の司法統計(家事事件編)によると、離婚の申立て理由として「異性関係(不倫・浮気)」を挙げるケースは全体の約11〜13%と多くはありません。
| 夫 | 妻 | |
|---|---|---|
| 総数 | 15,396 | 43,033 |
| 性格が合わない | 9,233 | 16,503 |
| 異性関係 | 1,820 | 5,743 |
| 暴力をふるう | 1,441 | 7,690 |
| 酒を飲みすぎる | 377 | 2,479 |
| 静的不調和 | 1,622 | 2,862 |
| 浪費する | 1,764 | 3,662 |
| 病気 | 629 | 948 |
【参考】令和6年 司法統計年報 3家事編
多くは話し合いや示談で解決しており、実際に訴訟まで進むのは一部にとどまっています。
ただし、不倫は民法上の不法行為として法的責任を問われる可能性がある行為です。
被害者・加害者どちらの立場であっても、感情的にならず、早い段階で弁護士など専門家に相談し、適切な対応方針を考えることが重要です。
不倫裁判とは?何を争う裁判なのか基本から押さえよう
不倫裁判とは、配偶者の不貞行為によって精神的な損害を受けた側が、慰謝料などを請求する民事裁判のことです。
ただし、被害者が一方的に訴えるだけでなく、「すでに夫婦関係が破綻していた」などと不倫をした側が反論するケースもあります。
不倫裁判は感情ではなく、法的な根拠に基づいて責任を判断する場です。
ここでは、不倫がどのように法的責任を問われるのかを紹介します。
不倫は犯罪ではないが民事責任を負う
不倫は「刑事罰の対象」ではありません。かつては刑法第183条に「姦通罪(かんつうざい)」がありましたが、1947年(昭和22年)の刑法改正で廃止され、現在は犯罪として処罰されることはなくなりました。
そのため、不倫を理由に逮捕されたり前科がついたりすることはありません。
ただし、不倫(不貞行為)は民法709条(不法行為に基づく損害賠償責任)に該当する可能性があります。
既婚者と知りながら肉体関係を持つことで配偶者に精神的損害を与えたとして、慰謝料を請求できる条例です。
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
刑事的な罰はなくても、民事上の責任を問われる点が不倫裁判の大きな特徴です。
【関連記事】不貞行為(不倫)は犯罪になる?逮捕されるケースや「された側」の注意点を解説
不倫裁判で実際に争われるのはどんなこと?
不倫裁判では、主に「不貞行為の事実」と「損害(慰謝料)の有無・金額」が争点になります。
裁判所は感情ではなく、証拠と法的根拠に基づいて判断を下します。
<具体的な争点>
- 実際に肉体関係があったか
- 不倫相手が既婚者であることを知っていたか
- 夫婦関係が破綻していなかったか
まず焦点となるのは、実際に肉体関係があったかどうかです。ホテルの出入り写真や、肉体関係をうかがわせるメッセージ履歴、領収書などが証拠として提出されます。
次に、不倫相手が既婚者であることを知っていたかどうかも重要です。
知らずに交際していた場合、責任の度合いが大きく変わります。
さらに、夫婦関係が破綻していなかったかどうかも判断材料になります。
すでに別居や離婚協議が進んでいた場合は、損害賠償が認められにくくなります。
離婚を伴うケースでは、財産分与・親権・養育費などの問題も同時に審理されます。
不倫裁判は、感情をぶつけ合う場ではなく、不貞行為の事実と法的責任を明確にするための手続きであることを理解しておきましょう。
【関連記事】不貞行為の定義とは?不貞行為に該当するケースとしないケースを解説
不倫(不貞行為)の裁判は弁護士と進めるのが最適
不倫の裁判は、感情だけでなく証拠や法律の知識が必要になる複雑な手続きです。
慰謝料の請求や反論の仕方を誤ると、結果に大きな差が生じることもあります。
被害者・加害者のどちらの立場でも、弁護士と連携して進めるのが最も安全で確実な方法です。
ここでは、弁護士に依頼するメリット、自分で進めるリスク、相談を始める際のポイントを紹介します。
弁護士に依頼するメリット
不倫裁判では、感情論ではなく法的根拠と証拠による立証が求められます。弁護士に依頼することで、専門的な知識と経験に基づいた戦略的な対応が可能になります。
また、慰謝料の相場や過去の判例を踏まえた請求額を算定してもらえるため、過大請求による失敗や、逆に請求漏れによる損失を防ぐことが可能です。
さらに、弁護士が相手側との交渉や法的書面の作成を代行することで、当事者が直接感情的なやり取りをせずに済みます。
<弁護士に依頼するメリット>
