- 「家族間の話し合いが進まない…」
- 「遺言書の内容に納得できない…」など
遺産相続感情では、法的手続きが複雑に絡むトラブルが少なくありません。誰に相談すべきか分からず悩む人も多いのではないでしょうか。
相続トラブルに直面したときは、相続問題に詳しい弁護士を頼るのがおすすめです。
相続問題に強い弁護士に相談すれば、冷静な話し合いのサポートから、調停・訴訟・遺産分割協議の代理まで一貫して対応してもらえます。
本記事では、弁護士に依頼すべきケースや費用相場、具体的なサポート内容、解決事例まで解説しています。
複雑な相続トラブルを防ぎ、公平な解決を目指したい方はぜひ参考にしてください。
遺産相続で弁護士に相談すべき5つのケース
遺産相続の場面では、家族間の意見の食い違いや財産内容の複雑さから、思わぬトラブルに発展することがあります。
状況によっては専門的な判断や交渉力が求められるため、弁護士への相談が早期解決の鍵になります。
以下では、相談を検討すべき5つの代表的なケースを紹介します。
- 相続人同士の話し合いがまとまらない
- 遺言書の内容に不満や疑問がある
- 相続財産に借金や不動産が含まれている
- 遺留分を請求したい/請求されている
- 誰に相談すれば良いか分からず不安を感じている
① 相続人同士の話し合いがまとまらない
相続人同士の話し合いがまとまらない場合は、早めに弁護士へ交渉を依頼することが重要です。民法第907条により、相続人間の協議が不成立の場合は家庭裁判所が遺産分割に関与できることが規定されています。
(遺産の分割の協議又は審判)
第九百七条
2 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。
話し合いが長引くほど、最終的に調停や裁判で決着をつけることになりかねません。
不利な結果を避けるためにも、弁護士に依頼して主張や証拠を法的に整理し、適正な条件で解決を図るのが最善です。
また、相続人同士が直接やり取りを続けると、感情的な衝突から問題がこじれることも少なくありません。
第三者である弁護士が間に入ることで、冷静かつ建設的な協議が実現します。
② 遺言書の内容に不満や疑問がある
遺言書の内容に不満や疑問を感じた場合は、法的な有効性を確認し、どのように対応すべきかを判断するために弁護士への相談が必要です。
民法第960条以下では遺言の方式や効力が細かく定められています。自筆証書遺言では「全文」「日付」「署名」「押印」が必須です。
公正証書遺言の場合は、証人が法律上の要件を満たしているかどうかも確認しなければなりません。
(遺言の方式)
第九百六十条 遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。
引用元:民法|第960条(遺言の方式)
(自筆証書遺言)
第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
引用元:民法|第968条(自筆証書遺言)
また、遺言作成時に本人の判断能力が十分であったかが争点になることもあり、医療記録などの専門的な証拠が必要になるケースもあります。
弁護士に相談すれば、遺言の形式や内容を法的に検証したうえで、遺言無効確認訴訟や遺留分侵害額請求など、適切な手段を選択できます。
③ 相続財産に借金や不動産が含まれている
相続財産に借金や不動産が含まれる場合は、財産の評価や手続きが複雑になるため、弁護士のサポートが重要です。
まずは財産の全体像を正確に把握することが欠かせません。どの財産をどのように引き継ぐかによって、必要な手続きや負担が大きく変わります。
借金がある場合、民法第915条に基づき、相続開始を知った日から3か月以内に「単純承認」「限定承認」「相続放棄」のいずれかを選ばなければなりません。
判断を誤ると、資産より負債が多い状態で相続してしまうおそれがあります。
(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。
ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。
また、不動産が含まれる場合も注意が必要です。
評価額の算定、登記手続き、共有持分の調整、売却時の税金計算など、専門的な判断を要する場面が多くあります。
とくに複数の相続人で共有する場合は、将来の争いを防ぐためにも弁護士のサポートを得ながら遺産分割協議書を作成することが重要です。
【関連記事】
遺産分割協議書とは?ひな形や作成する際の流れ・ポイントについても解説
不動産相続でよくあるトラブル事例9選|解決方法や回避する方法を解説
