- 「離婚したいのに相手が応じてくれない」
- 「離婚してくれないときはどうしたらいいの?」
このような状況に直面し、出口の見えない不安や苛立ちを抱えている方もいるでしょう。
離婚について話し合いができない、相手の気持ちがわからないという行き詰まりは、多くの方が経験する悩みです。
本記事では、配偶者が離婚に応じない理由と心理を整理し、そのうえで取り得る6つの対処法を具体的に紹介します。
さらに、裁判で離婚が成立するための法定離婚事由や、よくある質問への回答も解説します。
離婚を拒否されても諦めずに進める方法や、弁護士に相談すべきタイミングを明確にするために、ぜひ最後まで参考にしてください。
離婚してくれない夫・妻の心理は?
配偶者が離婚を拒む背景にはさまざまな心理があります。
ここでは、相手が離婚してくれない代表的な理由を8つ取り上げて紹介します。
ぜひ自分の状況と照らし合わせながら読み進めてみてください。
離婚しないでいるほうがいろいろと楽だと思っている
離婚を選択すると、離婚届の提出だけでなく、住居や生活費の分担、子どもの進学や親族への説明など、多くの変化や手続きが一度に押し寄せます。
こうした変化を煩わしく感じ、「離婚しないほうが生活が安定していて楽」と考える人も少なくありません。
特に、長年同じ生活環境を保ってきた人や、変化に強い抵抗を持つ人に多く見られる傾向です。
まだあなたとやり直せると思っている
夫婦の一方がすでに夫婦関係を終わらせたいと感じていても、相手は「まだ修復できる」「また以前のように仲良く暮らせる」と信じている場合があります。
過去の思い出や、子どもの存在を理由に「関係は回復可能だ」と考え、離婚を拒むケースです。
特に、離婚を切り出された側が強いショックを受け、現実を受け入れられず期待を抱き続けることがあります。
経済的に不安がある/相手に財産を渡したくないと思っている
専業主婦(夫)やパート収入のみで生活している人は、離婚後の生活基盤が大きく揺らぐため、離婚に強く抵抗する傾向があります。
「生活費をどう工面するか」「仕事に就けるのか」といった具体的な不安があるからこそ、離婚を拒むことがあるのです。
逆に、経済的に優位な側は、財産分与や慰謝料による金銭的負担を避けたいがために離婚を拒否するケースもあります。
離婚後のお金や生活に不安を感じている
「老後の資金は十分か」「離婚して一人で生きていけるのか」といった漠然とした将来への不安も、離婚をためらう理由になります。
特に、長く家庭に入っていた人や高齢の配偶者は、自立して生活を維持できるかどうかに強い不安を抱えがちです。
そのため「不満はあるけれど離婚後の生活のほうがもっと大変かもしれない」と考え、現状維持を選ぶ人もいます。
あなたが離婚したい理由を理解していない
離婚を望む側が「相手は気づいているだろう」と思っていても、その理由が十分に伝わっていないことがあります。
「なぜ離婚したいのかがわからない」と感じている相手は、納得できないため離婚を拒むケースが多いです。
子どもへの悪影響を恐れている
「子どものために家庭を壊すべきではない」と考え、離婚を拒否するケースは多くあります。
転校や生活環境の変化によって、子どもの学習や情緒に影響が出ることを懸念するのは、当然です。
しかし、中には「子どもを理由にしているが、実は自分自身の不安が大きい」という場合もあります。
その場合、理由が本心か建前かを見極めることが必要です。
子どもに会えなくなるのではと不安に思っている
離婚後の親権や面会交流の取り決めにより、「子どもと自由に会えなくなるのでは」と心配する気持ちも離婚を拒む強い動機になります。
親子関係が制限されることをおそれ、何としても離婚を避けようとするのです。
特に子どもに強い愛情を持つ親は、「子どもと会えなくなる」という不安が大きな壁になります。
ほかの男性・女性にあなたを取られるのが悔しい
最後に、感情的な理由として「嫉妬」や「独占欲」が挙げられます。
「不倫相手に自分の配偶者を渡したくない」「裏切られた相手に幸せになってほしくない」といった感情が離婚拒否につながることも少なくありません。
経済面や子どもの問題が解決されても、このような感情が強い場合、離婚の同意を得るのは難しくなります。
夫・妻が離婚してくれないときの対処法6つ
相手が離婚してくれない場合は、以下のような対処を検討しましょう。
- じっくり話し合う時間をつくって離婚したい理由をきちんと伝える
- 離婚条件の譲歩を検討する
- 別居をはじめる
- 相手に離婚原因があるなら証拠を収集する
- 離婚調停や離婚裁判をおこす
- 弁護士に相談・依頼する
それぞれの対処法について、詳しく解説します。
1.じっくり話し合う時間をつくって離婚したい理由をきちんと伝える
