交通事故で賠償金はいくら受け取れる?確認方法・計算方法や増額のポイントなどを解説

交通事故で賠償金はいくら受け取れる?確認方法・計算方法や増額のポイントなどを解説
  • 「交通事故でけがをしたけれど、賠償金はどのくらいもらえるのかわからない…」
  • 「保険会社の提示額が妥当なのか、不安…」

交通事故に遭ったあと、多くの方がこうした疑問や不安を抱えるのではないでしょうか。

賠償金の金額は、治療費や慰謝料、休業損害などさまざまな要素によって決まり、被害者の状況によっても大きく変わります

また、加害者側の保険会社が提示してくる金額が、必ずしも適正とは限らない点にも注意が必要です。

本記事では、交通事故の賠償金の基本的な内訳や相場、確認・計算の方法に加え、損をしないために知っておきたい増額のポイントまで詳しく解説します。

事故後に適正な補償を受け取るためにも、ぜひ参考にしてください。

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交通事故における損害賠償金はいくら?賠償金の目安を確認する2つの方法

交通事故の被害にあったとき、どれくらいの損害賠償金を請求できるのかが気になる方も多いでしょう。

そこでここからは、交通事故の損害賠償金の目安額を確認する2つの方法を紹介します。

1.WEBサイト・WEBサービスを利用する

交通事故の損害賠償額・慰謝料額の目安額を簡単に把握する手段として、インターネットを利用する方法が挙げられます。

当サイトをはじめ、インターネット上には損害賠償額の基準や目安を解説しているWEBサイトが多数存在します。

また、全国の法律事務所のホームページや交通事故関連の情報メディアの中には、損害賠償計算ツールを公開しているものも存在します。

そのようなツールでは、交通事故の情報や被害者の属性、入通院期間などの情報を入力するだけで、損害賠償請求額や慰謝料額、休業損害、逸失利益などの目安額を算出可能です。

ベンナビ交通事故でも、「交通事故の慰謝料計算機」を公開しております。

交通事故被害による賠償金額などの情報を知りたいという方は、以下のページをからご確認ください。

【関連記事】交通事故の慰謝料計算機

2.交通事故問題を取り扱う弁護士に相談する

交通事故の正確な賠償金額を知りたい場合は、交通事故トラブルを取り扱う弁護士に相談するのがおすすめです。

交通事故についての実績が豊富な弁護士なら、ある程度の事故に関する情報や状況がわかれば、どれくらいの慰謝料や賠償金を請求できるか教えてくれるでしょう。

ただし、法律相談の際は交通事故に関する書類・証拠などの資料が必要になります。資料がない状態で「賠償金はいくらですか?」と聞いても弁護士も答えようがないので注意しましょう。

なお、弁護士に交通事故トラブルの対応を委任する前に法律相談を受ける際には、相談料が発生する点に注意が必要です。

相談料の金額は法律事務所によって異なりますが、30分あたり5,500円~11,000円(税込)が目安です。

しかし、最近では初回の法律相談を無料で受け付けている事務所も多くなっています。

ベンナビ交通事故では、初回相談無料などの条件面から交通事故トラブルを取り扱う弁護士を検索できるので、この機会にぜひご活用ください。

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交通事故の損害賠償金の内訳とそれぞれの計算方法|慰謝料・休業損害など

交通事故の被害に遭った場合、その被害によって生じた損害や精神的苦痛に対して賠償金や慰謝料を請求可能です。

そして、交通事故における代表的な損害項目には、以下のようなものが挙げられます。

  • 慰謝料
  • 治療費
  • 休業損害
  • 逸失利益
  • 修理費・買い替え費用

ここからは、それぞれの損害項目について詳しく見ていきましょう。

1.慰謝料|精神的苦痛に対して支払われる

交通事故の慰謝料とは、交通事故の被害者が負った精神的苦痛に対する金銭賠償のことです。

原則として、交通事故で慰謝料が発生するのは人身事故に限られます。

物損事故については、例外的な特殊事情が存在しない限り、慰謝料を請求することはできません。

交通事故の慰謝料は、以下4種類に分類されます。

  • 入通院慰謝料(傷害慰謝料):交通事故が原因で負傷したときの慰謝料。
  • 後遺障害慰謝料:交通事故が原因で後遺障害が残ったときの慰謝料。
  • 死亡慰謝料:交通事故で被害者が死亡したときの被害者本人の慰謝料。
    実際に受け取るのは法定相続人。
  • 近親者慰謝料:交通事故で被害者が死亡したり重度傷害を負ったりした場合に家族に生じた精神的苦痛に対して支払われる慰謝料。