④ 遺留分を請求したい/請求されている
遺留分を主張するには、民法第1046条で定められた「遺留分侵害額請求権」を行使する必要があります。複雑な計算と交渉を伴うため、弁護士のサポートが不可欠です。
また、民法第1048条では、遺留分侵害額請求権は「相続開始および侵害を知った時から1年以内(または相続開始から10年以内)」に行使しなければならないと定められています。
(遺留分侵害額の請求)
第千四十六条 遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。
(遺留分侵害額請求権の期間の制限)
第千四十八条 遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。
遺留分の算定には、遺産総額の確定、特別受益の持戻し、寄与分の考慮など複数の要素が関係します。
配偶者と子が相続人の場合は遺産の2分の1、直系尊属のみの場合は3分の1が遺留分ですが、実際の侵害額を正確に計算するのは容易ではありません。
特に不動産が含まれる場合は、評価額や代償金の算定など交渉すべき点が多くなるため、早めに弁護士へ相談することが重要です。
【関連記事】遺産分割協議の期限は10年?相続手続きの流れや期限を解説
⑤ 誰に相談すれば良いか分からず不安を感じている
相続問題で「誰に相談すればよいのか分からない」と感じている場合は、最初に弁護士へ相談するのが最も確実です。
司法書士は登記手続きと140万円以下の民事事件、税理士は税務申告に限って代理権が認められています。
一方、弁護士であれば、遺産分割協議・調停・訴訟・遺言書の作成・相続放棄・遺留分請求まで、すべての手続きを一貫して任せられます。
問題が複雑化しても、初動から解決まで同じ担当者が対応できるのは弁護士だけです。
| 対応業務 | 弁護士 | 司法書士 | 税理士 |
| 遺産分割協議 | ◎すべて可 | △書類作成のみ | ×不可 |
| 相続放棄 | ◎可能 | ○可能 | ×不可 |
| 遺留分請求 | ◎可能 | ×不可 | ×不可 |
| 不動産登記 | △提携先紹介 | ◎可能 | ×不可 |
| 相続税申告 | △提携先紹介 | ×不可 | ◎可能 |
また、弁護士は必要に応じて司法書士や税理士と連携し、登記や税務を含めた手続きをワンストップで進めてくれます。
相談先を何度も変える必要がなく、情報の伝達ミスや手続きの遅れも防げるでしょう。
遺産相続に強い弁護士を選ぶ4つのメリット
遺産相続を弁護士に依頼する最大のメリットは、法的リスクを抑えながら手続きを正確に進められる点にあります。
相続問題は感情的な対立や手続きの不備が原因で長期化しやすいため、専門的な知識をもつ弁護士の関与が効果的です。
ここでは、遺産相続に強い弁護士へ依頼することで得られる4つの具体的なメリットを解説します。
- 法律トラブルを未然に防げる
- 感情的対立を避け、冷静な話し合いができる
- 公平な遺産相続を実現できる
- 面倒な手続きや書類作成を任せられる
法律トラブルを未然に防げる
弁護士が関与することで、相続問題が訴訟や調停に発展する前に解決でき、法律トラブルを未然に防げます。
相続財産は、分割が確定するまでは相続人全員の共有財産とされ(民法898条)、1人の判断で処分することはできません(民法第252条)。
(共同相続の効力)
第八百九十八条 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。
(共有物の管理者)
第二百五十二条の二 共有物の管理者は、共有物の管理に関する行為をすることができる。ただし、共有者の全員の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
しかし実際には、特定の相続人が預金を無断で引き出したり、不動産を勝手に売却したりして、のちに争いになることが少なくありません。
弁護士が早期に関与すれば、違法な処分を防ぎ、各相続人の権利関係を明確に整理してくれます。
さらに、遺産分割協議書の作成段階で弁護士がチェックすることで、将来的な紛争や誤解の発生を防止できます。
<弁護士が介入して防げる主なトラブル>
- 相続財産の無断処分や隠匿の防止
- 協議書の不備による争いの回避
- 相続人間の誤解や対立の早期解消
- 法的根拠のない主張の整理
- 税務リスクの事前発見と対応
【関連記事】遺産相続トラブルよくある事例10選|相続でもめないための対策とトラブル対処法
感情的対立を避け、冷静な話し合いができる
相続人同士の関係がこじれている場合は、直接話し合うよりも弁護士を介してやり取りを進める方が円滑です。
