法律トラブルの解決を目指すにあたって、法テラスの利用条件が気になっている方も多いのではないでしょうか。
法テラス(日本司法支援センター)の利用条件は、主に収入・資産が一定額以下であることなど4つの要件で判断されます。
弁護士費用が払えず困っていても、条件を満たしていなければ制度を利用できないため、事前の確認が欠かせません。
本記事では、法テラスの利用条件や自分が対象かどうかを確認する方法、利用するときの注意点、利用できない方向けの相談先まで詳しく解説します。
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【一覧】法テラスの無料法律相談と弁護士費用立替制度の利用条件
法テラスにおける制度は、無料法律相談と弁護士・司法書士費用の立替制度の2つに分けられます。
それぞれ利用条件が異なるため、まずは一覧で確認しておきましょう。
| 利用条件 | 無料法律相談 | 弁護士費用立替制度 |
|---|---|---|
| ①収入・所得が基準以下か | ✓ | ✓ |
| ②保有資産が基準以下か | ✓ | ✓ |
| ③勝訴の見込みがゼロではないか | 不要 | ✓ |
| ④民事法律扶助の趣旨に適合しているか | ✓ | ✓ |
まず無料法律相談は、収入・資産基準と趣旨への適合の2点を満たせば利用できます。
一方、弁護士費用の立替制度は上記①〜③全てを満たす必要があります。
また、収入・資産の基準は経済状況や物価に応じて定期的に見直されるので、一度確認したことがあるという方も申請前に最新の基準を確認してください。
法テラスの主な4つの利用条件
法テラスの利用条件は主に4つあります。
収入や資産の基準は家族構成や居住地域によって異なるため、自分のケースに当てはめて確認することが大切です。
具体的に解説します。
①収入・所得が一定額以下であること
収入基準は、申込者とその家族全員の手取り月収(賞与含む)の合計で判断されます。
家族人数と居住地域によって、基準額が異なるのが特徴です。
東京・大阪などの大都市は生活費が高いため、地方より高めの基準が設定されています。
| 家族人数 | 大都市の場合 | 左記以外の地域の場合 |
|---|---|---|
| 1人 | 200,200円以下 | 182,000円以下 |
| 2人 | 276,100円以下 | 251,000円以下 |
| 3人 | 299,200円以下 | 272,000円以下 |
| 4人 | 328,900円以下 | 299,000円以下 |
家賃や住宅ローンを支払っている場合は、一定額を収入から差し引いて計算できます。
| 家族人数 | 大都市の場合 | 左記以外の地域の場合 |
|---|---|---|
| 1人 | 53,000円まで | 41,000円まで |
| 2人 | 68,000円まで | 53,000円まで |
| 3人 | 85,000円まで | 66,000円まで |
| 4人 | 92,000円まで | 71,000円まで |
また、家賃のほか、医療費・教育費・社会保険料なども控除対象になるので申請前に漏れなく確認しておきましょう。
②保有資産が一定額以下であること
収入だけでなく、現金・預貯金などの保有資産も審査の対象です。
具体的な条件は次のとおりです。
| 家族人数 | 大都市の場合 | 左記以外の地域の場合 |
|---|---|---|
| 1人 | 180万円以下 | 180万円以下 |
| 2人 | 250万円以下 | 250万円以下 |
| 3人 | 270万円以下 | 270万円以下 |
| 4人 | 300万円以下 | 300万円以下 |
資産基準は居住地域による差がなく、家族人数のみで判断されます。
注意したいのは、収入は基準内でも貯金が多いと対象外になるという点です。
たとえば、月収が低くても数百万円の預貯金がある場合は審査が通らない可能性があります。
また、不動産は原則として資産に含まれませんが、株式・投資信託などは審査に影響する場合があるため、事前に確認するのをおすすめします。
③勝訴の見込みがゼロではないこと
民事法律扶助制度の立替制度を利用するためには、依頼内容に勝訴の見込みがあることが必要です。
原則として、勝訴の見込みがない場合には申請が認められにくいでしょう。
和解・調停・示談で解決できる見込みがある場合や、自己破産の免責が認められる見込みがある場合も条件を満たしているとみなされます。
なお、この条件は弁護士費用の立替制度を利用する場合のみ求められるので、無料法律相談のみであれば勝訴の見込みがなくても問題ありません。
自分のケースで見込みがあるかどうかは、法テラスの相談員や弁護士に確認する方が安心です。
まずは無料法律相談を活用して、勝訴の見込みがありそうかを聞いてみるのをおすすめします。
④民事法律扶助の趣旨に適合していること
民事法律扶助の趣旨に適合しているのも、法テラスを利用するうえで必要な条件です。
法テラスの立替制度は、経済的に困窮している人が法的支援を受けられるようにすることを目的とした制度です。
たとえば、個人的な報復や嫌がらせ・権利の濫用を目的とした訴訟などで法テラスは利用できません。