ここからは、交通事故の慰謝料請求における前提や各慰謝料の計算方法について詳しく解説します。

前提|交通事故慰謝料を計算するときの3つの基準

前提として、交通事故の慰謝料額を計算するときには、以下3つの基準が存在することを押さえる必要があります。

基準 概要・特徴
自賠責基準 自賠責保険で定められている算定基準のこと。
被害者に生じた損害を最低限カバーすることを目的としているので、3つの基準のうち、もっとも低額になる。
任意保険基準 各任意保険会社が定めている内部基準のこと。
基準の詳細は公表されていないが、自賠責基準と同程度か、それよりも少し高い金額が算出されることが多い。
弁護士基準(裁判基準) 過去の裁判例や交通トラブル事案における解決金のデータを前提に導かれる基準のこと。
交通事故の実態に即した賠償金額を算出できて、3つの基準のなかで、もっとも高額の賠償額を算出できる傾向にある。

そして、交通事故被害者にとってもっとも有利になりやすい基準が「弁護士基準(裁判基準)」です。

しかし、交通事故の加害者側保険会社は賠償額の負担を軽減しようと考えるので、任意保険基準を前提とした賠償金まで引き下げようと交渉をしてくることが多い印象です。

弁護士基準(裁判基準)を前提として慰謝料請求をするには弁護士への依頼が必須となります。

そのため、交通事故が原因で生じた精神的苦痛に対して正当な慰謝料を受け取りたいと希望する人は、できるだけ早いタイミングで交通事故対応を取り扱う弁護士まで相談するのがおすすめです。

入通院慰謝料(傷害慰謝料)の計算方法

入通院慰謝料の計算方法は、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準のどの基準を用いるかで異なります

まず、自賠責基準の場合は、以下2つのうち低い金額が慰謝料として採用されます。

  1. 1日あたりの金額(4,300円)× 実際に入通院した日数 × 2
  2. 1日あたりの金額(4,300円)× 治療期間

たとえば、けがが完治するまでに30日の期間を要し、その間、1週間に2回、合計8日通院をしたケースでは、以下のようになります。

  1. 1日あたりの金額(4,300円)× 実際に入通院した日数(8日)× 2 = 68,800円
  2. 1日あたりの金額(4,300円)× 治療期間(30日)= 129,000円

したがって、このケースにおける自賠責基準の入通院慰謝料は68,800円と導かれます。

次に、任意保険基準は各保険会社が設定しているうえ、非公開情報なので正確な数値として入通院慰謝料を計算することはできません。

ただし、一般的な目安として、任意保険基準は自賠責保険と同等もしくは、若干高い程度の基準となっているケースが多い印象です。

さいごに、弁護士基準で入通院慰謝料を算出する際には、日弁連交通事故相談センターが刊行している「民事交通事故訴訟 損害賠償算定基準」(通称「赤い本」と呼ばれる書籍)や」「交通事故損害額算定基準」(通称「青本」と呼ばれる書籍)が活用されます。

