- 「パパ活をした男性は犯罪になるのか…?」
- 「パパ活でどのような犯罪が成立するのか…?」
パパ活とは、一般的に男性が女性に対して金品などを渡し、デートや性交渉などをすることを指します。
性行為を伴う場合は売春禁止法で禁止されていますが、刑事罰は規定されていないため処罰はされません。
しかし、相手の同意がないのに性行為に及んだり、相手が未成年者であったりした場合は犯罪になりえます。
本記事では、パパ活行為をしたことがある男性に向けて、以下の内容について詳しく説明します。
- パパ活行為が犯罪になるかどうか
- パパ活で成立する可能性がある犯罪
- パパ活によって警察に逮捕された事例
- 刑事事件となった場合に生じるリスク など
パパ活行為が犯罪に該当するのかを理解し、必要に応じて刑事事件が得意な弁護士に相談しましょう。
パパ活は犯罪になるの?場合によっては犯罪が成立することもある
パパ活は、倫理的・道徳的な問題は別として、一般的には犯罪になる可能性は低いです。
例えば「成人女性と食事をしてお小遣いを渡す行為で処罰される」ということは考えにくいでしょう。
しかし、相手の同意がない場合や相手が未成年者である場合などでは、犯罪になるリスクがあります。
個別具体的な事情によっては、パパ活行為が原因で刑事事件化するリスクがあるので注意が必要です。
パパ活で成立する可能性がある主な犯罪|女性全般に対して成立するもの
パパ活行為によって成立する可能性がある主な犯罪は、以下のとおりです。
- 不同意性交等罪
- 不同意わいせつ罪
- 性的姿態等撮影罪
- 迷惑行為防止条例違反 など
ここでは、パパ活によって成立する可能性がある一般的な犯罪について説明します。
なお、女性が未成年者だった場合に成立する可能性がある犯罪については次項で説明します。
1.不同意性交等罪|抵抗できない女性に対して性的な行為などをした場合に成立する
抵抗できない状態の女性に対して性交等に及んだときには、不同意性交等罪が成立します(刑法第177条)。
不同意性交等罪の法定刑は5年以上の有期拘禁刑と定められており、未遂犯も処罰対象となります。
【不同意性交等罪に該当する可能性があるケース】
- 睡眠薬を使ってパパ活相手を眠らせてから性行為をする
- 経済的な支援を拒めないことを知りながら性行為をする など
【関連記事】不同意性交等罪とは?成立する3つの要件や刑罰・時効を解説
2.不同意わいせつ罪|抵抗できない女性に対してわいせつ行為をした場合に成立する
抵抗できない状態の女性に対してわいせつな行為をすると、不同意わいせつ罪が成立します(刑法第176条)。
不同意わいせつ罪の法定刑は6ヵ月以上10年以下の拘禁刑と定められており、未遂犯も処罰対象となります。
【不同意わいせつ罪に該当する可能性があるケース】
- パパ活相手を泥酔状態にさせたうえでキスをする
- 「学校や親にバラすぞ」と脅して胸や臀部などを触れる など
【関連記事】不同意わいせつ罪とは?不起訴獲得に弁護士の協力が欠かせない理由
3.性的姿態等撮影罪|パパ活相手の性的姿態をひそかに撮影した場合などで成立する
パパ活相手の性的姿態を盗撮した場合は、性的姿態等撮影罪が成立します(性的姿態撮影等処罰法第2条)。
性的姿態等撮影罪の法定刑は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金刑と定められています。
なお、盗撮したデータを第三者に譲った場合には性的撮影記録提供等罪などの犯罪が成立します。
【性的姿態等撮影罪に該当する可能性があるケース】
- パパ活相手の合意を得ないまま性行為を撮影する
- パパ活相手の合意を得ないままシャワーを浴びている様子を撮影する など
【関連記事】【弁護士監修】撮影罪(盗撮罪)とは?刑罰や構成要件をわかりやすく解説
4.迷惑行為防止条例違反|公共の場でパパ活相手の身体を触れた場合などで成立する
パパ活相手に対する行為が、迷惑行為防止条例違反に該当するケースもあります。
自治体や行為内容などによって異なりますが、懲役刑や罰金刑が科される可能性もあるでしょう。
【迷惑行為防止条例違反に該当する可能性があるケース】
- 移動中の道路でパパ活相手の胸や臀部などを触る
- 移動中のタクシー内でパパ活相手のスカートの中を撮影する など
【関連記事】迷惑防止条例違反で逮捕されたら?処罰内容と弁護士に相談すべき理由を解説
パパ活で成立する可能性がある犯罪|未成年者に対して成立するもの
被害女性が未成年者であった場合には、以下のような犯罪が成立する可能性があります。
- 未成年者略取誘拐罪
- 児童買春罪
- 児童ポルノ製造罪
- 青少年保護育成条例違反
- 面会要求等罪
ここでは、パパ活相手の女性が未成年者であった場合に成立する可能性がある犯罪について説明します。
1.未成年者略取誘拐罪|未成年者を誘惑して日常生活から離脱させた場合に成立する