当事者が顔を合わせると、過去のわだかまりや感情的な対立が再燃しやすく、問題が長期化するおそれがあります。
弁護士が間に立つことで、法的根拠に基づいた冷静な調整が可能になり、感情に流されない合意形成を実現できます。
特に兄弟姉妹間の相続では、幼少期の不公平感や介護負担の違いなど、金銭以外の感情が絡みがちです。
弁護士が代理人として交渉を担うことで、関係を悪化させることなく、公平で現実的な解決を目指せます。
公平な遺産相続を実現できる
相続に特化した弁護士に依頼すれば、法律上の公平性だけでなく、実際の生活や家族関係にも配慮した分割が実現します。
公平な遺産分割は、民法第903条(特別受益)と第904条の2(寄与分)に基づき、各相続人の貢献度や生前贈与を考慮して調整されます。
親の介護を担っていた相続人の寄与分や、生前に援助を受けた子どもの特別受益を正しく反映することで、納得感のある配分が可能です。
さらに、弁護士に相談することで、財産の漏れや不動産評価の偏りを防ぎ、金銭・感情の両面で不公平感を残さない形にまとめられます。
家族関係をこじらせることなく、公平で納得できる形で相続を終えられるのが大きなメリットです。
【関連記事】特別受益を主張された場合の反論は?相続分を確保するための注意点
面倒な手続きや書類作成を任せられる
弁護士は調停申立書や訴状など複雑な法的文書の作成から、裁判所への出頭まですべて代行できます。
弁護士法第3条により、法律事務の代理と法的文書の作成は弁護士の独占業務として定められています。
遺産分割調停申立書、相続放棄申述書、遺留分侵害額請求の内容証明など、相続に関わる書類は法的要件を満たす必要があり、不備があると受理されません。
弁護士は各書類の要件を熟知しており、確実に受理される書類を作成します。
(弁護士の職務)
第三条 弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。
2 弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。
引用元:弁護士法|第3条(弁護士の職務)
また、家庭裁判所での調停や審判では、平日の日中に何度も出頭する必要がありますが、弁護士に依頼すれば本人の出頭は最小限で済みます。
仕事を休めない方や遠方に住んでいる方にとって、大きな負担軽減となります。
遺産相続に強い弁護士に依頼できるサポート
相続の手続きは内容によって依頼先が異なります。税務申告は税理士、不動産登記は司法書士が担うのが一般的です。
一方で、相続人同士の話し合いがこじれたり、法的な争いに発展した場合は、弁護士しか対応できません。
| 弁護士 | 遺産分割の交渉・調停・訴訟などの紛争対応(独占業務) |
| 税理士 | 相続税申告や節税対策 |
| 司法書士 | 不動産の名義変更・登記手続き |
| 行政書士 | 遺言書作成や死後事務手続き |
相続に強い弁護士なら、他の専門家では扱えない紛争対応まで一貫して任せられます。
ここからは、弁護士に依頼できる具体的なサポート内容を紹介します。
- 遺産分割協議の代理・交渉
- 調停・審判・訴訟の代理
- 遺言書の有効性確認・無効主張
- 遺留分侵害・寄与分・特別受益の請求
- 相続財産の調査・資料収集
遺産分割協議の代理・交渉
相続人同士の話し合いがまとまらないときは、弁護士が代理人として依頼者に代わり交渉を進めます。
司法書士や行政書士は書類の作成までしか対応できませんが、相続人の代わりに意見を伝え、法的に調整できるのは弁護士だけです。
弁護士は、依頼者の想いや希望を丁寧に聞き取り、どのように主張すれば有利に進められるかを整理してくれます。
感情的になりがちな場面でも冷静に対応し、法的根拠をもって説得してくれるため、安心して任せられます。
| サポート内容 | 弁護士の対応 |
| 交渉・調整 | 相続人全員との連絡を調整し、主張を整理します。法的根拠に基づき、公平な交渉を行います。 |
| 財産評価 | 不動産鑑定士や税理士と連携し、資産価値を正確に算定します。 |
| 分割案の作成 | 寄与分・特別受益・税務面を考慮し、最適な分割案を提示します。 |
| 協議書の作成 | 将来の紛争を防ぐため、法的効力を備えた協議書を作成します。 |
弁護士が交渉の中心を担うことで、相続人同士が直接顔を合わせる機会を減らせるため、精神的な負担も軽くなります。
合意内容がまとまった後も、協議書の署名・押印、登記、預金の名義変更などの実務手続きまで一貫して支援してもらえるため、最後まで安心して任せることができます。
【関連記事】相続登記で遺産分割協議書は必要か?判断するために必要な情報を解説!
