パートナーの不倫が原因で離婚を考えているなら、配偶者と浮気相手に対して慰謝料を請求できる場合があります。
また、夫婦間に子どもがいて、あなたが親権を取得するつもりなら、相手方から一定額の養育費を受け取ることも可能です。
このように、離婚に至った経緯や家庭の状況次第では、離婚時にさまざまなお金に関する取り決めをする必要があります。
しかし、夫婦だけで慰謝料や養育費について話し合いをしても、相場とかけ離れた離婚条件を強いられるリスクが生じかねません。
また、離婚に至った流れ次第では、夫婦間での話し合いさえ難しいというケースも少なくないでしょう。
そこで本記事では、離婚時に請求できる慰謝料や養育費の内容、必要な証拠の種類、慰謝料や養育費について決める流れ、離婚トラブルを弁護士に相談・依頼するメリットなどについて、わかりやすく解説します。
離婚手続きにおける慰謝料と養育費に関する基本ポイント
まずは、離婚における慰謝料と養育費の内容や、どのようなときに請求できるかについて解説します。
1.慰謝料|相手が不法行為をしていた場合に請求できる
慰謝料とは、相手方の不法行為によって被った精神的損害・精神的苦痛に対する金銭賠償のことです。
離婚の際にパートナーに対して慰謝料を請求できる具体例として、以下のものが挙げられます。
- 不貞行為
- DV
- モラハラ
- 悪意の遺棄
- 正当な理由がないのに性交渉を拒否すること
- ギャンブル依存症やアルコール依存症などによる婚姻関係の破綻 など
しかし、慰謝料請求をする際には、不法行為によって損害を受けた側(慰謝料を請求する側)が、不法行為があった事実を客観的証拠などを使って立証しなければいけません。
そのため、離婚の際に相手に慰謝料を請求したいなら、できるだけ早い段階から証拠を集めておくことが大切です。
2.養育費|自分が親権者(監護権者)になった場合に請求できる
養育費とは、子どもの監護・教育のために必要な費用のことで、離婚後に子どもを監護する親が、他方の親から受け取れます。
離婚によって親権者ではなくなったとしても、子どもの親であることに変わりはありません。
そのため、「面会交流できないなら養育費は支払わない」「養育費を支払うから子どもを引き取らせろ」などの主張は認められないのが通常です。
なお、養育費には子どもが経済的・社会的に自立するまでに要する費用が含まれます。
たとえば、衣食住に必要な経費、教育費、医療費などが代表的です。
また、養育費の金額や支払い期限などの諸条件については、父母それぞれの収入や子どもの進路などの事情を総合的に考慮して決定されます。
養育費は子どもの将来を左右する重要な離婚条件なので、離婚の際には、父母間でしっかりと養育費について話し合いをしてください。
離婚手続きにおける慰謝料と養育費を請求する際のポイント4つ
離婚手続きのなかで慰謝料・養育費を請求するときのポイントを4つ紹介します。
- 慰謝料も養育費も、基本的な相場は決まっている
- 慰謝料・養育費は、離婚時・離婚後のどちらでも請求できる
- 慰謝料または養育費だけを請求することもできる
- 話し合いでまとまらないときには、調停や裁判を利用して決定できる
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
1.慰謝料も養育費も、基本的な相場は決まっている
大前提として、慰謝料と養育費の金額は、父母間での合意があれば、どのような金額・条件でも設定することが可能です。
しかし、父母間の話し合いで慰謝料・養育費の諸条件について合意に至らない場合には、調停や訴訟で金額などについて争う必要があります。
そして、調停や訴訟の際は、基本的な相場に基づいて金額などが算定されることがあります。
たとえば、養育費の目安になるのは、裁判所が公表している「養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究」です。
養育費算定表では、子どもの人数・年齢、非監護親と監護親それぞれの年収によって、毎月の養育費の金額が決定されます。
