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【被害者向け】経済的DVとは?典型的なケースや今すぐ取れる対処法などを解説

監修者
加藤 惇
弁護士
【被害者向け】経済的DVとは?典型的なケースや今すぐ取れる対処法などを解説

生活費を十分に渡されない、勝手に貯金を使われる、働くことを不当に制限されるといった経済的DVは、夫婦生活を送るうえで非常に深刻な問題です。

しかし、経済的DVは明確な定義がない分、判断がしづらく「これってDVなの…?」「こんなことで相談したら変だと思われるかな…」と一人で悩んでしまうケースも少なくありません。

そこでこの記事では、経済的DVの意味や典型的なパターン、被害に遭ったときの具体的な対処法、そして離婚を進める流れまでを整理して解説します。

自分の置かれた状況を客観的に把握し、必要であれば専門家に相談する一歩を踏み出すための参考にしてください。

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経済的DVとは?パートナーを経済的に追い詰める行為のこと

経済的DVとは、配偶者が相手に対して生活費を渡さない、働くことを禁止する、貯金を勝手に使うなど、お金の面で一方的に制限を加える行為をいいます。

このような経済的な支配は、外からは見えにくいものの、被害者の生活や心を深刻に追い詰めるのが特徴です。

DVと聞くと、配偶者からの暴力というと殴る・蹴るといった身体的なものを思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし、法的にも夫婦には互いに協力し扶助する義務があり、その義務を果たさず相手を困窮させる行為は、たとえ暴力や暴言を伴っていなくてもDVとみなされるのです。

経済的DVといえる典型的なパターン3選

経済的DVにはいくつかの典型例があります。

ここでは代表的なケースとして、以下3つを紹介します

  • 生活費を渡してもらえない
  • 無断で貯金を使い込まれる
  • 正当な理由なく働くことを制限される

それぞれのケースについて、詳しく見ていきましょう。

1.生活費を渡してもらえない

生活費を一切渡さない、あるいは明らかに不足する金額しか渡さない行為は、経済的DVの典型です。

本来、夫婦は民法760条によって「婚姻費用の分担義務」を負っており、収入の多い方が少ない方を扶助し、同じ水準の生活を保たなければなりません。

また、夫婦には民法752条「生活保持義務」もあり、相手が自分と同程度の生活ができるようにしなければならず、一方が専業主婦で収入がなくても、相手は必要な生活費を渡す義務があります。

それにもかかわらず、渡さない、あるいは足りない分しか渡さない場合には、貯金を切り崩したり実家を頼ったりせざるを得ず、生活に支障が出て経済的DVに当たります。

2.無断で貯金を使い込まれる

夫婦で築いた共有の預金を、片方が無断で使い込むことも経済的DVに当たります。

家賃や水道光熱費、食費、子どもの教育費などは日常的に必要な支出です。

にもかかわらず、配偶者が事前の了承もなく貯金を引き出して浪費してしまえば、生活に必要なお金が不足し、家計が立ち行かなくなります。

このような理由から、夫婦の共有財産を一方的に使い込む行為は、生活の根幹を揺るがす重大な問題であり、経済的DVと評価されるのです。

3.正当な理由なく働くことを制限される

「お金が足りないのに働くことを禁止される」というケースも、経済的DVの一例です。

例えば「子どもが小さいから外で働くべきではない」と一方的に決めつけたり、「外に出ると自分の管理下から外れるのが嫌だ」といった理由で働くことを認めない場合です。

生活費が不足しているにもかかわらず、正当な代替策も提示せずに就労を妨害する行為は、被害者の経済的自立を奪い、深刻なDVといえます。

経済的DVの被害に遭っている場合に取るべき3つの対処法

経済的DVを受けていると気付いた場合、状況を放置せずに早めの対応が必要です。

ここでは代表的な3つの対処法を紹介します。

  • 別居して配偶者と距離を取る
  • 経済的DVを理由に離婚を切り出す
  • 男女問題・離婚問題が得意な弁護士に相談する

それぞれの対処法について、詳しく見ていきましょう。

1.別居して配偶者と距離を取る

一緒に生活している限り、相手の浪費や借金癖に巻き込まれてしまう危険があります。

その点、別居は相手と家計を切り離して距離を取れるのが大きなメリットです。

もっとも、経済的DVを受けている状態で別居資金を準備するのは簡単ではありません。

その場合は、両親や公的機関、弁護士に相談して突破口を探すことが重要です。

また、別居後は生活費の支払いを請求できる制度もあるので、法的なサポートを活用して生活を安定させましょう。

【関連記事】婚姻費用の請求は弁護士に相談すれば安心!適切な請求の全て

2.経済的DVを理由に離婚を切り出す

夫婦での話し合いや別居を経ても関係改善が見込めない場合には、離婚を検討することが現実的な選択肢となります。

まずは別居と婚姻費用の確保で生活の安定を図り、その後に離婚の手続きを進める流れが一般的です。

離婚を成立させるには夫婦の合意が必要ですが、合意できない場合は裁判所の判断を仰ぐことになります。

この際、経済的DVは民法770条で定められた法定離婚事由である「悪意の遺棄」や「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たる可能性があります。