調停・審判・訴訟の代理
相続問題が調停や訴訟に発展した場合、対応できるのは弁護士だけです。
司法書士や行政書士では、家庭裁判所での交渉や主張の代理は認められていません。
弁護士なら、依頼者に代わって調停委員や裁判官と直接やり取りし、法的根拠に基づいた説得力ある主張を展開できます。
| サポート内容 | 弁護士の対応 |
| 調停手続き | 調停委員との交渉を代理し、合意形成に向けた主張を行います。 |
| 審判手続き | 事実関係と法的論点を整理し、裁判官に対して法的見解を提示します。 |
| 訴訟対応 | 遺留分侵害額請求や遺言無効確認などで、証拠収集と主張立証を行います。 |
| 手続き全般 | 出廷や書類提出などの事務手続きを代理し、依頼者の負担を軽減します。 |
遺留分侵害額請求や遺言無効確認など、判断が分かれる事案では、弁護士の主張構築力と訴訟戦略が結果を大きく左右します。
弁護士に依頼することで、裁判所への出廷や書類作成といった煩雑な手続きをすべて任せられます。
遺言書の有効性確認・無効主張
遺言書の有効性に不安がある場合、弁護士に依頼することで、形式・内容・作成過程のすべてを法的に確認し、問題点を明確にしてもらうことが可能です。
形式上の不備がないか、作成当時に判断能力があったか、第三者の不当な関与がなかったかなど、あらゆる角度から検証してもらえます。
弁護士に依頼すると、次のようなサポートを受けられます。
| サポート内容 | 弁護士の対応 |
| 形式面の確認 | 自筆証書遺言の全文・日付・署名・押印、公正証書遺言の証人資格・作成手続きの適正を確認します。 |
| 実質面の確認 | 作成当時の判断能力や、詐欺・強迫・介入の有無を医療記録・証言などから調査します。 |
| 証拠収集・分析 | 筆跡鑑定や医師の意見書など、立証に必要な証拠の整理・分析をします。 |
| 無効確認訴訟の対応 | 無効が疑われる場合、弁護士が代理人として訴訟を提起し、依頼者の主張を立証します。 |
| 有効な遺言を守るサポート | 無効を主張された場合でも、法的根拠をもって反論し、遺言の効力を守ってくれます。 |
これらのサポートにより、遺言の内容に誤りや不備があった場合でも、法的に正しい判断と適切な手続きで解決へ導いてもらえます。
弁護士に依頼することで、複雑な遺言の有効性確認から訴訟対応まで、すべて安心して任せることができます。
【関連記事】相続欠格とは?欠格となる5つの事由や相続廃除との違いを解説
遺留分侵害・寄与分・特別受益の請求
相続人で「もらいすぎ」「貢献が報われない」といった不公平が生じた場合、弁護士に依頼することで、遺留分侵害額請求・寄与分の主張・特別受益の持戻しなど、正当な取り分を法的に回復してもらえます。
計算や立証が複雑なため、専門知識をもつ弁護士のサポートが不可欠です。
弁護士は、以下のように各請求を支援してくれます。
| サポート内容 | 弁護士の対応 |
| 遺留分侵害額請求 | 遺産総額や債務を精査し、正確な侵害額を算出。期限内に代理で請求・交渉します。 |
| 寄与分の主張 | 介護・家業貢献などの証拠を整理し、寄与分を金額で評価・立証します。 |
| 特別受益の持戻し計算 | 生前贈与や援助の内容を調査し、持戻し対象の範囲を特定します。 |
遺留分侵害・寄与分・特別受益の請求は、法律上の知識だけでなく、金銭評価・証拠収集・交渉力が求められる実務です。
弁護士に依頼すれば、法的根拠に基づいて正確な計算と立証を行い、不公平な相続を是正してもらえます。
【関連記事】特別受益を主張された場合の反論は?相続分を確保するための注意点
相続財産の調査・資料収集
弁護士に依頼すれば、自力では把握しきれない相続財産の全容を、法的な権限を使って正確に調査してもらえます。
弁護士法第23条の2に基づく「弁護士会照会」を利用することで、銀行・証券会社・保険会社などに対し、被相続人名義の資産情報を正式に照会できます。
(報告の請求)
第二十三条の二 弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。
申出があつた場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。
2 弁護士会は、前項の規定による申出に基き、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
| サポート内容 | 弁護士の対応 |
| 金融資産の調査 | 預貯金・株式・投資信託などの名義資産を照会し、残高や取引履歴を確認します。 |
| 生命保険・年金 | 保険金や年金の受給権を調査し、相続財産に含まれるかを判断します。 |