また、慰謝料については、パートナーの有責事由ごとに以下の慰謝料相場が目安とされています。
- 不倫:50万円〜300万円
- DV:50万円〜500万円
- モラハラ:50万円〜300万円
- 悪意の遺棄:50万円〜300万円
- その他:50万円〜200万円
ただし、慰謝料の金額は、不法行為の具体的な内容、悪質さ、回数などの諸条件が考慮されるので、必ずしも相場通りになるとは限りません。
2.慰謝料・養育費は、離婚時・離婚後のどちらでも請求できる
慰謝料や養育費の金額は、離婚手続きを進めている段階で決めるのがおすすめです。
離婚が成立するまでに慰謝料や養育費を含む全ての離婚条件についての取り決めが終わっていれば、気持ちよく新生活をスタートできるでしょう。
しかし、DVなどから逃れるために離婚成立を最優先にしなければいけないケースや、細かい知識について深く調べることなくとりあえず離婚届を提出してしまったというケースも少なくはありません。
このようなケースでは、離婚が成立したあとに、元配偶者に対して養育費や慰謝料を請求することも可能です。
ただし、養育費や慰謝料を請求するタイミングが遅れると、本来もらえたはずの金額を受け取ることができなくなるリスクが生じます。
たとえば、養育費は毎月の支払い日から5年で消滅時効が完成します。
特別な事情があって養育費の支払いを請求できることを知らなかったとしても10年が経過した時点で消滅時効にかかってしまうため、それ以降は養育費を請求できません。
また、離婚時に養育費について取り決めをしていなかったとしても、離婚が成立してから養育費を請求するまでの過去の期間分については、遡って受け取れないのが実情です。
たとえば、離婚が成立してから3年が経過して初めて養育費についての取り決めをした場合、取り決め後の養育費は請求できますが、過去3年分の養育費については受け取れない可能性が高いでしょう。
さらに、慰謝料についても、以下の消滅時効期間が定められている点に注意が必要です。
【離婚慰謝料の消滅時効】
- 離婚が成立した日から3年間
【不倫慰謝料の消滅時効】
- 不倫の事実と浮気相手を知ったときから3年間
- 不倫から20年間
以上を踏まえると、適切な慰謝料や養育費を受け取るには、離婚手続き中、もしくは離婚成立後速やかに請求するべきだと考えられます。
3.慰謝料または養育費だけを請求することもできる
慰謝料や養育費についての取り決めは、父母間で自由に決定できます。
たとえば、以下のような取り決めも可能です。
- 養育費を受け取る代わりに、慰謝料請求はしない
- 養育費の金額を慰謝料額に反映したうえで養育費は一切受け取らない
ただし、養育費と慰謝料は本来、別のお金として考えられる点に注意が必要です。
慰謝料は、配偶者の不法行為によって受けた精神的苦痛に対する賠償金である一方、養育費は子どもの生活や教育を支えるために支払われる費用です。
そのため、「慰謝料を多めに支払う代わりに養育費は支払わない」といった取り決めをしてしまうと、あとからトラブルに発展する可能性があります。
特に、養育費は子どもの利益に関わる重要なお金なので、父母間の感情だけで安易に放棄したり、極端に低い金額で合意したりするのは避けるべきでしょう。
離婚後に「やはり養育費が足りない」「取り決め内容が不公平だった」と後悔しないためにも、慰謝料と養育費は分けて整理したうえで、適切な条件を検討することが大切です。
4.話し合いでまとまらないときには、調停や裁判を利用して決定できる
慰謝料や養育費の金額や諸条件を決めるときには、当事者間での話し合いをするのが一般的です。
しかし、夫婦間の協議だけで慰謝料や養育費などの離婚条件について合意に至るとは限りません。
この場合には、離婚調停や離婚裁判、通常の民事訴訟などの裁判所の手続きを利用する必要があります。
調停とは、家庭裁判所の裁判官と調停委員で構成される調停委員会が紛争当事者を仲介して、双方が合意形成に至るサポートをする裁判所の手続きのことです。
当事者から意見を聴取したり証拠書類を確認したりするなどして、紛争当事者が合意できるポイントを探ってくれます。