パパ活相手が未成年者の場合、未成年者略取誘拐罪が成立する可能性があります(刑法第224条)。
性的行為の有無は関係なく、未成年者を連れ出して食事をするだけでも成立するリスクがあります。
未成年者略取誘拐罪の法定刑は3ヵ月以上7年以下の拘禁刑であり、未遂罪も処罰の対象になります。
【未成年者略取誘拐罪に該当する可能性があるケース】
- 「お小遣いをあげる」と言って未成年者と食事をする
- 「ブランド品を買ってあげる」と言って未成年者とデートをする など
2.児童買春罪|未成年者にお小遣いやブランド品を渡して性行為をした場合に成立する
未成年者に代償を渡し性交等に及んだ場合は、児童買春罪が成立します(児童買春・児童ポルノ禁止法第4条)。
性交だけではなく、口淫や手淫、児童の性器等を触るなどの行為についても、児童買春罪は成立します。
児童買春罪の法定刑は、5年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金刑です。
【児童買春罪に該当する可能性があるケース】
- 未成年者にお小遣いをあげて性行為をする
- ブランド品を渡して口淫や手淫などをさせる など
3.児童ポルノ製造罪等|未成年者との性行為などを撮影した場合に成立する
未成年者との性交を撮影した場合、児童ポルノ製造罪が成立します(児童買春・児童ポルノ禁止法第7条)。
児童ポルノ製造罪の法定刑は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金刑となっています。
【児童ポルノ製造罪に該当する可能性があるケース】
- 未成年者との性交の様子を撮影している
- 未成年者の裸の姿や着替えの様子を撮影している
4.青少年保護育成条例違反|未成年者に対して性行為などをした場合に成立する
金銭等を渡していなくても、未成年者と性行為などをすると青少年保護育成条例違反になりえます。
地域や行為内容なよって異なりますが、条例違反になると懲役刑や罰金刑を科されるリスクがあります。
【青少年保護育成条例違反に該当する可能性があるケース】
- お金のやり取りなどがない状態で未成年者と性行為をした
- お金のやり取りなどがない状態で未成年者に口淫や手淫をさせた など
なお、パパ活相手が16歳未満の場合は、不同意性交等罪や不同意わいせつ罪として処罰されるでしょう。
5.面会要求等罪|16歳未満の少女にわいせつ目的で面会を迫った場合に成立する
16歳未満の少女に対してわいせつ目的で面会を迫った場合は、面会要求等罪が成立します(刑法第182条)。
わいせつ目的で面会を迫った場合の法定刑は、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金刑となっています。
また、実際に16歳未満の少女と面会した場合は2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金刑に処されます。
【面会要求等罪に該当する可能性があるケース】
- お小遣いをあげるから会おうと執拗に迫る
- 裸や性器が写った画像を送信するように迫る など
パパ活行為が原因となって警察に逮捕された事例3選
パパ活行為が原因で警察に逮捕されている事例は、数多くあります。
- 相手が16歳未満の少女と知りながら性交に及んだ事件
- 13歳の少女に対して現金を渡す約束で性交に及んだ事件
- SNSで知り合った少女に現金を渡してみだらな行為をした事件
ここでは、パパ活がきっかけで刑事事件になった事例を3つ紹介します。
1.相手が16歳未満の少女と知りながら性交に及んだ事件|不同意性交等罪など
本件は、50代の男性が16歳未満の少女2人に対して現金を渡す約束をして性交に及んだ事件です。
少女側の関係者から相談を受けた警察が捜査を始め、携帯の中から男性とのやり取りが見つかりました。
被害女性が16歳未満であり、不同意性交等罪及び児童買春・児童ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕されています。
【参考】16歳未満と知りながら少女2人と性交の疑い 51歳の自称会社員の男を逮捕 少女らのパパ活で知り合ったか 山梨 | TBS NEWS DIG (1ページ)
2.13歳の少女に現金を渡す約束で性交に及んだ事件|児童買春・児童ポルノ禁止法違反
本件は、40代の男性が当時13歳の少女に対して現金を渡す約束で性交に及んだ事件です。
被害女性の母親から相談を受けた警察が、少女のSNSの履歴などから男性を特定しています。
被疑者の男性は否認していますが、警察は児童買春・児童ポルノ禁止法違反の疑いで男性を逮捕しています。
【参考】「娘が性被害にあってるようだ」中学1年の女子生徒に現金渡し、性行為…SNSの履歴などで逮捕の44歳「パパ活で複数の女性と会ったが、覚えてない」 | TBS NEWS DIG (1ページ)
3.SNSで知り合った少女に現金を渡してみだらな行為をした事件|不同意性交等罪など