| 不動産の確認 | 登記簿や固定資産台帳を調べ、所在・評価額・持分を明確にします。 |
| 負債の調査 | 借入金や保証債務などの負債情報を調べ、放棄・限定承認の判断材料にします。 |
| 資料収集 | 分割協議や放棄申述に必要な資料を整理・提出します。 |
調査を通じて、資産も負債も含めた本当の相続財産を明らかにできるため、後の分割協議や相続放棄の判断がスムーズに進みます。
【関連記事】相続財産の調べ方|詳しい調査方法や自分でするデメリットを解説
【実例】弁護士が関与した遺産相続トラブルの解決事例
相続では、話し合いがまとまらなかったり、遺産の内容に不満が生じたりと、思わぬトラブルに発展することがあります。
弁護士が介入することで、法律と証拠に基づいた冷静な解決が可能です。
ここでは、実際に弁護士が関与して相続放棄・遺産分割・使途不明金・遺言検認などを解決に導いた事例を紹介します。
事例1)行方不明の相続人に相続放棄してもらえた
弁護士の介入により、行方不明の相続人が見つかり、相続放棄を実現できた事例です。
依頼者の父が亡くなり、自宅不動産や預貯金が遺産として残りましたが、兄が約20年間音信不通で遺産分割が進まない状況でした。
弁護士が住民票をもとに所在を特定し、父の死亡や介護の経緯、遺産の内容を丁寧に説明したうえで相続放棄を提案。
兄がこれを了承し、依頼者は約4,000万円相当の遺産を単独で取得できました。
| トラブル内容 | 行方不明の相続人(兄)がいて遺産分割協議が進まない |
| 弁護士の対応 | 住民票を取得して所在を特定し、書面で相続放棄を提案 |
| 結果 | 兄が放棄に同意し、依頼者が約4,000万円の遺産を単独取得 |
【参考】ベンナビ相続|行方不明の相続人を発見し、相続を放棄してもらった事例
【関連記事】相続人が行方不明者だと遺産分割はどうなる?パターン別に4つの対処法を解説
事例2)実家をめぐる遺産分割を解決してもらえた
弁護士の介入により、実家の売却をめぐる兄弟の対立を換価分割で解決した事例です。
父の死後、長男Aさん(依頼者)は実家を売却して現金で分けたいと希望しましたが、弟Bさんが「思い出の家を手放したくない」と反対して協議が停滞していました。
弁護士が代理人として交渉を引き受け、空き家の維持費や固定資産税などのリスクを丁寧に説明し、不動産査定額(約6,000万円)を提示。冷静な話し合いのもと、最終的に売却して公平に分配(各約3,000万円)する形で合意が成立しました。
| トラブル内容 | 実家の売却をめぐり兄弟間で意見が対立 |
| 弁護士の対応 | 管理・税負担のリスクを説明し、代替案を提示 |
| 結果 | 実家を売却し、兄弟で公平に分配(各3,000万円) |
【参考】ベンナビ相続|実家を売りたくないと主張する相続人と遺産分割協議を成立させた事例
事例3)使途不明金の遺産性が認められた
弁護士の介入により、死亡直前に引き出された預金500万円が遺産として認められた事例です。
母の死後、口座残高が0円になっていたことを不審に思った次男が弁護士に相談しました。
母と同居していた長男が死亡直前に500万円を引き出しており、使途も不明でした。
弁護士が証拠を整理し、家庭裁判所に遺産分割調停を申立てた結果、500万円が遺産と認定され、依頼者はその半額250万円を取得できました。
| トラブル内容 | 同居していた兄が母名義の預金500万円を無断引き出し |
| 弁護士の対応 | 証拠を整理し、遺産分割調停を申立て |
| 結果 | 500万円が遺産と認められ、依頼者が250万円を取得 |
事例4)遺言書の検認で相続財産を獲得できた
弁護士が介入し、複雑な遺言書の検認によって相続財産を確保した事例です。
被相続人のおばを長年面倒見てきた姪が依頼者で、他の相続人(兄弟の孫ら)も権利を主張していました。
遺言書は自筆で残され、検認申立てや戸籍の収集が難航していました。
弁護士が代理で検認申立てを行い、遺言内容を法的に確認。遺留分を持つ相続人がいなかったため、依頼者は遺言どおり全財産を相続できました。
| トラブル内容 | 自筆遺言の検認が必要で、他の相続人も権利を主張 |
| 弁護士の対応 | 検認申立ての代理、戸籍書類の収集と内容の法的確認 |
| 結果 | 遺言の内容どおり依頼者が全財産を相続 |
【参考】ベンナビ相続|遺言書の検認の結果、無事すべて相続財産を獲得できた事例
遺産相続で弁護士に相談する前に準備すべきこと
弁護士に依頼する前に、誰が相続人なのか・どんな財産があるのか・どの点で悩んでいるのかを整理しておくことで、相談内容が明確になり、初回面談の時間を有効に使えます。
ここでは、相談前に準備しておきたい3つのポイントを紹介します。
- 相続関係図と財産のリストアップ