- 必要な証拠の収集や整理を的確におこなえる
- 慰謝料の相場や妥当な金額を把握できる
- 相手側との交渉を代理してもらえる
- 裁判の進行手続きや書面作成を任せられる
弁護士に依頼する最大のメリットは、法的根拠に基づく「確実さ」と、心理的負担の軽減を両立できることです。
【関連記事】不倫相談で注目の弁護士とは?探し方や失敗しない弁護士の選び方を解説
自分で進めるリスク
不倫裁判を自分で進めることも可能ですが、法的知識や手続きの理解が不十分だと、不利な結果につながるリスクがあります。
裁判では「証拠の出し方」「主張の順序」「書面の形式」など、細かいルールが定められています。
これらを守れない場合、たとえ正当な主張であっても、裁判所に認めてもらえないことがあります。
また、相手側に弁護士がついている場合、交渉力や主張の精度に大きな差が出ます。
慰謝料の金額を相場より低く受け入れてしまったり、逆に高額請求に反論できなかったりするケースも少なくありません。
さらに、法的な知識がないまま感情的に対応すると、名誉毀損やプライバシー侵害など新たなトラブルを招くおそれもあります。
<自分で裁判を進めるリスク>
- 手続きや書面作成の誤りで主張が通らない
- 法的根拠の弱い主張で不利な判断を受ける
- 相手側の弁護士に対応できず不利な条件を受け入れてしまう
- 感情的な対応が新たなトラブルを招く
不倫裁判を自力で進めることは不可能ではありませんが、法律的な判断と冷静さの両立が難しい点が最大のリスクです。
無料相談から始めるのもあり
不倫問題を抱えていても、「いきなり弁護士に依頼するのはハードルが高い」と感じる人は少なくありません。
そのような場合は、無料相談を利用して現状を整理することから始めるのがおすすめです。
多くの弁護士事務所や「法テラス(日本司法支援センター)」では、初回無料相談を実施しており、慰謝料請求の可否や金額の目安、裁判を起こすべきかどうかなどを具体的にアドバイスしてもらえます。
無料相談を活用すれば、早い段階で法的な見通しを立てられ、感情的に動いて失敗するリスクを避けることができます。
不倫の問題は、時間が経つほど証拠や立場が不利になる場合もあります。
専門家の意見を聞き、最適な対応方針を見極める第一歩として、無料相談を活用しましょう。
【関連記事】不倫・不貞行為の悩みを解決!弁護士に無料相談できる方法やポイントを徹底解説
不倫(不貞行為)で裁判を起こすための条件
不倫の事実が発覚しても、すべてのケースで慰謝料請求や裁判が認められるわけではありません。
裁判で法的責任を問うためには、一定の条件を満たしている必要があります。
民法上の不法行為として損害賠償を請求するには、「不貞行為の事実」「不倫相手の認識」「夫婦関係の状態」という3つの要素が重視されます。
ここでは、不倫裁判を起こす際に必要となる3つの条件について、順に解説します。
条件1)不貞行為の事実がある
不倫裁判で慰謝料を請求するためには、配偶者以外との肉体関係があったこと(不貞行為)を証明できるかどうかが最も重要です。
単なる交際や親密なやり取りでは「不倫関係」とはみなされず、法的な請求が認められない場合があります。
| 認められる可能性が高い証拠 | 認められにくい証拠 | |
|---|---|---|
| 写真・映像 | ホテルや自宅への出入りを撮影した写真・動画 | ・手をつないで歩いている ・食事中のツーショット写真 |
| 通信記録 | 肉体関係を示す具体的な内容のLINE・メール・SNSメッセージ | 「会いたい」「好き」など曖昧なやり取りのみのメッセージ |
| 領収書・記録 | ・ラブホテルの領収書 ・宿泊履歴 ・交通ICカードの記録 |
一般的な飲食店やカフェのレシート |
| 証言・供述 | ・探偵の調査報告書 ・第三者の証言 |
・当事者の自己申告のみ ・推測に基づく発言 |
| その他の証拠 | ・不倫相手の自白 ・複数の証拠を組み合わせた行動記録 |
単発の出来事や状況証拠のみで肉体関係を断定できない場合 |
不貞行為の事実を立証するためには、ホテルへの出入り写真や宿泊履歴、肉体関係を示すメッセージ履歴など、客観的な証拠が求められます。
一方で、手をつないでいた、食事をしていた、プレゼントを贈っていたといった行為は、社会的・道徳的に問題はあっても、法的には不貞行為として認められないことが多い傾向です。
曖昧な証拠しか手元にない場合は、弁護士や探偵に相談して、証拠として有効かどうかを確認することが第一歩です。
感情で動く前に、法的に「立証できる範囲」を把握しておくことが、裁判に踏み切るかどうかを判断する材料になります。
条件2)不倫相手が既婚と知っていた