これらの書籍では、交通事故のけがの態様によって「軽傷用」「重傷用」の2つの算定表が用意されており、入院期間・通院期間ごとに入通院慰謝料額が定められています。

たとえば、青本では「けがが完治するまでに30日の期間を要したケース」の場合の入院慰謝料額は、軽傷の場合で19万円、重傷の事案で28万円です。

後遺障害慰謝料の計算方法

後遺障害慰謝料は、交通事故によって後遺症が残り、後遺障害等級認定を受けることができた場合に支払われる慰謝料のことです。

後遺障害慰謝料は、以下のように、認定された等級ごとにその金額が定められています。

後遺障害等級 自賠責基準 弁護士基準
1級 1,150万円 2,800万円
2級 998万円 2,370万円
3級 861万円 1,990万円
4級 737万円 1,670万円
5級 618万円 1,400万円
6級 512万円 1,180万円
7級 419万円 1,000万円
8級 331万円 830万円
9級 249万円 690万円
10級 190万円 550万円
11級 136万円 420万円
12級 94万円 290万円
13級 57万円 180万円
14級 32万円 110万円

※任意保険基準については各社ばらつきがあるので省略しています。要介護かどうかによっても金額は異なります。

死亡慰謝料・近親者慰謝料の計算方法

死亡慰謝料とは、交通事故で被害者が死亡したときの被害者固有の慰謝料のことです。

交通事故実務では、交通事故でけがをしたときに被害者に精神的苦痛が発生するのと同じように、死亡した場合にも被害者本人に精神的苦痛が生じると考えられています。

ただし、死亡した被害者本人が加害者に対して慰謝料を請求するのは物理的に不可能なので、死亡慰謝料は法定相続人などが請求する形となるのです。

また、交通事故で被害者が死亡したり重篤な障害を負ったりした場合には、被害者の家族も心を痛める事態になっていると考えられます。

そのため、交通事故でこのような深刻な被害が生じたときには、「近親者慰謝料」という形で、遺族による慰謝料請求が認められています。

自賠責基準・弁護士基準それぞれの死亡慰謝料・近親者慰謝料は以下のとおりです。

【自賠責基準】
家族構成 慰謝料の金額
本人だけ 400万円
遺族が一人 550万円
遺族が二人 650万円
遺族が三人以上 750万円
扶養家族がいる場合 200万円加算
【弁護士基準】
被害者の属性・状況 慰謝料の金額
一家の支柱 2,800万円
母親、配偶者 2,500万円
独身の男女、子ども、幼児など 2,000万円~2,500万円

なお、画一的な処理が重視される自賠責基準とは異なり、弁護士基準で死亡慰謝料・近親者慰謝料の金額を算出するときには、個別の事情が丁寧に斟酌されます

たとえば、交通事故の加害者側に以下のような事情がある場合には、死亡慰謝料・近親者慰謝料額が増額される可能性があります。

  • 飲酒運転や薬物の影響下での運転
  • 信号無視やスピード違反、救護義務違反(ひき逃げ)などの交通規制違反
  • 無免許運転
  • 取り調べで虚偽の供述をしたり、隠蔽工作を図ったりするなど、不誠実な態度が見られた
  • 示談交渉で被害者側に高圧的・威圧的な態度をとったり、暴力行為などに及んだりした など

適切な慰謝料を受け取るためには、これらの要素をしっかりと検討する必要があるので、弁護士に相談することをおすすめします。

2.治療費|実際にかかった金額が支払われる

交通事故で負ったけがについての治療費は、原則として加害者が負担します。

交通事故の損害賠償金として請求できる治療費は、以下のとおりです。

  • 病院を受診して発生した治療費(診察費・検査費・手術費・入院費・リハビリ費など)
  • 薬代
  • 医師の指示で接骨院・整骨院などを利用した場合の施術費
  • 入院付添費用・通院付添費用
  • 入院雑費(日用品の購入費用、通信費用など)
  • 通院交通費
  • 装具購入費
  • 文書費(診断書・後遺障害診断書などの作成費用)
  • 将来介護費用
  • 家屋などの改修費用(リフォームなど)

治療費として加害者に対して損害賠償請求できるのは、実際に発生した実費分です。

計上漏れがないように、病院を受診したときには、必ず明細書などを手元に残しておきましょう。

なお、加害者側が自動車保険に加入している場合には、任意保険会社が病院に対して治療費を直接支払ってくれる(一括対応)ため、そこまで問題にはなりません。

しかし、加害者側が自動車保険未加入のケースや、相手方の保険会社から一括対応を拒否されたケースでは、被害者本人が治療費を一時的に立て替えて、事後的に損害賠償請求という形で請求することになります。