ただし、経済的DVは身体的DVに比べて証拠が掴みにくいため、証拠の収集と弁護士の支援が不可欠です。

3.男女問題・離婚問題が得意な弁護士に相談する

経済的DVに悩んだときは、早期に弁護士へ相談することが解決への近道です。

弁護士に相談すれば、別居や婚姻費用請求の進め方、離婚協議・調停・訴訟の対応まで一貫してサポートを受けられます

また、弁護士が代理人となることで、加害者との直接交渉を避けられ、精神的な負担も大きく軽減されます。

ベンナビ離婚などのサービスを利用すれば、自分の状況に合った弁護士を探すことができ、安心して次の一歩を踏み出せるでしょう。

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経済的DVを理由に離婚する際の流れ|協議離婚の4ステップ

経済的DVから抜け出すために離婚を選ぶ場合、手続きをどのように進めればよいのかわからず不安を感じる方も多いでしょう。

協議離婚は夫婦が話し合いによって離婚条件を決める方法であり、円満に進めば裁判所を介さずに成立します。

ただし経済的DVが背景にあると、話し合いが難航することも少なくありません。

そこで、協議離婚の基本的な流れを4つのステップに分けて整理します。

  1. 経済的DVに関する客観的証拠を集める
  2. 離婚の意思を伝えて離婚条件を話し合う
  3. 離婚届や離婚協議書などを作成する
  4. 役所に離婚届を提出する

それぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。

1.経済的DVに関する客観的証拠を集める

裁判所に経済的DVの存在を認めてもらうには、事実を裏付ける客観的な証拠が欠かせません。

通帳や家計簿など生活費の入出金を示す資料はもちろん、金銭に関する暴言を録音した音声や、日々の状況を詳細に書き留めた日記も有力な資料となります。

これらを継続的に記録・保存しておくことで、経済的DVによって生活が困難になっていたことを客観的に証明することができます。

2.離婚の意思を伝えて離婚条件を話し合う

経済的DVの証拠をそろえたうえで、まずは配偶者に対して離婚の意思を明確に伝えます。

その際には、財産分与や親権、養育費、年金分割など、離婚後の生活に直結する条件について話し合うことが欠かせません。

夫婦双方が合意できれば、協議離婚として離婚届を役所に提出するだけで離婚は成立します。

難しい場合は離婚調停や離婚訴訟をおこなう

DVをおこなう配偶者が話し合いに応じない、あるいは条件面で折り合いがつかない場合に利用するのが、家庭裁判所での調停です。

調停では調停委員が間に入り、双方の主張を聞きながら合意形成を目指します。

調停でも解決できないときには、離婚訴訟に移行し、最終的に裁判所が離婚の可否や条件を判断します。

3.離婚届や離婚協議書などを作成する

離婚条件に合意できた場合、その内容を文書に残すことが重要です。

離婚協議書を作成し、財産分与や養育費の支払い方法などを明確に記載します。

将来的なトラブルを避けるためには、公証役場で公正証書にしておくと、支払いが滞った際に強制執行が可能になります

あわせて離婚届も作成し、親権者の記載を忘れないよう注意しましょう。

4.役所に離婚届を提出する

最後に、市区町村役場に離婚届を提出します。

本籍地や住所地の役所に届け出れば、受理された時点で法律上の離婚が成立します。

調停や裁判で離婚が決まった場合には、調停調書や判決書とともに提出することが必要です。

受理証明書を取得しておけば、後日の各種手続きにも役立ちます。

さいごに|経済的DVが少しでも疑われる場合は早急に対処しよう

経済的DVは、目に見える暴力のように外から気付かれにくいものですが、被害者の生活や精神を深刻に追い詰める危険な行為です。

「生活費を渡してもらえないのは仕方がない」「貯金を勝手に使われても我慢するしかない」と考えてしまうと、状況は悪化し、やがて生活の維持すら難しくなります。

もし少しでも経済的DVの疑いがあると感じたら、早急に対処することが重要です。

別居による物理的な距離の確保、婚姻費用の請求、そして離婚の検討など、選択肢はいくつもあります。

中でも、弁護士に相談することは、現状を整理し適切な解決策を見出すための大きな一歩です。

経済的DVは決して「我慢すればよい問題」ではなく、法的に認められるDVの一形態です。

早めの行動が、あなた自身と子どもの生活を守り、安心した日常を取り戻すためにつながります。

ひとりで抱え込まず、専門家や支援機関へ相談し、解決に向けて一歩踏み出すことを強く意識してください

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株式会社アシロ編集部
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