- 家族・親族間の話し合いの有無を整理
- 相談の目的や優先順位を明確にする
相続関係図と財産のリストアップ
最初に整理すべきことは「誰が相続人なのか」と「どんな財産があるか」です。
相続人は戸籍に基づいて確定するため、家系図のようにまとめた相続関係図があると、弁護士が全体像を把握しやすくなります。
財産についても、預貯金や不動産だけでなく、借金や保証債務などの負債も対象です。
<事前に整理しておくと良いこと>
- 被相続人との続柄がわかる相続関係図
- 預貯金・証券・不動産などの財産一覧
- 借金・ローン・保証など負債の有無
- 概算額・金融機関名・不動産所在地 など
財産の全体像が把握できなければ、相続放棄や分割内容の判断を誤るおそれがあります。
分かる範囲で、整理してから相談することで、弁護士が適切な方針をスムーズに提案できるようになります。
【関連記事】遺産相続で兄弟姉妹が相続人になるケースは?相続割合や兄弟でもめやすい事例を解説
家族・親族間の話し合いの有無を整理
遺産相続は、法律問題であると同時に、家族間の感情や関係性が深く影響する領域のため、「誰と、どの程度話し合ったか」を整理しておくことが重要です。
内容がまとまっていない場合でも、弁護士が状況を把握しやすくなります。
<事前に整理しておくと良いこと>
- 誰と、どんな話をしたか
- 争点になっている点・意見の食い違い
- 連絡がつかない相続人の有無
- 介護・援助の負担に偏りがあったか
家族間での話し合いの有無を共有することで、弁護士は「どこが対立点か」「どこに解決の余地があるか」を判断できます。
話しづらい背景事情も、遠慮せず伝えて良い場面です。
相談の目的や優先順位を明確にする
弁護士への相談は、困っている点と望む結果が明確であるほど、解決への道筋が短くなります。
目的が曖昧なままでは、提案できる選択肢が広すぎて、方針が定まりにくくなります。
<目的の伝え方の例>
- 最優先:特定の不動産を自分が取得したい
- 譲れない点:相続人同士で揉めたくない
- 譲れる点:金額面はある程度調整可能
- 達成したい状態:早期に話し合いを終えたい
「何を優先したいのか」「何が不安なのか」を整理することで、弁護士は依頼者に合った、実現可能な解決方針を提案できるようになります。
遺産相続を弁護士に依頼したときの費用相場
費用は一律ではなく、相続財産の金額や依頼内容の範囲によって変動します。
基本的な内訳と相場を知っておくことで検討しやすくなるでしょう。
ここでは、弁護士費用の構成と、実際に誰が負担するのかを分かりやすく解説します。
相談料・着手金・報酬金・日当などの内訳
弁護士費用は「いつ・何に対して支払うのか」が明確に分かれています。
特に、相談だけで費用が発生するのか、依頼後に発生するのかが誤解されやすいポイントです。
一般的な相続案件では、以下のような費用構成になります。
| 費用項目 | 内容 | 相場の目安 |
| 相談料 | 初回相談時に支払う費用 | 30分あたり約5,000円(※初回無料の事務所も多い) |
| 着手金 | 依頼を正式に引き受ける際に支払う費用 | 20~30万円前後 |
| 報酬金 | 解決・合意成立などの成果に応じて支払う費用 | 得られた利益に応じて変動 |
| 手数料 | 書類作成など特定の業務に対して発生する費用 | 内容により異なる(例:遺言書作成10万円~) |
| 実費・日当 | 郵送費・証明書取得費・出廷の移動費など | 実費+日当は事務所により異なる |
相談料は「相談のみ」にかかる費用で、30分5,000円前後が目安ですが、初回無料の事務所もあります。
着手金は遺産分割協議の代理や相続放棄手続きなど、実際の対応を開始する際に必要な初期費用で、20~30万円前後が一般的です。
問題が解決した後には、得られた経済的利益に応じて報酬金を支払います。
以下は、日本弁護士連合会がかつて定めていた弁護士費用の目安です。
| 経済的利益 | 報酬金 |
| 300万円以下 | 16% |
| 300万円~3,000万円 | 10%+18万円 |
| 3,000万円~3億円 | 6%+138万円 |
| 3億円超え | 4%+738万円 |
【参考】(旧)日本弁護士連合会報酬等基準
現在廃止されている基準ですが、当時の報酬金設定のままにしている法律事務所も多くあります。
また、書類作成などにかかる手数料や、郵便代・交通費といった実費・日当が別途必要になる場合があります。
支払い方法や見積りの提示に対応している事務所も多いため、初回相談時に費用体系を確認すると安心です。
【関連記事】相続手続きにかかる費用はどれくらい?依頼した場合の費用相場も解説
費用は誰が払う?個人負担 or 相続人全体?