不倫裁判で慰謝料を請求するためには、不倫相手が既婚者であることを知っていた、または知り得た状況にあったことが条件になります。
「既婚だと知らなかった」あるいは「独身だと伝えられていた」場合には、損害賠償責任を問うのは難しくなります。
たとえば、指輪をしておらず、家庭の話も一切せず、独身と偽っていたようなケースでは、既婚者だと判断するのは困難とされることがあります。
一方で、SNSに家族との写真を投稿していたり、同僚などの周囲が既婚者であると知っていた場合は、「知っていた、もしくは知り得た」とみなされる可能性が高くなる傾向です。
裁判では、「認識の有無」そのものよりも、既婚であると知っていたと判断できる客観的事実が重視されます。
会話記録やメッセージの内容、周囲の証言など、状況を裏づける証拠の積み上げが重要です。
条件3)夫婦関係が破綻していない
不倫による慰謝料請求が認められるのは、法律上も実生活上も夫婦関係が続いている場合に限られます。
不倫(不貞行為)は、夫婦間の「貞操権」や「婚姻生活の平穏」といった法律上保護される利益を侵害する行為として、損害賠償の対象になります(民法709条)。
すでに夫婦関係が破綻している場合は、婚姻関係としてのつながりが失われ、保護される利益も存在しません。
そのため、破綻後の交際は不法行為にあたらず、慰謝料を請求しても認められないと判断されます。
| 夫婦関係の状態 | 慰謝料請求できるか | 判断の基準 |
|---|---|---|
| 同居しており、家計や生活を共有している | できる | 夫婦関係の実体が継続しており、保護される利益が存在する |
| 一時的に別居しているが、修復の意思がある | できる可能性あり | 婚姻関係の回復余地がある |
| 長期間別居し、離婚協議や新生活を始めている | できない | 婚姻関係の実体が失われ、保護される利益が消滅している |
| すでに離婚が成立している | できない | 法的にも夫婦関係が解消されている |
【関連記事】婚姻関係が破綻していても慰謝料は請求できる?破綻の判断基準と請求できる例外を解説
不倫(不貞行為)の裁判で追及できる5つの請求
不倫裁判では、慰謝料のほかに、離婚・財産分与・養育費などを裁判所の命令で強制的に実行できる請求があります。
再被害を防ぐための法的手段として、接触禁止やSNSでの拡散防止を求めることも可能です。ここでは、裁判で追及できる主な5つの請求を解説します。
<不倫裁判で追及できる請求>
- 慰謝料請求
- 財産分与・離婚請求
- 養育費・親権の請求
- 婚姻費用(別居中の生活費)の請求
- 接触禁止・SNSでの情報拡散防止の請求
慰謝料請求
不倫裁判でまず追及できるのが、不貞行為による慰謝料請求です。
慰謝料とは、配偶者の不倫によって受けた精神的損害を金銭で補うための法的手段であり、裁判では不倫した配偶者本人だけでなく、不倫相手にも請求できます。
裁判では、不貞行為の事実、夫婦関係の継続、不倫相手の既婚認識という3つの条件を満たすことが前提です。
これらが認められれば、裁判所が損害の程度を判断し、慰謝料額を決定します。
不倫裁判で請求できる慰謝料相場
不倫裁判で認められる慰謝料の相場は、おおむね50万円〜300万円程度です。
金額は法律で一律に決まっているわけではなく、裁判所が個別の事情を考慮して判断します。
慰謝料が高額になりやすいケースとしては、以下のような条件があります。
- 不倫の期間が長く、関係が継続的だった場合
- 不倫が原因で離婚に至った場合
- 不倫相手が家庭や子どもに悪影響を及ぼした場合
- 強い精神的ショックを受け、生活に支障をきたした場合
一方で、減額されることが多いケースには次のような特徴があります。
- 不倫発覚時点で夫婦関係がすでに破綻していた
- 不倫の期間が短く、関係が一時的だった
- 不倫相手が既婚と知らなかった、または知ることが困難だった
- 被害者側にも一定の過失(暴力や長期別居など)があった
慰謝料の目的は「罰」ではなく、壊れた夫婦関係に対する法的な補償です。
金額の目安を知ることで、請求すべき範囲や解決方法をより現実的に検討できます。
【関連記事】不倫慰謝料を最大限に引き出す方法|相場・証拠・弁護士の選び方
財産分与・離婚請求
不倫裁判では、慰謝料とあわせて離婚と財産分与を請求することが可能です。
離婚を求める場合、不貞行為は民法770条1項1号で定められた「法定離婚事由」にあたります。
つまり、不倫は離婚を正当化できる明確な理由として認められます。
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。引用元:民法|770条(裁判上の離婚)