本件は、SNSで知り合った16歳未満の少女に現金を渡す約束をし、みだらな行為に及んだ事件です。
被疑者は不同意性交等罪の疑いで逮捕された経験があり、今回は別の少女に対する事件で逮捕されています。
被疑者は「少女が16歳未満であることを知りながら面会を要求していた」と判断して逮捕をしたといいます。
【参考】“パパ活”?SNSで知り合った16歳未満の少女に現金払う約束しみだらな行為の疑い 36歳男再逮捕=静岡県警|静岡新聞アットエス
パパ活行為が原因で刑事事件になった場合に生じる5つのデメリット
パパ活行為が刑事事件化した場合のデメリットには、以下のようなものが挙げられます。
- 会社をクビになる可能性がある
- 家族からの信用を失う可能性がある
- 拘禁刑の判決を受ける可能性もある
- 事件が報道されて周囲に知られる可能性がある
- 前科が付いて社会的な影響が生じる可能性がある
ここでは、パパ活に伴い犯罪行為をした場合のデメリットやリスクについて解説します。
1.会社をクビになる可能性がある
不同意わいせつ罪などの容疑で逮捕されると、最長23日間にわたり身柄を拘束されることになります。
通常、逮捕だけでは懲戒解雇になりませんが、長期間の無断欠勤が続けば普通解雇になる可能性があります。
実際に解雇されるかどうかは会社によって異なりますが、クビになるリスクがあることは覚えておきましょう。
2.家族からの信用を失う可能性がある
警察に逮捕された場合は、家族に知られる可能性が高いでしょう。
逮捕だけでも家族からの信用は揺らぎますが、特にパパ活が原因の場合は信用を失うリスクが高まります。
他人との性行為(不貞行為)は離婚事由になるため、配偶者から離婚を切り出されることも考えられます。
3.拘禁刑の判決を受ける可能性もある
パパ活関連の犯罪には、以下のように拘禁刑が設けられているものも多くあります。
- 不同意性交等罪:5年以上の有期拘禁刑
- 不同意わいせつ罪:6ヵ月以上10年以下の拘禁刑
- 児童買春罪:5年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金刑
初犯であっても、犯罪の様態、被害者の年齢、示談の成否などによっては実刑判決になりえます。
執行猶予が付かずに拘禁刑になった場合は、刑期が満了するまで刑務所に服役する必要があるでしょう。
4.事件が報道されて周囲に知られる可能性がある
パパ活で逮捕されると、事件を報道されるリスクが生じます。
「そもそも報道されるか」「報道される場合に実名が公表されるか」などに関する明確な基準はありません。
しかし、パパ活のような社会的に関心が高いトピックの場合は、報道されるリスクは高いと言えるでしょう。
実名報道をされると、家族・親戚・職場・近所の人などに事件を知られてしまう可能性が高まります。
5.前科が付いて社会的な影響が生じる可能性がある
パパ活関連の犯罪を起こして有罪判決となった場合は、前科が付くことになります。
前科が付くと、就職・転職で不利になったり、一定期間資格を停止させられたりすることがあります。
また、再犯で逮捕・起訴された場合、初犯のときよりも重い刑事処分を下されることも考えられます。
前科が付くデメリットについては、以下のページで詳しく解説しています。
【関連記事】前科がつくデメリット8つ|前科をつけないためにできること
パパ活で犯罪をした場合の対処法は?弁護士に相談するのが何より重要!
パパ活関連の犯罪を起こした場合は、可能な限り早めに弁護士に相談・依頼をしましょう。
刑事事件を弁護士に相談・依頼する主なメリットには、以下のようなものが挙げられます。
- 被害者や保護者との示談交渉に対応してくれる
- 今後の見通しや方針のアドバイスを受けられる
- 自首についてのアドバイス・サポートを受けられる
- 身柄を拘束されないよう捜査機関に働きかけてくれる
- 不起訴処分や執行猶予付き判決の獲得を目指してくれる など
特に、パパ活関連の犯罪で重要になるのは、被害者やその保護者と示談を成立させることです。
十分反省と謝罪をおこない、示談を成立させることで、身柄拘束や起訴などを防げる可能性が高まります。
加害者本人が被害者と示談をすることは困難なので、刑事事件が得意な弁護士に依頼するとよいでしょう。
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パパ活関連の犯罪には、不同意性交等罪や児童買春・児童ポルノ禁止法違反などがあります。
もしこれらの犯罪に該当する行為をした場合は、できる限り早く弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談・依頼することで、事件化を回避できたり、逮捕や起訴を防げたりする可能性が高まります。
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