弁護士費用は、「誰が何を依頼するのか」によって負担者が異なります。
基本的には、遺産分割協議の代理や遺留分侵害額請求など、自分の権利を守るために弁護士へ依頼した場合は、その依頼者本人が費用を負担します。
一方で、遺言の内容を実際に執行するための手続き(遺言執行)を弁護士に依頼した場合は、費用は相続財産から支払われます。
そのため、相続人全員が負担する扱いになります(民法1021条)。
| 手続き・依頼内容 | 費用を支払う人(依頼者) | 理由 |
| 遺産分割協議の代理 | 依頼した相続人本人 | 自分の相続分を主張するための依頼のため |
| 遺留分侵害額請求 | 侵害を受けた側(請求者) | 自らの権利回復のための請求になるため |
| 相続放棄の手続き | 相続放棄を行う本人 | 個人の法的意思表示のため |
| 遺言書の作成 | 被相続人(遺言者) | 自身の意思を残す手続きのため |
| 遺言執行の依頼 | 相続人全員(相続財産から支払う) | 民法1021条「遺言執行費用は相続財産から支払う」 |
遺言執行費用が相続人全体の負担になるのは、遺言執行が相続人全員に共通する手続きであり、誰か一人の利益に偏るものではないためです。
相続財産から執行費用を支払ったうえで、残りの財産を相続人で分配する流れとなります。
費用負担は依頼内容と立場によって変わるため、以下を整理しておくと、費用の見積りが明確になり、後々のトラブルを避けられます。
- 何を弁護士に任せたいのか
- 自分だけに関わる手続きか、相続人全体に関係するものか
【関連記事】遺産相続の弁護士費用の相場|誰が払う?払えない場合の対処法なども解説
遺産相続に強い弁護士の選び方5つのポイント
遺産相続の相談先を選ぶ際は、「誰に頼むか」で結果が大きく変わります。
弁護士であっても相続に強いかどうかには差があるため、実績・対応力・費用の透明性などを見極めることが大切です。
ここでは、失敗しない弁護士選びのポイントを5つ解説します。
- 実績・専門性の高さで選ぶ
- 相談の丁寧さ・親身さを確認
- 料金体系の明瞭さをチェック
- アクセスや対応のしやすさも重要
- 複数相談で比較検討する
実績・専門性の高さで選ぶ
遺産相続の弁護士選びでは、相続事件の解決実績が最も重要です。
弁護士といっても取り扱い分野は広く、刑事事件や企業法務を中心に扱う弁護士では、相続特有の交渉・調停・遺留分計算などに十分な経験がない場合があります。
相続は「家事事件」と呼ばれる分野で、遺産分割協議、遺留分侵害額請求、遺言無効確認、相続放棄などは、家庭裁判所での手続きや専門的な評価・立証が求められます。
相続に強い弁護士は、過去の事例や解決までの方針を明確に説明できます。
弁護士を選ぶ際は、公式サイトに相続分野の実績が掲載されているか、調停・審判や訴訟まで対応しているかを確認すると安心です。
<実績・専門性を見極めるポイント>
- 相続分野の解決事例が明示されているか
- 家庭裁判所の調停・審判まで対応できるか
- 特別受益・寄与分など相続特有の判断に慣れているか
相談の丁寧さ・親身さを確認
遺産相続は、家族関係・価値観・感情が深く影響するため、弁護士の「人としての対応力」も重要です。
法律知識が豊富でも、依頼者の話を丁寧に聞かず、一方的に結論だけを伝える弁護士では、十分な解決にはつながりません。
良い弁護士は、事実関係だけでなく、家族内の微妙な関係性や「何を優先したいか」という気持ちに耳を傾けます。
「今できること」と「将来起こりうるリスク」までわかりやすく説明してくれる弁護士なら安心して任せられます。
初回相談の段階で、誠実さや寄り添い方を確認することが重要です。
<丁寧さを見極めるポイント>
- 相談者の話を遮らず、状況・経緯・気持ちを丁寧に聞き取る
- 法律用語ではなく、一般的な言葉で理解しやすく説明する
- 結論を急がず、複数の解決パターンを示して比較してくれる
料金体系の明瞭さをチェック