財産分与とは、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産を清算・分配する手続きです。
預貯金や不動産、年金分割などが対象となり、原則として夫婦の寄与度に応じて公平に分けられます。
不倫の加害者であっても、婚姻中に築いた財産分与の権利は原則として失われません。
ただし、財産分与とは別に慰謝料請求をおこなう場合、不貞行為による精神的損害分と財産分与を混同しないよう注意が必要です。
裁判では、離婚・財産分与・慰謝料をそれぞれ独立した請求として進めることができます。
養育費・親権の請求
不倫が原因で離婚に至った場合、子どもの生活を守るための養育費や親権の請求も同時に扱われます。
裁判では、子どもの福祉を最優先に、どちらの親が監護に適しているか、またどの程度の生活費を分担すべきかを判断します。
養育費は、支払う側の年収や子どもの年齢・人数をもとに家庭裁判所の「養育費算定表」に基づいて算出されます。
支払い義務は、離婚後も子どもが独立するまで続きます。
親権については、不倫をした側でも自動的に不利になるわけではなく、子どもの生活環境・安定性・監護実績など総合的な要素によって決定されます。
裁判を通じて、金銭面だけでなく、子どもの生活基盤をどう守るかが重要な争点となります。
【関連記事】養育費を無料相談できる3つの窓口|弁護士に相談すべきケースも解説
婚姻費用(別居中の生活費)の請求
別居中であっても、婚姻関係が続いている限り、配偶者には互いに生活を支える義務があります。
民法760条では「夫婦はその資産、収入その他一切の事情を考慮して、互いに協力し扶助しなければならない」と定められており、別居している配偶者や子どもの生活費を請求することが可能です。
第七百六十条 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
引用元:民法|760条(婚姻費用の分担)
婚姻費用の金額は、夫婦それぞれの年収・子どもの人数・生活水準をもとに、家庭裁判所の「婚姻費用算定表」に基づいて算出されます。
不倫が原因で別居に至った場合でも、婚姻関係が法的に継続している間は、生活費の支払い義務が発生します。
【関連記事】婚姻費用を無料相談する方法|婚姻費用の計算方法や無料相談するメリットを解説
接触禁止・SNSでの情報拡散防止の請求
不倫の発覚後、相手からの過度な連絡や嫌がらせ、SNS上での誹謗中傷に悩まされるケースも少なくありません。
こうした二次被害を防ぐために、裁判を通じて接触禁止命令やSNSでの情報拡散防止を求める請求をおこなうことができます。
特に、誹謗中傷や名誉毀損の投稿が続く場合には、削除請求や損害賠償請求を併せておこなうこともあります。
不倫のトラブルは精神的な負担が大きくなりがちですが、法的手続きを取ることで安全とプライバシーを守ることが可能です。
不倫(不貞行為)の裁判にかかる費用と実費の内訳
不倫裁判を起こす際には、慰謝料の請求額だけでなく、弁護士費用や裁判に必要な実費も把握しておくことが重要です。
示談で解決する場合と、裁判まで進む場合とでは費用の総額が大きく異なります。
ここでは、不倫裁判にかかる主な費用の内訳と、負担を抑えるための方法を紹介します。
弁護士費用の相場(示談・裁判別)
不倫問題を弁護士に依頼する際の費用は、示談で解決する場合と裁判まで進む場合で大きく異なります。
一般的な相場は以下の通りです。
| 示談交渉 | 裁判 | |
|---|---|---|
| 着手金の目安 | 10万〜30万円前後 | 30万〜50万円前後 |
| 報酬金の目安 | 獲得した慰謝料の10〜20%程度 | 慰謝料額の16〜20%程度 |
| 手続きの特徴 | 話し合いで和解を目指す | 判決または和解で終了 |
| 費用の特徴 | 比較的低コストで済む | 書面作成・出廷などで費用が増加 |
示談交渉は話し合いでの和解を目的とするため、着手金は10万〜30万円程度と比較的少額で済みます。
報酬も、獲得した慰謝料の10〜20%が一般的です。交渉成立とともに手続きが終了するため、費用負担が軽めなのが特徴です。
一方、裁判になると、訴状の作成・証拠の提出・出廷などの追加業務が発生するため、着手金は30万〜50万円前後に上がり、報酬も慰謝料額の16〜20%程度に設定されることが多くなります。
費用を抑えたい場合は、まず示談交渉での解決を目指し、それでも折り合いがつかない場合に裁判を検討するのが良いでしょう。
裁判にかかる実費(印紙代・郵券代など)
不倫裁判を起こす際には、弁護士費用とは別に裁判所に支払う実費(訴訟費用)が発生します。