法テラスの利用目的が離婚・借金・相続・労働問題といった一般的な法律トラブルの解決であれば、この条件で弾かれることはほぼないと考えてよいでしょう。
もし目的が正当かどうか不安な場合は、まずは法テラスに相談してみてください。
相談員が内容を確認したうえで、適切に案内してくれます。
法テラスの利用条件を満たしているかを確認する2つの方法
条件を満たしているか自分では判断できないという場合は、2つの方法で確認できます。
書類審査が必要な立替制度と異なり、まずは電話をするだけで概要を確認できるのが特徴です。
具体的な方法を紹介します。
①法テラス・サポートダイヤルに問い合わせる
今すぐできる手軽な確認方法が、法テラス・サポートダイヤルへの問い合わせです。
電話すると、まずオペレーターが相談内容を確認し、その後、法テラスの相談員につないでもらえます。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 電話番号 | 0570-078374 |
| 受付時間 | 平日 9:00〜21:00 土曜 9:00〜17:00 (祝日・年末年始を除く) |
| 費用 | 通話料のみ自己負担 |
相談員に収入・資産の状況や相談したい法的問題の概要を伝えれば、利用可否の目安を案内してもらえます。
無料法律相談のみであれば、電話口でそのまま予約まで完了できるケースも多いです。
一方、費用立替制度の審査には別途書類の提出が必要であり、結果が出るまで約2週間かかります。
一日でも早くトラブルを解決したい場合は、早めに連絡するのが得策です。
【参考記事】審査に必要な書類について|法テラス
②最寄りの法テラス事務所に直接問い合わせる
サポートダイヤルではなく、最寄りの地方事務所に直接連絡する方法もあります。
無料法律相談は基本的に予約が必要ですが、対応している相談内容は法テラスや地方事務所によって異なる場合があるので、直接事務所に電話すればより詳細な情報を得られるでしょう。
問い合わせの際は、相談したい内容と自分の居住地や勤務地を伝えると、スムーズに案内してもらえます。
【参考記事】お近くの法テラス | 法テラス
法テラスの立替制度を利用するための5ステップ
法テラスの費用立替制度を利用するには、申し込みから援助開始まで一定の手順があります。
流れを把握しておけば、審査をスムーズに進められます。
一つひとつ解説します。
STEP①弁護士・司法書士に相談する
まずは、あなたが抱えているトラブルの内容や解決の見通しについて、弁護士または司法書士に相談しましょう。
相談の段階では、どのような解決方法があるか・どのくらいの期間がかかりそうかといった全体像を把握することが目的です。
相談した専門家にそのまま依頼したい場合は、法テラスを利用して依頼したい旨を伝えましょう。
法テラスと契約している法律事務所であれば、その場で手続きの説明をしてもらえます。
なお、弁護士を自分で選んで法テラスを利用したい場合は、法テラスと提携している法律事務所かどうかを事前に確認しておいてください。
STEP②審査に必要な書類を準備する
法テラスへの申請には、収入・資産状況を証明する書類の提出が必要です。
主な必要書類の例は、以下のとおりです。
- 収入証明書類|給与明細(直近2〜3ヵ月分)、源泉徴収票
- 資産証明書類|預貯金通帳のコピー
- 居住確認書類|賃貸借契約書、住民票など
- その他|生活保護受給証明書(該当者のみ)
審査では収入・資産が基準以下かに加えて、勝訴(解決)の見込みがあるか・趣旨に適合しているかの3点が確認されます。
この段階で、立替金額や月々の返済額について事務所と確認・調整します。
現実的に無理のない返済計画を立てておくことが、後のトラブル防止につながるでしょう。
STEP③審査が完了する
書類提出後、法テラスの審査を通過すれば援助開始決定書が発行されます。
援助開始決定書とは、法テラスの民事法律扶助制度を利用した際に交付される、弁護士費用などの立て替えと法的な援助の開始を証明する書類です。
援助開始決定書に記載されている立替金額・返済額・返済スケジュールなどを確認し、契約書にサインして提出すれば、正式に援助がスタートします。
なお、審査結果が出るまで約2週間かかるので、期日間近の訴訟を控えているといった事情がある場合は、申請と並行して弁護士に対応を相談しておくと安心です。
STEP④弁護士・司法書士が手続きを進める
援助が開始されると、弁護士または司法書士が打ち合わせ・書類作成・交渉・裁判対応などを進めます。
この期間中は、依頼者側がいかに弁護士や司法書士に協力するかが手続き完了までの時間を大きく左右します。
弁護士からの連絡には速やかに対応し、必要な情報や書類はできるだけ早めに提出してください。
なお、立て替え費用の返済は弁護活動と並行してスタートします。
返済金は次の利用者への援助資金として使われるものなので、遅滞なく支払う義務があります。
もし返済が困難になった場合は、早めに法テラスへ相談してください。
STEP⑤問題解決後、返済額が最終決定する
事件が無事に解決したら、弁護士が法テラスへ報告書を提出します。