一方、民事訴訟は口頭弁論期日に提出された証拠や証言を前提に、裁判官が判決という形で解決を目指す裁判所の手続きのことです。
協議が成立せず、調停や裁判に移行すると、離婚トラブルが解決するまでに年単位の期間を要しかねません。
慰謝料や養育費について揉めることなくスピーディーな解決を目指すなら、協議段階から弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。
離婚手続きで慰謝料や養育費の請求を弁護士に依頼するメリット
ここからは、離婚手続きで慰謝料や養育費の請求を弁護士に依頼するメリットを4つ紹介します。
1.証拠集めのアドバイスを受けられる
慰謝料や養育費を請求するには、請求する側が証拠を用意しなければいけません。
弁護士に相談・依頼すれば、慰謝料や養育費の請求を根拠づける証拠の内容や収集方法について的確なアドバイスをくれるでしょう。
なお、慰謝料請求や養育費請求の際に役立つ証拠として、以下のものが挙げられます。
| 慰謝料請求に必要な証拠 | ・肉体関係があったことを示すメールやSNSのDM ・肉体関係を示す写真や動画 ・ホテルに出入りするところを撮影した写真や動画 ・不倫を認めた発言の録音データ ・クレジットカードの利用明細 ・カーナビの履歴 ・興信所の調査結果 など |
|---|---|
| 養育費請求に必要な証拠 | ・源泉徴収票 ・確定申告書の控え ・課税証明書 ・給与明細 ・家計簿 など |
2.適切な額の慰謝料や養育費を受け取れる可能性が高まる
弁護士に相談・依頼することで、適切な額の慰謝料や養育費を受け取れる可能性が高まる点も大きなメリットです。
慰謝料や養育費の金額は、基本的に相手方との話し合いによって決まります。
しかし、法的な知識がないまま交渉を進めてしまうと、相手方から提示された金額を「妥当な金額なのだろう」と思い込み、本来よりも低い条件で合意してしまうケースも少なくありません。
その点、離婚問題に詳しい弁護士であれば、夫婦の状況や過去の裁判例などを踏まえながら、適切な慰謝料額や養育費額を判断したうえで交渉を進めてくれるでしょう。
3.配偶者との交渉や裁判手続きを任せられる
離婚時に養育費や慰謝料について取り決めをする際には、相手方とのやりとりが必要です。
しかし、離婚トラブルが生じている状況だと、相手方と顔も合わせたくなかったり、感情的になって建設的な話し合いが難しかったりするケースが多いです。
また、離婚調停や民事訴訟に発展すると、期日への出席や証拠の準備などに対応しなければいけません。
その点、離婚問題の経験豊富な弁護士に依頼をすれば、相手方との協議や調停・民事訴訟などへの対応をすべて代理してくれるので、依頼者自身は自分の生活や仕事に専念できるでしょう。
4.将来の法律トラブルに備えられる
離婚時に慰謝料や養育費について取り決めをしたとしても、相手方が約束を履行してくれるとは限りません。
実際、最初は約束通りに養育費を支払ってくれていたものの、離婚後しばらくすると支払いが滞ったり、急に連絡が取れなくなって一切養育費を受け取ることができなくなったりするケースは少なくありません。
その点、離婚問題に力を入れている弁護士に依頼をすれば、将来的に法的措置に踏み出しやすいように公正証書の形式で離婚協議書を作成するなどして、未払いトラブルが発生しにくい状況を作り出してくれるでしょう。
さいごに|離婚問題が得意な弁護士は「ベンナビ離婚」で効率よく探せる!
離婚をするときには、慰謝料や養育費など、お金に関するさまざまな取り決めをする必要があります。
しかし、離婚実務に詳しくない素人だけで離婚手続きを進めてしまうと、相場よりも低い金額のお金しか受け取れなくなったり、そもそも請求するのを忘れて離婚後の家計が苦しくなってしまったりしかねません。
そのため、これから離婚を考えているのなら、できるだけ早いタイミングで離婚問題に力を入れている弁護士に相談をして、離婚時に決めるべき離婚条件をリストアップしてもらうなどのサポートを受けるべきでしょう。
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