主な内訳は、訴状を提出する際に必要な「収入印紙代」と、裁判所から書類を送付するための「郵券代(切手代)」です。
| 内容 | 費用の目安 | |
|---|---|---|
| 収入印紙代 | 請求金額に応じて必要。 慰謝料請求100万円の場合は1,000円、300万円の場合は3,000円程度。 |
約1,000〜15,000円前後 |
| 郵券代(切手代) | 裁判所から書類を送るための費用。 裁判所によって異なる。 |
約5,000〜8,000円前後 |
| 謄写・コピー代 | 証拠書類の写しや記録の交付に必要。 | 数百〜数千円程度 |
| その他 | 証人尋問・調査嘱託などがある場合の追加費用。 | 数千〜数万円程度 |
裁判所に支払うこれらの実費は、請求金額や手続きの回数によって変動します。
一般的な不倫裁判では、合計で1万円〜2万円程度です。
また、敗訴した側がこれらの訴訟費用を負担するのが原則とされており、判決の際に「訴訟費用は被告の負担とする」と明記されます。
【参考】
手数料額早見表|裁判所
郵便切手一覧表(東京簡易裁判所)
民事訴訟等手続に必要な郵便切手一覧表(令和元年10月1日~)|裁判所
費用を抑える方法(法テラスなどの活用)
不倫裁判では、弁護士費用や訴訟費用がかかるため、経済的な負担を不安に感じる人も少なくありません。
費用を抑えたい場合は、公的支援制度や弁護士の料金プランを上手に活用することがポイントです。
代表的なのが「法テラス(日本司法支援センター)」の制度です。一定の収入基準を満たせば、弁護士費用を立て替えて分割で支払う「民事法律扶助制度」を利用できます。
初回相談が無料になるケースもあり、経済的に余裕がない場合でも裁判を進めることが可能です。
また、弁護士事務所によっては「着手金無料」や「完全成功報酬制」を採用しているところもあります。
費用負担を軽減するためには、複数の弁護士事務所に見積もりを取り、条件を比較することも有効です。
不倫(不貞行為)の裁判で必要な証拠とその集め方
不倫裁判で慰謝料を請求するには、不貞行為の事実を裏づける客観的な証拠が欠かせません。
感情的な主張だけでは裁判所に認められず、証拠の有無が結果を左右します。
ここでは、不倫裁判で有効とされる証拠の種類や、収集の際に注意すべきポイント、探偵の活用方法について解説します。
不倫裁判で有効な証拠
不倫裁判では、裁判所は感情的な訴えではなく、具体的な事実に基づいて判断するため、状況証拠よりも直接的な証拠の有無が結果を左右します。
主な有効証拠には、次のようなものがあります。
| 証拠の種類 | 具体例 | 裁判での評価 |
|---|---|---|
| 写真・動画 | ホテルや自宅への出入りを撮影した映像 | 肉体関係の存在を強く示す直接的証拠 |
| 通信記録 | LINEやメールで肉体関係を示す内容 | 関係の継続性や親密度を裏づける補強証拠 |
| 領収書・宿泊記録 | ラブホテルや宿泊施設の利用履歴 | 日付・場所の特定に有効 |
| 探偵の報告書 | 行動記録や写真付き調査報告 | 客観性が高く、裁判所でも重視されやすい |
| 証言 | 第三者の目撃証言や本人の自白 | 他の証拠と併せて信憑性を補強する材料 |
不倫の「疑い」だけでは立証には至りません。
複数の証拠を組み合わせて時系列や行動の一貫性を示すことが、不貞行為を認めてもらううえで重要です。
【関連記事】不貞行為の証拠とは?証拠にならない物の判断基準や証拠の集め方を解説
証拠収集で注意すべき違法行為
証拠を集める際には、意図せず法律違反になるケースが少なくありません。
たとえ「自分の配偶者だから」と思っても、プライバシーを侵害する行為は原則として違法です。
違法とされる代表的な行為には、以下のようなものがあります。
| 注意が必要な行為 | 適用される法律・規制 |
|---|---|
| 他人のスマートフォンやパソコンを無断で開く | ・不正アクセス禁止法 ・プライバシーの侵害 |
| LINE・メールの内容を勝手に転送・保存 | ・電子計算機使用詐欺罪 ・通信の秘密の侵害 |
| 自宅や車に無断でICレコーダーやGPSを設置 | ・住居侵入罪 ・軽犯罪法 ・ストーカー規制法 |
| 不倫相手の自宅を無断で撮影・尾行 | ・プライバシーの侵害 ・迷惑防止条例違反 |
「有効性」と「合法性」は別です。合法的に取得されていない証拠は、裁判所に採用されないことが多く、場合によっては証拠を集めた側が責任を問われます。
証拠の有効性だけでなく、その入手方法が法律に適合しているかを確認するためにも、専門家に相談してから進めましょう。
探偵の活用は有効か?