最終的な判決内容や和解の条件をもとに、最終的な弁護士報酬と立替金の残りの返済方法が確定します。
解決によって一定の金銭的利益が得られた場合は、報酬額が増える可能性もあるので注意が必要です。
事前に弁護士と成果報酬の計算方法について確認しておくと、後々の混乱を防げるでしょう。
【関連記事】法テラスの依頼費用が丸わかり!事件ごとの費用相場や立替金の決定タイミングなども
法テラスの利用条件に関する3つの注意点
たとえ収入・資産の基準を満たしていても、法テラスを利用できないケースがあります。
以下の注意点を申請前に必ず確認しておきましょう。
①刑事事件の加害者は利用できない
刑事事件における加害者側の弁護費用は、法テラスの弁護士費用立替制度の対象外となります。
法テラスの民事法律扶助制度における対応範囲は、離婚・借金・相続・労働問題・損害賠償請求などに限られます。
刑事事件を起こしてしまった加害者の方は、自分で弁護士を探して相談・依頼する必要があるので注意が必要です。
なお、刑事事件で弁護士費用の援助が必要な場合は、被疑者・被告人向けの当番弁護士制度や国選弁護制度の利用を検討しましょう。
当番弁護士とは、逮捕された人が1回無料で弁護士と面会(接見)できる仕組みです。
一方、国選弁護制度とは経済的理由などで自分で弁護士を依頼できない被疑者や被告人のために、国が費用を負担して弁護士を選任する制度です。
いずれも所定の収入要件を満たせば、国が弁護士費用を負担してくれます。
詳細は、地域の弁護士会または法テラスへ確認してください。
【関連記事】国選弁護人とはどんな制度か?基礎知識、利用条件、利用手続きを紹介
②相談者が法人の場合は利用できない
民事法律扶助制度を利用できるのは、原則として個人のみです。
株式会社やNPO法人などの法人は対象外となります。
ただし、以下のケースは例外として利用できる場合があります。
- 法人代表者が個人として抱えるトラブル
- 個人事業主の債務整理(事業に関わる借金も含む)
会社名義の問題か個人名義の問題かによって対象が変わるため、判断が難しい場合は法テラスに直接確認するのが確実です。
なお、個人事業主であっても業務用の大型資材の購入トラブルなど、商行為とみなされる事案は対象外となる可能性が高いため注意が必要です。
法テラスは、あくまで生活の再生や個人の権利を守るための制度であるという前提を押さえておきましょう。
③在留資格を持たない外国人は利用できない
日本に在留資格を持っておらず、日本に住所がない外国人は法テラスを利用できません。
法テラスの民事法律扶助は、総合法律支援法において「外国人は適法に在留している者のみが対象」と定められています。
外国籍の方でも、在留カードなど適法な在留資格(ビザ)があれば法テラスを利用することが可能です。
申請時には在留カードなどの提示が必ず求められるので、在留資格の有無・種類・期限はあらかじめ確認しておきましょう。
法テラスを利用できるかどうかが不安な場合は、法テラス・サポートダイヤル(0570-078374)または最寄りの地方事務所に事前に問い合わせるのをおすすめします。
法テラスの利用条件にお困りの方は弁護士に相談しよう
法テラスの利用条件でつまずいた場合は、弁護士への相談が解決への近道です。
法テラスは経済的に余裕がない方にとって心強い支援制度ですが、場合によっては審査が通らないケースや条件が合わないケースがあります。
もし条件に該当しなかった場合も、諦める必要はありません。
多くの法律事務所が初回無料相談を実施しており、費用面が不安であれば分割払いに対応してくれるケースも少なくありません。
法テラスが使えないからといって、トラブルを放置するのが最大のリスクです。
どのような法的トラブルも、時間が経つほど解決が難しくなるので、まずは相談だけでも早めに進めましょう。
なお、弁護士を探す際は分野ごとに専門家を絞り込めるサービスの活用が有効です。
法テラスと提携している弁護士に直接依頼する方法も併せて検討してみてください。
【関連記事】法テラスの審査に落ちる9つの理由とは?審査期間や落ちた場合の対処法も解説
法テラスの利用条件にお困りの方はベンナビがおすすめ
法テラスの条件に当てはまらない方や、自分に合った弁護士を選んで依頼したい方には、「ベンナビ」の活用をおすすめします。
ベンナビとは、離婚・相続・交通事故・刑事事件・労働問題・債務整理・債権回収など、分野ごとに実績豊富な弁護士を探せるポータルサイトです。
サイト上では、地域・相談方法・無料相談の可否などを組み合わせて絞り込めるため、あなたの状況に合った専門家を効率よく探せます。
法テラスと提携している弁護士も掲載されており、持ち込み方式での利用にも対応できます。
初回無料相談を受け付けている法律事務所も多いので、まずは法テラスと提携しているかを聞くところから始めてみてはいかがでしょうか。
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法テラスの利用条件に関するよくある質問
最後に、利用条件についてよく寄せられる疑問をまとめました。
申請前の不安を解消するための参考にしてください。
Q1.審査に落ちたらもう相談できないの?