まずは冷静に向き合う場を設け、離婚したい理由を整理して伝えます。
感情的な言い争いではなく、事実や気持ちを明確に言語化することが重要です。
相手が理由を理解できていない場合、話し合いで理由をしっかり伝えることで離婚を受け入れてもらえる可能性があります。
2.離婚条件の譲歩を検討する
相手の不安や不満が経済的な問題に起因するなら、財産分与や慰謝料、生活費の一定期間の支援といった条件面で譲歩を検討しましょう。
とくに、専業主婦(夫)や収入が不安定な配偶者にとっては、離婚後の生活資金が最大の懸念です。
そのため、養育費や財産分与の案を具体的に提示すれば、安心感が得られ、離婚の合意につながる可能性があります。
3.別居をはじめる
話し合いで進展がない場合は、別居を検討することも選択肢です。
別居は「夫婦関係の破綻」を示す有力な証拠となり、後の調停や裁判にも有利に働く可能性があります。
ただし、生活費の支払い義務は残るため、無断で家を出ることは避けるべきです。
別居のタイミングについては弁護士と相談しながら決めることをおすすめします。
4.相手に離婚原因があるなら証拠を収集する
離婚の背景に不貞行為やDV、モラハラなどの事情がある場合は、証拠を収集しておきましょう。
具体的には、写真・録音・診断書・日記など客観的に事実を示せるものが有効です。
証拠があれば調停や裁判での説得力が高まります。
ただし、証拠を集めていることが相手にバレると、逆上されたり、さらに暴力などがエスカレートするおそれもあるでしょう。
証拠の集め方に不安がある場合は、事前に弁護士へ相談するのがおすすめです。
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5.離婚調停や離婚裁判をおこす
話し合いや別居を経ても離婚の合意が得られない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てます。
調停は、第三者である調停委員が夫婦の間に入り、双方の主張を聞きながら合意を目指す手続きです。
当事者同士が顔を合わせることはなく、中立な立場で調停委員が話し合いを進めてくれるので、スムーズな解決を望めます。
ただし、調停が不成立となった場合は、離婚裁判へ移行することとなります。
離婚裁判では、裁判官が客観的な視点から離婚を認められるかどうかを判断し、最終的な判決が下されます。
なお、裁判で離婚を成立させるために必要な「法定離婚事由」については、「相手が応じなくても裁判で離婚を成立させられる5つの『法定離婚事由』」で詳しく説明します。
6.弁護士に相談・依頼する
相手が離婚してくれないときは、専門家に相談することで今後の見通しや方針についてアドバイスをもらえます。
弁護士はこれまでの事例や法律知識を踏まえて、離婚を進めるための現実的な選択肢を示すことが可能です。
また、正式に依頼すれば、交渉の代理や証拠収集、調停・裁判での対応まで任せられるため、自分ひとりで抱え込まずに済むのもメリットです。
さらに、相手との直接のやり取りを避けられることで精神的な負担が大きく軽減され、冷静に次の一手を考える余裕が生まれます。
離婚問題に直面しているときこそ、早い段階で専門家の力を借りることが解決への近道になります。
相手が応じなくても裁判で離婚を成立させられる5つの「法定離婚事由」
協議や調停で合意が得られない場合でも、裁判で離婚が認められるケースがあります。
しかし、裁判で離婚が認められるには、民法770条に定められた「法定離婚事由」のいずれかに該当しなければなりません。
(裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
引用元:民法|e-GOV 法令検索
ここからは、それぞれの法定離婚事由について、詳しく解説します。
1.不貞行為|自由な意思にもとづいてほかの異性と性的関係を持った
最も典型的な離婚理由は不貞行為、いわゆる不倫です。
配偶者以外の異性と自由な意思で肉体関係を持つことは、婚姻の基本である貞操義務に反します。
証拠としては、写真・メール・SNSのやり取りや、探偵調査報告書などが有効です。
2.悪意の遺棄|正当な理由なしに夫婦による同居・協力・扶助の義務を放棄した
夫婦には、同居し協力し合い、互いを扶助する義務があります。
しかし、生活費を渡さずに一方的に家を出て行ったり、長期間無断で別居したりする行為は、この義務に反するため「悪意の遺棄」とされます。
例えば、正当な理由もなく収入を家庭に入れず、配偶者や子どもを経済的に困窮させるケースが典型例です。
こうした行為は婚姻関係を一方的に放棄したとみなされるため、裁判において離婚事由として認められる可能性が高いでしょう。
3.相手が生死不明の状態が3年以上継続している