不倫の証拠を確実に集めたい場合、探偵への依頼はとても有効な手段です。
探偵は「探偵業法」に基づいた調査の専門家であり、個人では難しい尾行・張り込み・撮影などを合法的におこなうことができます。
探偵が作成する「調査報告書」には、日時や場所、行動記録、写真などが整理されており、裁判でも客観的な証拠として高く評価される傾向にあります。
<優良探偵のチェックポイント>
- 探偵業法に基づく公安委員会への届出番号を持っているか
- 調査範囲や方法、報告書の形式を契約書に明記しているか
- 費用の内訳・追加料金・成功報酬の条件が事前に説明されているか
- 守秘義務・個人情報の取り扱い体制が整っているか
探偵の調査は費用がかかるものの、違法リスクを避けつつ確実な証拠を入手できるという大きなメリットがあります。
まずは弁護士と連携しながら、必要な証拠の種類や調査範囲を明確にしたうえで、信頼できる探偵事務所に依頼するのがおすすめです。
不倫(不貞行為)裁判の流れ -8ステップ-
不倫裁判は、訴状を提出してから判決が確定するまで、一定の手続きと期間を経て進行します。
書面での主張や証拠提出、和解勧告などを段階的におこない、最終的には裁判所の判断によって結論が下されます。
ここでは、不倫裁判の一般的な流れを8つのステップに分けて解説します。
<不倫裁判の流れ>
- 訴状の作成と提出
- 第一回口頭弁論
- 書面での主張と証拠の提出
- 証拠調べ(尋問)
- 和解勧告
- 判決
- 控訴・上告
- 判決の確定と執行
ステップ1:訴状の作成と提出
不倫裁判は、慰謝料などを求める「訴状」を作成し、相手方の住所地を管轄する地方裁判所へ提出することで始まります。
訴状には、請求内容や不貞行為の事実、証拠の概要などを記載します。提出時には収入印紙代と郵券代が必要です。
ステップ2:第一回口頭弁論
裁判所が訴状を受理すると、相手方に送達され、最初の審理である口頭弁論が開かれます。
この場では、訴状の内容確認と、被告側の反論(答弁書の提出)がおこなわれます。
多くの場合、代理の弁護士が出席し、本人が出廷しないケースもあります。
ステップ3:書面での主張と証拠の提出
原告・被告双方が、主張や反論をまとめた書面(準備書面)を提出し、証拠を整理していきます。
メールや写真、探偵報告書などが提出され、事実関係の確認が進められます。
主張が食い違う場合、複数回にわたってやり取りがおこなわれます。
ステップ4:証拠調べ(尋問)
双方の主張と証拠が出そろうと、裁判所が証拠調べをおこないます。
本人尋問や証人尋問などで、不貞行為の有無や精神的損害の程度を明らかにします。
ここでの発言内容は判決に大きく影響するため、弁護士の指導のもとで慎重に臨む必要があります。
ステップ5:和解勧告
証拠調べの結果、裁判所が和解を促すことがあります。
和解が成立すれば、判決を待たずに裁判は終了し、合意内容に法的拘束力が生じます。
長期化や費用負担を避けたい場合、和解による早期解決を選ぶケースが多い傾向です。
ステップ6:判決
和解が成立しない場合、裁判所が証拠と主張をもとに判決を下します。
慰謝料の支払い命令や請求棄却などが示され、判決書が送達されます。
内容に納得できない場合は、上級裁判所への控訴が可能です。
ステップ7:控訴・上告
判決に不服がある場合は、原則として2週間以内に控訴できます。
控訴審では、事実関係や法律の適用に誤りがなかったかを再度審理します。
さらに最高裁判所まで争う場合は「上告」となりますが、法解釈の誤りなど限られた理由に限られます。
ステップ8:判決の確定と執行
控訴や上告がおこなわれなければ、判決が確定します。
相手に慰謝料の支払い義務や費用負担(弁護士費用・訴訟費用など)が正式に命じられます。
判決内容としては、「慰謝料の全額支払い命令」「一部のみ認容」「請求棄却(敗訴)」などが一般的です。
勝訴した場合でも、相手が任意に支払わないことがあります。
その際は、強制執行(財産差押え・給料差押え)を申し立てることで、支払いを追求できます。
不倫(不貞行為)で裁判を起こす3つのメリット
不倫のトラブルは話し合いだけでは解決しないことも多く、裁判を起こすことで法的に確実な解決を図ることができます。
ここでは、不倫裁判を起こす3つの主なメリットを紹介します。
<不倫裁判のメリット>
- 法的強制力で慰謝料の支払いを求められる
- 不倫相手に社会的責任を問える
- 再発防止や精神的区切りになる
① 法的強制力で慰謝料の支払いを求められる
裁判で慰謝料の支払いが命じられると、法的拘束力のある判決として確定します。
相手が支払いを拒否した場合でも、強制執行により財産や給与を差し押さえて回収することが可能です。
示談では支払いが滞るケースもありますが、裁判を通すことで支払い義務を明確にし、確実な解決を実現できます。
② 不倫相手に社会的責任を問える
裁判を通じて不倫の事実が認定されることで、相手に社会的な責任を負わせることができます。
慰謝料の支払いだけでなく、不貞行為が公式に認定されることで、被害者の立場や主張が法的に正当と認められます。
加害者側が軽い気持ちで関係を持った場合でも、裁判によって行為の重さを理解させる抑止効果があります。
③ 再発防止や精神的区切りになる
不倫裁判は、単に慰謝料を得るための手段ではありません。
人生に大きな傷を残した出来事に対して、法的な決着をつけることで区切りをつける行為です。
裁判を通じて不倫の事実が正式に認定され、責任が明確になることで、被害者はようやく「終わった」と実感できます。