一度審査に落ちても、再申請は可能です。
収入が下がった、家族構成が変わったなど、状況が変わった場合は改めて審査を受けられます。
また、前回の申請で家賃・医療費・教育費などの控除項目を漏らしていた場合は、正しく反映すれば基準をクリアできる可能性があります。
なお、書類不備が原因だった場合も必要書類を揃え直せば、同内容でも審査が通る可能性があります。
なぜ審査に落ちたのかをしっかりと確認のうえ、対策してから再申請するのが確実です。
Q2.相談する弁護士はこちらで選べるの?
法テラスの窓口から予約した場合、担当弁護士は自動的に割り当てられるので指定はできません。
ただし、持ち込み方式であれば相談する弁護士を選べます。
持ち込み方式とは、法テラスと契約している法律事務所を自分で探して直接相談を申し込み、納得したうえで法テラスの立替制度を使って依頼する方法です。
弁護士との相性や専門性を重視したい方には、持ち込み方式の方が合っている可能性が高いです。
ベンナビなどの弁護士検索サービスで法テラス対応の事務所を探すと、スムーズに見つけられます。
Q3.司法書士にも依頼することは可能?
法テラスの立替制度は、弁護士だけでなく認定司法書士に依頼する場合も利用できます。
ただし、対応範囲によって次のような制限があります。
- 任意整理(1社あたり元本140万円以下) | 認定司法書士に依頼可能
- 簡易裁判所案件(請求額140万円以下) | 認定司法書士に依頼可能
- 自己破産・個人再生(地方裁判所管轄) | 書類作成援助として対応可能
- 1社あたり140万円超の案件 | 司法書士ではなく、弁護士への依頼が必要
自己破産や個人再生は地方裁判所の管轄となるため、司法書士は代理人にはなれないので注意が必要です。
ただし、法テラスの書類作成援助という枠組みを使い、裁判所提出書類の作成サポートを受けることは可能です。
Q4.生活保護受給中でも法テラスは利用できる?
生活保護を受給中の方も、法テラスの立替制度を利用できます。
生活保護受給中は、月々の弁護士費用の返済を猶予してもらうことが可能です。
事件が全て解決した後、正式な申請手続きをおこなえば立て替えてもらった費用の返済義務を免除してもらえる場合があります。
ただし、免除は自動的に適用されるわけではなく、事件終了後に以下の書類を提出・申請する必要があります。
- 償還免除申請書(法テラス指定書式)
- 生活保護受給証明書(3ヵ月以内に発行されたもの)
生活保護受給証明書には有効期限があるため、申請直前に役所で取得するようにしてください。
さいごに|法テラスの利用基準を満たさない場合はベンナビを利用しよう
本記事では、法テラスの利用条件について解説しました。
主なポイントは以下のとおりです。
- 無料法律相談は、収入・資産基準と趣旨への適合の2点で利用可否が決まる
- 費用立替制度はそれに加えて、勝訴の見込みがゼロではないことも審査される
- 収入基準は家族人数・居住地域によって異なり、家賃や医療費なども控除される
- 刑事事件の加害者・法人・在留資格のない外国人は原則として法テラスの対象外
法テラスは、条件さえ満たしていれば弁護士費用の心配をせずに専門家に相談できる心強い制度です。
もし利用条件に該当しなかった場合は、ベンナビを通じて初回無料相談や分割払い対応の事務所を探すのがおすすめです。
初回無料相談を受け付けている法律事務所も多いので、まずは気軽な相談から始めてみましょう。
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