このような場合、治療と並行しながら自力で保険会社とのやり取りをおこなうのは身体的にも精神的にも負担がかかるので、弁護士に相談するのがおすすめです。

3.休業損害|減収額に応じた金額が支払われる

休業損害とは、交通事故で負ったけがが原因で働くことができず、収入が減少したときの減収分のことで、原則として加害者が加入している自動車保険か自賠責保険から支払われます

休業損害が発生するのは、交通事故発生日から完治または症状固定の日までで、「1日あたりの基礎収入額 × 休業日数」の計算式で算出されます。

1日あたりの基礎収入額については、給与所得者なら交通事故直前3ヵ月の給与明細や事故前年の源泉徴収票を、自営業者の場合には、確定申告書を参考に算出するのが通常です。

また、専業主婦については、賃金センサスを前提に基礎収入額を算出する必要があります。

休業損害を計算するのは簡単な作業ではなく、被害者の置かれた社会的立場や収入事情などを個別具体的に精査しなければいけません。

適切な金額の休業損害を請求できなければ減収分の負担を被害者本人が強いられるので、交通事故実務に詳しい弁護士まで相談することをおすすめします。

4.逸失利益|失われた将来の利益に応じて支払われる

逸失利益とは、交通事故による被害がなければ将来得ることができたはずの収入のことです。

交通事故が原因で被害者が死亡したり、後遺障害によって働けなくなったりすると、、これまで通りの収入を得ることができなくなってしまいます。

そのため、将来得られるはずだった収入についても、加害者に請求することができるのです。

なお、加害者に請求できる逸失利益には、被害者が死亡したときに生じる死亡逸失利益と、後遺障害によって労働能力を喪失した場合に生じる後遺障害逸失利益の2種類があります。

まず、後遺障害逸失利益は「基礎収入額 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」の計算式で算出されます。

後遺障害等級 労働能力の喪失率
第1級 100%
第2級 100%
第3級 100%
第4級 92%
第5級 79%
第6級 67%
第7級 56%
第8級 45%
第9級 35%
第10級 27%
第11級 20%
第12級 14%
第13級 9%
第14級 5%
労働能力喪失期間 ライプニッツ係数
1年 0.9709
10年 8.5302
15年 11.9379
30年 19.6004
50年 25.7298
80年 30.2008

次に、死亡逸失利益は「基礎収入額 × (1 – 生活費控除率) × ライプニッツ係数」という計算式で算出されます。

ライプニッツ係数を用いる点では後遺障害逸失利益と同様ですが、生活控除率については、以下の表が用いられる点に注意しましょう。

区分 生活費控除率
一家の支柱 被扶養者一人:40%
被扶養者二人以上:30%
女子(主婦・独身・幼児など) 30%
男子(独身・幼児などを含む) 50%

5.修理費・買い替え費用|査定額などに応じて支払われる

交通事故で被害者側の車両などが損傷した結果、修理費が発生したときには、車両時価額の範囲で加害者側に損害賠償請求することが可能です。

また、積載物が壊れた場合には、これらに生じた損害も加害者側に請求できる可能性があります。

修理費として加害者側に請求できるのは、原則として実費分です。

修理が可能な場合には修理費を請求し、修理が不可能なほど損傷をした「物理的全損」や、修理費用が高額で車両時価額を超過する「経済的全損」の場合には車両時価額を請求します。

車両時価額として相手方に請求できるのは、あくまでも交通事故発生時点における中古車市場の適正査定価額が前提とされます。

交通事故発生時にどのような車両に乗車していたのか、中古市場における人気度、評価損などが争点になることが多いので、加害者側からの提示額に納得できないときには、弁護士に相談するのがおすすめです。

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交通事故の損害賠償金をできる限り多く受け取るための5つのポイント

交通事故の被害にあったときに、加害者側からできるだけ高額の損害賠償金を受け取るためのポイントを5つ紹介します。

  • 弁護士基準で損害賠償金を請求する
  • きちんと通院して適切な治療を受ける
  • 過失割合を「10対0」に近づけるようにする
  • 後遺症に見合った後遺障害等級の認定を受ける
  • レシートなどを保管しておき漏れなく費用を請求する

それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。

1.弁護士基準で損害賠償金を請求する

損害賠償額の増額を狙うなら、弁護士基準による賠償額算定の検討が不可欠です。

なぜなら、自賠責基準、任意保険基準に比べて、弁護士基準では被害者に有利な算定結果を導くことが多いからです。

自賠責基準・任意保険基準では、類型的・画一的な処理がおこなわれる傾向にあります。

一方、弁護士基準なら、各交通事故の個別事情をひとつずつ丁寧に考慮して賠償額を決定できるので、被害実態に即した賠償額を受け取りやすくなるでしょう。

なお、弁護士基準が適用されるのは、原則として交通事故トラブルの解決を弁護士に依頼したときに限られます。

加害者側から提示された賠償金額に不満があるときや、適正な損害賠償を受けたいときには、できるだけ早いタイミングで弁護士まで相談しましょう

2.きちんと通院して適切な治療を受ける

交通事故で負傷をしたときには、交通事故発生時からできるだけ早いタイミングで病院を受診し、完治または症状固定の診断を受けるまでは通院を続けてください。

まず、交通事故発生日と病院を受診した日の間に一定の期間があると、交通事故とけがとの間の因果関係が否定される危険性があります。

加害者側の保険会社に治療費の支払いを拒否されると、自腹で病院にかからなければいけなくなるので、けがの疑いがあるときには、速やかに病院を受診しましょう

次に、通院を開始したあとは、完治または症状固定の診断が下されるまで、主治医の指示通りに治療を継続してください。

たとえば、比較的軽微な交通事故トラブルの場合、「もう自覚症状はないから通院をやめても問題ないだろう」などと、患者側が勝手に通院をやめるケースが多く見られます。

しかし、途中で治療をストップするとそれまでの治療費さえも加害者側に請求しにくくなってしまったり、容態が急変したときに自己責任を問われたりしかねません

交通事故の被害者であったとしても、事故後の対応は丁寧かつ誠実におこなう必要があります。

けがをした以上は医師の指示にしたがって、完治または症状固定のタイミングまでは治療を継続してください。

3.過失割合を「10対0」に近づけるようにする

交通事故の損害賠償額の交渉の上では、過失割合がポイントになります。

というのも、交通事故について被害者側にも一定の過失割合が認められてしまうと、被害者側の過失割合分だけ賠償額が自己負担になって、加害者側に請求できる損害賠償額が減額されてしまうからです。

そのため、適正な金額の賠償金を受け取りたいと希望する場合には、示談交渉や民事訴訟において被害者側の過失割合が存在しないことや、過失割合が極めて少ないことを立証するための客観的証拠が重要になります。

たとえば、事故当時の状況を撮影したドライブレコーダーの映像や、周囲の防犯カメラ映像、目撃者の証言、実況見分調書などが役立つでしょう。

4.後遺症に見合った後遺障害等級の認定を受ける

交通事故が原因で後遺症が残ったときには、適切な金額の後遺障害逸失利益・後遺障害慰謝料を受け取ることができるかが賠償額の金額を左右するといっても過言ではありません。

ここで注意すべきなのは、後遺障害逸失利益と後遺障害慰謝料の金額は、後遺障害等級認定の等級によって大きく左右されるという点です。

後遺症の内容に見合った後遺障害等級認定を受けることができなければ、実態よりも少ない金額の逸失利益・慰謝料しか受け取ることができません。

そして、適切な後遺障害等級の認定を受けるには、以下のポイントが重要になります。

  • 交通事故が起きてすぐに病院を受診する
  • 医師の指示どおりに治療を継続する
  • 後遺障害等級認定申請に役立つ検査を受ける
  • 必要な内容が記載された後遺障害診断書を作成してもらう など

被害者本人だけで後遺障害等級認定申請手続きをおこなったために希望通りの認定結果を受けることができなかったケースは少なくないので、必ず交通事故実務に詳しい弁護士まで相談するようにしましょう