また、行為の重大さを法のもとで認めさせることは、加害者に再発を防ぐ意識を持たせる制裁的な意味もあります。
不倫(不貞行為)で裁判を起こすデメリットと注意点
裁判を起こすことは強い決意を伴う行動です。
不倫裁判には、法的な解決力がある一方で、時間・費用・精神面での負担も避けられません。
ここでは、裁判を検討する際に知っておくべき主なデメリットと注意点を解説します。
<不倫裁判のデメリット>
- 手続きに時間と費用がかかる
- 精神的な負担が大きい
- プライバシーが明るみに出るリスクがある
① 手続きに時間と費用がかかる
不倫裁判は、訴状提出から判決まで数か月〜1年以上かかることもあります。
証拠の整理、書面のやり取り、複数回の期日出廷などが続き、時間的にも労力的にも負担が大きい手続きです。
また、弁護士費用や裁判費用などの経済的負担も避けられません。
解決までの道のりが長くなることを理解したうえで、冷静に進めることが大切です。
② 精神的な負担が大きい
裁判では、過去の出来事を詳細に振り返ったり、相手側の主張を聞いたりする場面が多くあります。
また、証拠の中には感情が高ぶることも少なくありません。
長期化することで、さらにストレスが増すこともあります。
弁護士や信頼できる支援者と連携し、精神的なサポートを受けながら進めることが重要です。
③ プライバシーが明るみに出るリスクがある
裁判では、不倫の詳細や家庭内の事情、経済状況など、個人的な内容を証拠として提出する必要があります。
裁判記録は一部が公開される可能性があり、関係者以外に知られるリスクもゼロではありません。
特に著名人や社会的立場のある人の場合は、報道やSNSで拡散されるおそれもあります。
事前に弁護士と情報公開の範囲を確認しておくことが大切です。
不倫裁判を実行に移す前にやるべきこと
裁判を起こす前に、まずは費用・期間・精神的負担を踏まえた現実的な準備が必要です。
ここでは、不倫裁判を実行に移す前におこなうべき3つの準備を紹介します。
<不倫裁判の前にやるべきこと>
- 示談交渉を検討する
- 訴状の作成と提出先を決める
- 証拠・資料を整理して裁判に備える
示談交渉を検討する
不倫問題は、裁判を起こさなくても示談(話し合い)で解決できる場合があります。
示談が成立すれば、時間や費用を大幅に抑えられ、精神的な負担も軽くなります。
示談書を作成して慰謝料や再発防止の条件を明記すれば、法的効力を持たせることも可能です。
まずは弁護士を通じて、相手と冷静に交渉できるかを検討しましょう。
訴状の作成と提出先を決める
裁判を起こす場合、慰謝料請求の内容を記した訴状を作成し、相手の住所地を管轄する地方裁判所に提出します。
訴状には不貞行為の事実、請求金額、証拠の概要などを具体的に記載する必要があります。
誤った内容や不十分な記載があると受理されないこともあるため、専門知識を持つ弁護士に依頼して正確に作成してもらうのが安心です。
証拠・資料を整理して裁判に備える
裁判で主張を認めてもらうには、客観的な証拠がどれだけ揃っているかが鍵になります。写
真、通信履歴、領収書、探偵の報告書などを整理し、時系列でまとめておくことが重要です。
証拠が不足している場合は、探偵や弁護士の協力を得て合法的に補強しましょう。
証拠を適切に保管・提示できる準備が、裁判を有利に進める第一歩になります。
不倫裁判について相談できる窓口3選
不倫裁判を検討している場合、早い段階で専門家に相談することが重要です。
弁護士だけでなく、公的機関や自治体でも無料・低額で法的アドバイスを受けられます。
ここでは、不倫問題について安心して相談できる3つの主な窓口を紹介します。
弁護士(法律事務所)に相談する
<弁護士に相談するメリット>
- 法的根拠に基づいた解決策を提案してもらえる
- 相手との交渉を代理してもらえるため
- 裁判や和解など多角的な手段による戦略が可能
不倫問題を法的に解決するうえで、最も確実な手段が弁護士への相談です。
慰謝料請求の可否や適正額、証拠の有効性などを総合的に判断してもらえるため、感情的なもつれを法的に整理できます。
特に初めて相談する人には、「ベンナビ不倫慰謝料」の活用がおすすめです。
不倫慰謝料の専門弁護士を地域や条件で検索でき、初回無料相談や着手金0円の事務所も多数掲載。
相談前に慰謝料の目安を算出できるツールもあり、費用面や方針を明確にしたうえで依頼を検討できます。
法テラスを活用する
<法テラスを利用するメリット>
- 初回相談が無料で、費用の見通しが立てやすい
- 費用を立て替えてもらえる制度が利用できる
- 公的機関のため、相談内容の秘密が厳重に守られる
法テラス(日本司法支援センター)は、一定の収入基準を満たす人が無料または分割払いで法的支援を受けられる公的機関です。
弁護士費用の立て替え制度もあり、経済的に不安がある人でも安心して相談できます。
【関連記事】法テラスで離婚相談|無料相談の利用条件や費用を抑えるコツ
自治体の無料法律相談を利用する
<自治体の無料相談のメリット>
- 完全無料で弁護士に直接相談できる
- 地域ごとの窓口で、アクセスしやすい
- 早期の方向性を確認でき、弁護士依頼の判断材料になる
市区町村や都道府県がおこなう無料法律相談では、地域住民を対象に弁護士が定期的に相談を受け付けています。
相談時間は30分〜1時間程度が一般的で、事前予約が必要です。
裁判を起こすか迷っている段階でも気軽に利用できます。
【関連記事】【悩み別】不倫問題を相談できる窓口7選|電話・メール相談可
不倫裁判(不貞行為)を起こすなら特殊ケースに注意!
