- 「養育費はいくらが相場なのだろう?」
- 「自分の場合はいくらになるのか知りたい」
このように悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
養育費は一律の金額が決まっているわけではなく、親の年収や子どもの人数・年齢によって大きく変わるため、正しい目安を知らないと適切な金額を判断するのは難しいのが実情です。
そこで本記事では、養育費の相場を「統計データ」「裁判所の算定表」「シミュレーション」の3つの視点からわかりやすく解説します。
自分のケースに当てはめて具体的な金額をイメージできるようになるので、ぜひ参考にしてください。
養育費の相場はどのくらい?|子どもの数別でみる
現状、ひとり親世帯ではいくらの養育費を受け取っているのでしょうか。
「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」によると、1世帯当たりの養育費平均額は以下のとおりです。
| 平均 | 子ども1人 | 子ども2人 | 子ども3人 | 子ども4人 | 子ども5人 | 不詳 | |
| 母子世帯 | 50,485 円 | 40,468 円 | 57,954 円 | 87,300 円 | 70,503 円 | 54,191 円 | 39,062 円 |
| 父子世帯 | 26,992 円 | 22,857 円 | 28,777 円 | 37,161 円 | -※ | -※ | 10,000 円 |
※統計対象の世帯がない
【参考】令和3年度全国ひとり親世帯等調査
子どもの人数が増えるほど養育費の相場額は上がりますが、平均額は母子世帯で50,485円/月、父子世帯で26,992 円/月です。
養育費を決める要素のひとつに、両親の収入があります。
一般的に父親の収入が母親に比べて高いケースが多いため、母子世帯に支払われる養育費の方が高額になるといえるでしょう。
養育費を受け取っていないひとり親も多い
実は、養育費を受け取れていないひとり親は少なくありません。
調査によると、母子世帯の56.9%、父子世帯の85.9%が「これまで一度も養育費を受け取っていない」とされています。
本来、養育費の支払いは親としての義務ですが、現実には継続的に支払われていないケースが多いのが実情です。
特に父子世帯では、養育費が支払われているケースのほうが少ない傾向にあります。
さらに、そもそも養育費の取り決め自体をしていない家庭も多く、母子世帯の51.2%、父子世帯の69.0%が未取り決めとなっています。
では、なぜ本来受け取れるはずの養育費について、取り決めをせずに離婚してしまうのでしょうか。
母子世帯において、養育費の取り決めをしていない主な理由は以下のとおりです。
- 相手と関わりたくない:8%
- 相手に支払う意思がないと思った:5%
- 相手に支払う能力がないと思った:8%
養育費は、一般的に子どもが自立するまで(20歳までや大学卒業までなど)長期間にわたって支払われます。
そのため、離婚時に子どもが幼い場合、元配偶者と長く関係が続くことに心理的な負担を感じ、「あえて取り決めをしない」という選択をするケースもあると考えられます。
取り決めがなくても養育費を請求できる「法定養育費制度」とは?