配偶者の生死が3年以上にわたって確認できない場合も、離婚が認められる法定事由のひとつです。
例えば、災害や事故で行方不明となり、その後も生存が確認できないときなどが該当します。
日常的な連絡が取れず、居場所も不明で生活の実態がない状態が続けば、法律上は婚姻関係を維持できないと判断されるのです。
この場合、裁判で離婚を申し立てることが可能となり、長期失踪の事実を証明することで離婚が成立する余地が生まれます。
4.相手が強度の精神病にかかり回復の見込みがない
配偶者が統合失調症や重度のうつ病など強度の精神病にかかり、医学的に回復の見込みがない場合も法定離婚事由にあたります。
病気によって夫婦としての協力や扶助の義務を果たせず、生活の継続が困難と判断されるためです。
ただし、裁判所は強度の精神病による離婚を慎重に扱います。
離婚後も療養や生活の手段が確保されているかを考慮し、支援体制が整っていない場合には請求が退けられることもあることを覚えておきましょう。
つまり、この事由で離婚を成立させるには、相手の生活保障をどう確保するかが重要なポイントとなります。
なお、「相手が強度の精神病にかかり回復の見込みがない」という法定離婚事由は、2024年の民法改正によって条文から削除されることが決まっています。
そのため、今後は強度の精神病であることそのものが離婚理由として認められる可能性は低く、次で紹介する「そのほか婚姻を継続できないといえる重大な事由がある」という点で離婚を目指すことになるでしょう。
5.そのほか婚姻を継続できないといえる重大な事由がある
DV、モラハラ、長期間の別居、浪費や借金の繰り返し、宗教活動をめぐる対立など、夫婦関係の継続が著しく困難といえる事情がある場合、離婚が認められる可能性があります。
これらは一つひとつでは離婚事由とならないこともありますが、複合的に積み重なることで「婚姻関係が事実上破綻している」と判断されるケースがあるのです。
ただし、この事由での離婚成立が認められるかは裁判官の裁量による部分が大きく、証拠や経緯の積み上げが欠かせません。
日記・録音・診断書・借金の明細など、婚姻継続が困難であることを客観的に示す資料を残すことが、離婚成立への大きな一歩になります。
夫・妻が離婚してくれない場合によくある質問
最後に、配偶者が離婚してくれないときによくある質問とその回答を紹介します。
実際の対応を考えるうえでの参考にしてください。
別居しているのに離婚してくれない場合はどうすればいいですか?
相手が離婚に応じない場合、仮に別居していても協議離婚は成立しません。
そのため、調停・審判を経て離婚を目指すことになります。
別居しているのに離婚してくれないときにしてはいけないNG行為はありますか?
離婚してくれないからといって、以下のような行為は絶対にしてはいけません。
- 不貞行為:別居中でも法律上は婚姻関係が続いています。そのため、不倫関係を持つと自らが有責配偶者となり、裁判で離婚請求が認められにくくなります。
- 婚姻費用を支払わないこと:収入がある側には、別居中であっても配偶者や子どもの生活費を分担する義務があります。支払いを止めると「悪意の遺棄」と判断されるおそれがあり、不利に働きます。
この2つを避けることで、裁判での立場を守りつつ手続きを進めることができます。
相手が調停や裁判に応じない場合はどうなりますか?
相手が調停に出席しなければ、調停は不成立となり、その後は離婚裁判に進むことが可能です。
裁判になれば、相手が出廷しなくても手続きは進行します。
こちらが法定離婚事由を証明できれば、相手が欠席していても判決によって離婚が認められる可能性があります。
不貞行為など自分に責任がある場合でも離婚はできますか?
原則として、不倫や暴力など離婚原因を作った側からの離婚請求は認められません。
ただし例外的に、①長期間の別居が続いている、②未成熟の子がいない、③相手が離婚後に極端に困窮しない、といった条件を満たす場合には離婚が認められる可能性があります。
さいごに|相手が離婚してくれないときは弁護士に相談を!
離婚を望んでいても、相手が拒み続ける状況は精神的な負担が大きく、先が見えない不安に押しつぶされそうになることもあります。
自分一人で抱え込んでいると、感情的にぶつかってしまったり、誤った対応を取って不利な立場に立たされるおそれもあります。
そんなときこそ、弁護士に相談することが解決への近道です。
弁護士は法律や判例に基づいて現実的な見通しを示し、調停や裁判に進むべきタイミングや必要な証拠の集め方を具体的にアドバイスしてくれます。
代理人として交渉を任せられるため、直接やり取りを避けられ、心身の負担も大幅に軽減できます。
迷ったら早い段階で専門家に相談し、自分にとって最適な進め方を確認しておくことが重要です。