不倫裁判では、当事者の立場や関係性によって判断基準が変わります。
特に、双方が既婚者の「ダブル不倫」、職業柄プライベートとの線引きが難しい「水商売・風俗関係」、そして情報流出リスクの高い「著名人」などは、慎重な対応が求められます。
ここからは、それぞれのケースで注意すべきポイントを解説します。
ダブル不倫の裁判は複雑になる
ダブル不倫(双方が既婚者)の場合、関係者が4人となり、複数の請求が交差するため、法的整理が複雑になりやすい傾向です。
それぞれの配偶者は「自分のパートナー」と「相手側の不倫相手」に対して慰謝料を請求することができます。
両者から賠償を受けることは認められませんが、一方の夫婦に支払われた慰謝料が、もう一方の配偶者の請求額に影響することもあります。
請求の範囲や責任の割合を適切に判断するには、弁護士による法的整理と交渉が欠かせません。
水商売・風俗業が絡む場合の立証の難しさ
水商売や風俗業に従事している場合、不貞行為としての立証が難しくなります。
業務上の接客行為と私的な関係の線引きが曖昧なため、「肉体関係が業務外で継続的にあった」と証明しなければなりません。
さらに、相手の勤務先や顧客情報など、プライバシーに配慮した証拠収集が求められます。
こうしたケースでは、一般的な不倫よりも法的判断が慎重におこなわれるため、専門知識を持つ弁護士と協力して証拠を整えることが重要です。
著名人のケースではプライバシー配慮が重要
芸能人や経営者など、社会的影響力のある立場の人が関係する場合、事実の公表が名誉毀損や信用毀損につながるリスクがあります。
裁判資料や証拠がメディアに取り上げられると、訴訟以上に社会的損失が大きくなることもあるため、非公開調停や守秘義務契約を活用し、必要以上に情報を外部へ出さない工夫が重要です。
専門家に依頼し、法的対応と社会的リスクの両面から慎重に進めましょう。
不倫裁判に関するよくある質問
不倫裁判を検討する際、多くの人が感じるのは「実際どのくらい現実的なのか」という不安です。
ここでは、弁護士の必要性や慰謝料の支払い、傍聴の可否など、よくある疑問を解説します。
弁護士なしでも裁判できる?
不倫裁判は本人(原告・被告)でも起こすことは可能ですが、法律や証拠集めに専門知識が求められるため非常に難易度が高い手続きです。
訴状の作成や証拠の整理、裁判所とのやり取りを自力でおこなうには相当な労力が必要になります。
誤った主張で不利になることもあるため、できるだけ弁護士に依頼し、法的サポートを受けて進めるのが安心です。
慰謝料の踏み倒しは可能?
慰謝料の支払い命令が出た後に相手が支払わない場合でも、裁判で確定した判決には法的強制力があります。
そのため、財産や給与の差押えなど強制執行を申し立てることが可能です。
踏み倒しは法的に認められず、逃げ続けることで信用情報や社会的立場を失うリスクもあります。
弁護士を通じて、確実に回収する手続きをおこないましょう。
裁判の傍聴はできる?
不倫裁判(民事訴訟)は原則として公開審理のため、一般の傍聴が可能です。
ただし、プライバシー保護の観点から、裁判所が非公開(公開停止)を命じる場合もあります。
特に不貞行為の詳細や家庭内の事情が扱われるケースでは、当事者の申し立てにより非公開となることが多い傾向です。
傍聴できるかどうかは、裁判の性質と裁判所の判断によります。
裁判後に夫婦関係を続けることはできる?
不倫裁判を起こしたからといって、必ずしも離婚しなければならないわけではありません。
慰謝料請求だけを目的に訴えるケースもあり、裁判後に関係を修復する夫婦もいます。
ただし、法的に争った経緯から信頼回復は容易ではなく、再構築には時間と努力が必要です。
感情的な問題と法的対応を分けて考えることが大切です。
どんな人が不倫裁判を起こしている?
不倫裁判を起こす人には、法的に決着をつけたいと考える人が少なくありません。
離婚や別居を前提に慰謝料を請求するケースもあれば、子どもの将来や経済的補償を重視するケースもあります。
まとめ|不倫裁判を考えているなら弁護士に相談しよう
不倫裁判は、感情だけで進めるには負担が大きく、法律・証拠・手続きのすべてに専門的な判断が必要な問題です。
慰謝料の請求や離婚、再発防止など、どの選択を取るにしても、弁護士のサポートがあることで正確かつ安全に進められます。
初めて相談するという人は、「ベンナビ不倫慰謝料」がおすすめです。
不倫慰謝料の専門弁護士を地域や条件で検索でき、初回無料相談や着手金0円の事務所も多数掲載されています。
不倫問題に悩んでいるなら、ひとりで抱え込まず、専門家に相談して現実的な解決策を見つけましょう。