5.レシートなどを保管しておき漏れなく費用を請求する

交通事故の被害にあったときに加害者側に対して損害賠償請求権を行使する際には、被害者側が損害賠償請求権が存在することやその内容について主張立証しなければいけません。

ですから、生じた損害に対して適切な金額の賠償金を受け取りたいのなら、損害額を客観的に証明できる証拠をしっかりと保管することが重要だと考えられます。

交通事故に巻き込まれて通院や保険会社とのやり取りなどで慌ただしい状況が続くかと思われますが、領収書や明細書などは全て保管しておきましょう

交通事故の損害賠償金を請求するにあたって気を付けておくべき注意点

さいごに、交通事故の損害賠償金を請求する際の注意点を3つ紹介します。

1.相手方が争う姿勢を見せることがある

被害者・加害者という立場がはっきりしているタイプの交通事故トラブルであったとしても、交通事故後の示談交渉が難航する可能性があります

たとえば、被害者側と加害者側がそれぞれ主張する過失割合が異なると、客観的証拠を提出し合いながら、双方が納得するまで示談交渉をつづける必要があります。

そして、いつまでも合意形成に至らない場合には、交通事故トラブルが民事訴訟に発展するケースもあります。

交通事故発生後、スムーズに交渉を進めるためにも、また、訴訟の可能性に備える意味でも、早めの段階で弁護士に相談することをお勧めします

2.事故と関係がない損害については請求できない

加害者に賠償請求できるのは、交通事故との間に相当因果関係がある損害に限られます

たとえば、交通事故とは関係のないけがを治療するために要した病院代は、交通事故との間の因果関係が否定されるので、加害者に請求することはできません

また、見舞客に対する接待費やお礼返しの費用も交通事故と直接的な因果関係があるとは判断されないのが交通事故実務です。

さらに、交通事故発生日と病院を受診した日との間に期間が空いてしまうと、けがと交通事故との間の因果関係の存否を争われるおそれも生じます。

加害者との示談交渉では、因果関係が争点になるケースも少なくありません。

因果関係が争点になると客観的証拠を活用して因果関係を立証する必要が生じるるので、できるだけ早いタイミングで交通事故を取り扱う弁護士に相談しましょう

3.3年または5年で損害賠償請求権の時効が成立する

交通事故が原因で生じた損害賠償請求権には消滅時効があるので注意が必要です。

消滅時効が完成して、加害者側がこれを援用すると、損害賠償請求が認められなくなってしまいます。

交通事故の消滅時効は以下のとおりです。

  • けがをした場合:交通事故の翌日から5年以内
  • 死亡した場合:死亡の日の翌日から5年以内
  • 後遺障害を負った場合:症状固定の翌日から5年以内
  • 物損が生じた場合:交通事故の翌日から3年以内
    ※ただし、死亡や後遺障害が残った場合でも、治療費などのけがに関する時効は交通事故の翌日から5年以内になります。

示談交渉を開始するタイミングが遅れたり、示談交渉が難航したりすると、消滅時効が原因で損害賠償請求権が認められず、泣き寝入りを強いられかねません

さいごに|弁護士に相談しつつ適切な額の賠償金を受け取れるようになろう

交通事故の損害賠償金にはさまざまな損害項目が含まれます。

しかし、適切な金額の賠償金を受け取るには、被害者側でひとつずつ損害項目を計上したうえで、過失割合などのさまざまな論点とあわせて加害者側と示談交渉を進めなければいけません

もっとも、交通事故に巻き込まれた被害者本人は治療などに専念する必要があるでしょうし、示談交渉の経験もないことが多いです。

そのため、交通事故の賠償金については弁護士に相談・依頼し、示談交渉も含めて全て任せるのが得策です。

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監修記事
有岡・田代法律事務所
田代 隼一郎
当事務所の弁護士は公益財団法人交通事故紛争処理センターに在籍しており、保険会社や裁判官との意見交換会などをおこなっています。知識と経験から依頼者様のメリットを最大化するよう尽力しています。
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アシロ編集部
編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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