養育費は法律上、子どもの生活を支えるために親が負担すべき費用であり、離婚の有無に関わらず発生する義務です。
しかし、実際には養育費を受け取れておらず、取り決めすらしていない家庭も多いことがわかりました。
ここで押さえておきたいのが2026年4月1日から導入された「法定養育費制度」です。
法定養育費は、離婚後に子どもを主に監護している親が請求できるもので、金額は子ども1人あたり月額2万円です。
ただし、この金額はあくまでも一律の暫定額であり、家庭ごとの収入差や子どもの年齢、教育費などの個別事情までは反映されません。
そのため、「月2万円が養育費の相場」という意味ではなく、正式な取り決めが整うまでの補充的な制度として理解しておくことが大切です。
なお、法定養育費を利用できるのは、原則として制度施行後である2026年4月1日以降に離婚したケースです。施行前に離婚している場合は、この制度に基づく請求はできません。
離婚後の生活を少しでも安定させるためにも、「取り決めができなければ法定養育費がある」と知っておく一方で、できる限り算定表などをもとに正式な養育費の取り決めまで進めることが重要といえるでしょう。
より詳しい養育費相場は「養育費算定表」が参考になる
ご自身のケースで養育費がいくらもらえるのかを知りたいなら、「養育費算定表」が参考になります。
養育費算定表とは裁判所が公表している養育費の目安を計算できる表です。
子どもの人数や親の収入などから、各家庭に応じた月額養育費の目安を算定できます。
ここからは、養育費算定表の見方について、ステップごとに具体的に解説しましょう。
1.裁判所のホームページから算定表をダウンロード
まずは裁判所のホームページから、養育費算定表をダウンロードします。
子どもの人数と年齢ごとに表がわかれているので、ご自身のケースに該当するものを探して確認しましょう。
2.算定表にて養育費の金額を確認する
該当の表が見つかったら、養育費の金額を確認します。
たとえば以下は、「0歳~14歳の子どもが1人いるケース」の表です。
縦軸が養育費を支払う側の年収、横軸が養育費を受け取る側の年収となっています。
支払う側の年収と受け取る側の年収の、縦軸と横軸が交わる部分の金額が、月額養育費の目安です。

たとえば、支払う側の年収(給与)が500万円、受け取る側の年収(給与)が200万円、5歳の子どもがひとりいる場合で見てみましょう。

この場合、縦軸と横軸が交わる部分に記載してある4万円~6万円が、月額養育費の目安です。
なお、養育費算定表に記載された金額は、あくまで目安である点に注意しましょう。
実際の養育費額は家庭ごとの事情によって異なるため、離婚手続きの中で調整がおこなわれます。
具体的には、以下のような事情が反映されることを覚えておきましょう。
- 私立学校へ通っており、通常より教育費が高額である
- 子どもに持病があり、継続的に医療費がかかる
- 養育費を支払う側の収入が多い など
【参考】裁判所|平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について
養育費の自動計算機を使えば簡単にシミュレーションが可能
養育費算定表を確認するのが手間だという場合は、自動計算機を使いましょう。
自動計算機を使えば、養育費を簡単にシミュレーションできます。

自動計算機で養育費を算定するステップは、以下のとおりです。
- 養育費をもらう側の年収を入力し、収入の種類を選択します。
- 次に、0歳~14歳の子どもの人数及び、15歳~19歳の子どもの人数を選択します。
- そして、養育費を支払う側の年収を入力し、収入の種類を選択します。
- 最後に、お住まいの地域を選択します。
この4ステップで、養育費の目安を計算できます。
また、自動計算機を使えば、養育費の目安がわかるだけでなく、お住まいの地域で離婚問題が得意な弁護士の検索結果も表示されます。
弁護士への相談を検討しているなら、ぜひ利用を検討してみてください。
養育費の自動計算機 – 養育費いくら請求できる?|ベンナビ離婚
養育費の決め方|話し合いで決まらない場合は法的な手続きへ
では養育費を決める際、具体的にどのようなステップで手続きを進めたらよいのでしょうか。
ここからは、養育費の決め方の流れを解説します。
1.まずは夫婦で話し合う
