当て逃げは、法律違反に該当する行為です。
しかし、犯人が見つからなかった場合には、自分で車の修理やけがの治療をおこなう必要があります。
また、当て逃げの被害によっては、ひき逃げとなることもあることから、状況を把握し適切に処理する必要があるといえるでしょう。
しかし、場合によっては当て逃げの対処方法がわからない、犯人にどの程度まで請求できるのかわからないといったケースもあるのではないでしょうか。
本記事では、
- 当て逃げの概要
- ひき逃げとの違い
- 当て逃げの対処方法
について解説します。
当て逃げとは
当て逃げは物損事故を起こした場合に、必要な措置（警察への報告や安全確保義務）を果たさず逃亡することを意味します。
ここでは、当て逃げの内容について詳しくみていきましょう。
当て逃げに該当する行為
当て逃げに該当する行為は、他者が運転する車に物的損害を与えてそのまま逃亡する、停車中に当てられるものなどが代表的です。
また、対象は建物、塀や電柱なども含みます。
よくある当て逃げのケース
当て逃げでよくあるケースは、次のようなものがあります
- ガードレールに突っ込み、物損事故を起こしたが逃亡した
- スピードの出しすぎによって、前方の車に衝突し逃亡した
- 衝突トラックに衝突し荷物を損傷させたが逃亡した
当て逃げとひき逃げの違い
当て逃げとひき逃げの違いは次のようになります。
- 当て逃げは物損事故
- ひき逃げは人身事故
ひき逃げの場合は当て逃げよりも罪が重く、けがのみであれば5年以下の懲役か50万円以下の罰金、死亡した場合は10年以下の懲役か100万円以下の罰金が課せられます。
当て逃げの罰則
当て逃げの罰則は、危険防止等措置義務違反であれば「1年以下の懲役か10万円以下の罰金と違反点数5点」、報告義務違反は「3ヵ月以下の懲役か5万円以下の罰金と違反点数2点」となっています。
また、点数は過去の処分によって変わるものの、初回でも7点（安全運転義務違反：2点、当て逃げの付加点数：5点）であれば免許停止処分となる点は知っておくとよいでしょう。
当て逃げされたらどうする？対処法について
ここでは、当て逃げされた場合の対処法について見ていきます。
特に犯罪に該当することから、確実に対処しましょう。
警察に連絡｜事故証明書を取得
当て逃げは、犯罪に該当します。
そのうえで、警察に相談すれば事故証明書を発行できるため、犯人に対して、損害賠償請求や自動車保険の利用が可能です。
当て逃げの現場を目撃していたなら証拠を記録
当て逃げを目撃していた場合は、車種や運転手の特徴、傷の位置などを記録しておくことが大切です。
また、ドライブレコーダーがなければ、スマートフォンなどがあれば動画や画像も残せるため、当て逃げされた場合には証拠を残すことを意識しましょう。
防犯カメラやドライブレコーダーの記録を確認
店舗での当て逃げなどであれば、防犯カメラがある可能性も否定できません。
そのうえで、防犯カメラにおいては、警察に相談後確認を依頼しましょう。
警察経由でなければ、トラブルの原因となる可能性もあるためです。
ドライブレコーダーの記録に関しては、警察に提出すれば調べてもらうことも可能です。
自分の加入する保険会社へ連絡
一般型と呼ばれる車両保険であれば、当て逃げの修理代が補償されます。
しかし、 どのような条件であれば保障されるのかは異なるため、保険会社への連絡を徹底しましょう。
当て逃げされたら車の修理費用はどうなる？
ここからは、当て逃げされた場合の車の修理費用について見ていきましょう。
簡潔にいえば、犯人が見つからなかった場合と見つかった場合の対応が大きく異なります。
犯人が見つかれば相手に請求できる
犯人が見つかった場合、車両の修理費やレッカー代、買い替えの全費用などを請求することが可能です。
犯人の保険会社及び本人に請求できるのは、物損に対する費用のみであることも知っておきましょう。
犯人が見つからなければ自分の保険を使うまたは自費
犯人が見つからない場合は、自分の保険を利用するか自費での修理になります。
ただし、保険を利用した場合、等級が低下する点は知っておきましょう。
また、けがを負ってしまった場合は120万円を上限とした「政府保障事業」も利用可能です。
当て逃げについてのFAQ
ここからは、当て逃げでよくあるFAQについて見ていきましょう。
当て逃げした犯人は見つかるものでしょうか？
防犯カメラに映っていれば見つかります。
また、ドライブレコーダーで駐車監視モードが使用できるものであれば、信号待ちだけでなく人がいない場合でも犯人を見つけられる可能性が高まるといえるでしょう。
自分の保険会社から修理費用を出してもらうと、保険料は上がりますか？
結論からいうと、必ず上がります。
事故扱いとなったうえで保険金を受け取っているため、翌年の等級が3等級下がるためです。
たとえば、当て逃げされる前は、無事故の20等級（-63％）だったとしても翌年には事故ありの17等級（-46％）となります。
割引率が大きく異なるため、保険料が上がることになります。
当て逃げされたけれど警察に届け出ないまま随分時間が経ってしまいました。今さら届け出ても仕方ないですよね？
保険を適用する場合も交通事故証明書が必要となるため、名乗り出ましょう。
当て逃げの時効は3年となっているだけでなく、物損であれば犯人の塗料が付着しているケースも多いためです。
当て逃げされた際にけがをしたことがあとからわかりました。どうすればよいでしょうか？
警察に相談しましょう。
当て逃げとひき逃げでは慰謝料の扱いが異なります。
ひき逃げの検挙率が60％以上であることから考えると、当て逃げされたタイミングで名乗りでなかったとしても、ひき逃げに該当すると想定されると判断した場合は名乗り出ましょう。
また、ひき逃げに関しては、過失運転致死傷罪の場合は5年の時効（過失運転致傷罪で被害者が死亡した場合は10年）となっているため、あとから届け出をおこなったとしても対処できる可能性が高いといえます。
仮に、けがを負った場合は政府保障事業の利用も可能です。
まとめ｜当て逃げされたら適切に対処して弁護士に相談しよう
当て逃げは、車両を保有・操作している限り起こる可能性があるものだといえます。
そのうえで当て逃げされた場合には、適切に対処することが大切です。
また、けがを負った場合には、ひき逃げに該当することから、弁護士に相談した場合には、慰謝料の請求額も上昇する可能性があります。
当て逃げにどのように対処していいかわからない場合も相談可能であるため、当て逃げに悩んでいる場合は弁護士への相談をおすすめします。