まずは夫婦で、養育費について話し合いましょう。
お互いの収入を確認し、以下の内容について取り決めをおこないます。
- 具体的な養育費額
- 支払日
- 支払い方法や振込口座
- 支払う期間
なお、決まった内容は口約束だけでなく、合意書や公正証書を作成して記録として残しておきましょう。
離婚時の子どもの年齢にもよりますが、養育費は長期間に及んで支払われるものです。
途中で支払いがなくなったなどのトラブルを防ぐためにも、強制執行認諾文言付きの公正証書を作成するのがおすすめです。
強制執行認諾文言付きの公正証書があれば、万が一不払いになった場合に強制執行が可能です。
公正証書を作成したいなら、弁護士へ相談しましょう。
【関連記事】公正証書は作成すべき?作成費用や流れ、どこで作るのかなど分かりやすく解説
2.話し合いで合意できない場合は調停を申し立てる
当事者の話し合いで合意できなければ、調停を申し立てましょう。
離婚前であれば、管轄の家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。離婚調停では養育費だけでなく、別居中の婚姻費用や財産分与などの離婚条件全般について取り決めをおこないます。
また、既に離婚している場合は、養育費請求調停を申し立てましょう。
調停では、当事者の間に調停委員が入り話し合いを進めます。直接相手と話し合うわけではないので、冷静になれるはずです。
調停の申し立てや裁判所とのやり取り、期日での対応に不安があるなら、早めに弁護士へ相談しましょう。
3.調停でも合意できなければ審判へ移行する
調停でも合意できず調停不成立となったら、自動的に審判へ移行します。なお、離婚そのものを争う離婚調停が不成立になった場合は、別途、離婚裁判を提起する流れになります。
審判では原告・被告双方から提出された書面や証拠を元に、裁判官が当事者の収入資料や子どもの状況などを踏まえて養育費額を判断します。
ただし、審判は解決までの期間が長いうえに、手続きも複雑です。話がこじれる可能性がある場合は、話し合いや調停の段階で弁護士へ依頼したほうがよいでしょう。
養育費が相場より高額になるケースの例とは?
養育費算定表は、あくまで目安となる金額です。実際に支払われる養育費は、各家庭の状況によって変わるケースもあります。
たとえば子どもが私立の学校に通っており、養育費を支払う側も私立への入学を認めていたなどの場合は、教育費がかかる分養育費も高額になるといえます。
子どもが塾や習い事に通い、教育費がかさむ場合も同様です。
また、教育費だけでなく、子どもが病気を抱えており継続的に治療費がかかるケースでも、養育費は高額になるといえるでしょう。
養育費はあとから増額・減額されることはある?
一度取り決めた養育費は、その後の夫婦の事情で増額・減額される可能性があります。
基本的には当事者の合意があれば、たとえ裁判で決まった養育費だとしても金額の変更が可能です。
ではどのようなケースだと、養育費の増減額がおこなわれるのでしょうか。解説します。
あとから養育費の増額が認められやすいケース
あとから養育費の増額が認められやすいケースは、以下のとおりです。
- 子どもの教育費が増加した場合
子どもが私立の学校に進学した、習い事を始めたなど、教育費が増加した場合は養育費の増額が認められる可能性があります。 - 子どもの病気やケガで医療費がかさんだ場合
離婚後に子どもの発達障害が発覚した、交通事故に遭ったなど、予想外の出来事で医療費がかさんだ場合は養育費の増額が認められる可能性があります。 - 支払う側の収入の増加や、受け取る側の収入が減少した場合
当初想定していたより親の収入が上がった場合や、予想外のリストラなどで養育費を受け取る側の収入が減少した場合は、養育費の増額が認められる可能性があります。 - 物価上昇など
離婚時から大幅に物価が上昇し、当初の養育費だけでは子どもとの生活を維持できなくなった場合は、養育費の増額が認められる可能性があります。
あとから養育費の減額が認められやすいケース
あとから養育費の減額が認められやすいケースは、以下のとおりです。
- 支払う側の経済状況が悪化した場合
養育費を支払う側が、体調不良で仕事を続けられなくなった、リストラされた、定年退職したなど、経済状況が悪化した場合は、養育費の減額が認められる可能性があります。 - 支払う側や受け取る側が再婚した場合
養育費を支払う側が再婚し、再婚相手との間に子どもがいる場合は、養育費の減額が認められる可能性があります。支払う側が、再婚相手の子供と養子縁組をした場合は、再婚相手との子どもに対する扶養義務が発生するからです。同様に、養育費を受け取る側が再婚し、再婚相手と子どもが養子縁組した場合も、養育費の減額が認められる可能性があります。
養育費について弁護士に相談・依頼するメリット
養育費は、健やかな子どもの成長には欠かせないお金です。
相手にきちんと請求するためにも、弁護士への相談がおすすめです。
ここからは、養育費について弁護士に相談・依頼するメリットを5つ、解説します。
ケースにあわせた養育費の適正額がわかる
1つ目のメリットは、ケースにあわせた養育費の適正額がわかることです。
家庭裁判所の養育費算定表は、あくまで目安となる金額です。子どもの状況や今後の教育方針などによって、金額は変わります。
個別の事情を考慮した適正額を算定するのは難しいので、弁護士への相談がおすすめです。
弁護士ならあなたの事情を細かくヒアリングし、過去の事例も考慮しつつ適正額を算定してくれます。
養育費で損をしないためにも、弁護士へ相談しましょう。
養育費をスムーズに決められるようになる
2つ目のメリットは、養育費をスムーズに取り決められるようになることです。
弁護士が間に入ることで、交渉はもちろん、調停や裁判手続きへの移行もスムーズにおこなえるでしょう。
弁護士は、裁判所の手続きにも慣れています。そして調停や裁判になった場合は、法律の専門知識も必要です。
法律の専門家に任せたほうがスムーズですし、安心感もあるはずです。
相手との交渉を弁護士に代わってもらうことも可能
3つ目のメリットは、相手との交渉を弁護士に代わってもらえることです。
離婚を考えている相手と直接話したくない、顔を合わせると言いたいことが言えないなど、悩んでいる方もいるでしょう。弁護士に依頼すれば、相手との交渉を任せられます。
自分では言いにくい内容も、弁護士が法的根拠に基づいて冷静に話し合いを進めてくれるので、希望に沿った養育費を取り決められる可能性も高まります。
相手との交渉に不安があるなら、弁護士に依頼しましょう。
未払いが発生しにくいように対処してくれる
4つ目のメリットは、未払いが発生しにくいように対処してくれることです。
養育費の取り決めをしていても、時間の経過とともに未払いとなる可能性もあります。
万が一未払いが発生したときに備え、事前に対処しておくことが重要です。
弁護士に相談すれば、養育費の未払い時に強制執行できるよう、強制執行認諾文言付きの公正証書の作成を進めるなど、適切な方法で手続きを進めてくれます。
そしてもし未払いになってしまっても、相手に連絡したり強制執行に移ったりなどの手続きを任せられるので安心です。
精神的な負担を軽減できる
5つ目のメリットは、精神的な負担を軽減できることです。
離婚について当事者で話し合うことに、ストレスや憂鬱さを感じる方も少なくありません。
感情がぶつかり合い、冷静な話し合いが難しいケースもあるでしょう。さらに専門知識がないまま調停や裁判に対応するのは、大きな不安と負担も伴います。
その点、弁護士に依頼すれば、養育費を含む離婚全般について、相手との交渉から裁判手続きまでを一任できます。
直接相手とやり取りする必要がなくなり、複雑な手続きの負担も軽減される点は、大きなメリットといえるでしょう。
さいごに|養育費の悩みはなるべく早く弁護士に相談を!
令和3年度の調査によると、養育費の平均額は母子世帯で50,485円/月、父子世帯で26,992円/月となっています。
養育費は子どもの人数や親の収入などによって変動するため、目安となる具体的な金額を知りたいなら、養育費算定表や養育費自動計算機を使用して算出してみましょう。
ただしこれらで算出される金額は、あくまで目安です。子どもの生活状況や健康状態など、個別の事情を考慮した適正な養育費額が知りたければ、弁護士に相談しましょう。
弁護士に依頼すれば、養育費の適正額の算出はもちろん、相手との交渉や調停、裁判手続きなどを一貫して任せられます。
当事者だけでの話し合いだとうまくまとまらず、余計にこじれる可能性があります。なるべくスムーズに、そして有利に解決するためにも、養育費の悩みは早めに弁護士へ相談しましょう。