弁護士費用は事務所ごとに幅があるため、「いくらかかるのか」は重要な判断ポイントです。
着手金・報酬金・手数料・実費などの費用項目が曖昧なまま契約すると、想定より高額となり、依頼後に不安が生じやすくなります。
相続に強い弁護士は、依頼内容に応じて費用の根拠を明確に説明でき、見積もりも事前に提示してくれます。
また、分割払い・段階的な依頼など、負担を軽減する提案ができるかも重要なポイントです。
相談の段階で疑問が解消されない場合は、その場で契約する必要はありません。
他の弁護士にも相談することで、自分が安心して任せられる相手かどうかを確かめられます。
<納得して契約できるかを見極めるポイント>
- 依頼前に 費用項目と見積もりを提示 してくれる
- 「なぜその金額になるのか」 根拠を説明できる
- 費用の支払い方法について 柔軟に相談できる
アクセスや対応のしやすさも重要
遺産相続の相談は一度で終わらず、打ち合わせや書類確認など、継続的なやり取りが必要です。
そのため、事務所へのアクセスの良さや、連絡へのレスポンスなど「相談しやすさ」は大きな差になります。
遠方の場合でも、オンライン面談や電話相談に対応している弁護士なら、時間や移動の負担を抑えられます。
さらに、メールやチャットで状況共有ができる事務所は、進行がスムーズです。
「話しやすさ」「連絡のしやすさ」は、解決まで安心して任せられるかを判断するうえで重要なポイントになります。
<利用しやすさを見極めるポイント>
- 事務所への交通アクセスが良い
- オンライン相談に対応している
- レスポンスが速く、スタッフ間で情報が共有されている
複数相談で比較検討する
遺産相続の弁護士選びは、一人目で決める必要はありません。
同じ相続問題でも、弁護士によって提案の方針・説明のわかりやすさ・費用の考え方は大きく異なります。
複数の弁護士に相談することで、自分の状況をどう整理してくれるのか、どのような解決の道筋を示してくれるのかを比較でき、納得して依頼先を決めやすくなります。
また、一度ほかの弁護士の意見を聞くことで、「本当に調停に進むべきか」「交渉でまとまる可能性はあるか」など、選択肢の幅が広がることもあります。
初回相談が無料の事務所も多いため、焦らず安心して任せられる弁護士を見つけることが重要です。
遺産相続に強い弁護士を探す方法
遺産相続に強い弁護士を探す際は、「どこで探すか」と「どう見極めるか」を明確にすることが大切です。
弁護士は専門分野が分かれるため、相続事件を日常的に扱っているかどうかが決め手になります。以下の方法を組み合わせて検討してみましょう。
| 探し方 | 特徴 | 向いている人 |
| 法律事務所の公式サイトから探す | ・解決事例や方針が確認できる ・相続特化か判断しやすい |
じっくり比較したい人 |
| 弁護士会の相談窓口を利用する | ・中立的な紹介が受けられる ・相談料が定額のことが多い |
初めてで探し方が分からない人 |
| 自治体の無料法律相談を利用する | ・無料で相談可能 ・予約制が多い |
費用を抑えてまず状況を整理したい人 |
| 弁護士に特化した検索サイトを利用する | ・全国の相続に強い弁護士を24時間比較検索できる ・実績や料金を一覧で比較可能 |
効率的に信頼できる事務所を探したい人 |
迷う場合は、弁護士検索サイトを利用するのがおすすめです。
検索サイトなら、法律事務所を一件ずつ探すよりも、最初から「相続に強い弁護士だけ」に絞って比較できます。
<弁護士検索サイトのメリット>
- 相続問題に対応する弁護士だけを 自動で絞り込める
- 24時間、スマホで全国の弁護士を比較できる
- 解決事例・注力分野・料金が 一覧で見やすい
- そのまま 無料相談の予約 まで進められる
複数の弁護士を見比べることで、「この人なら任せられる」と思える相手に出会いやすくなります。
【関連記事】相続トラブルに強い弁護士の選び方は?相談するメリット・弁護士費用を解説
遺産相続を弁護士に相談するまでの流れと進め方
遺産相続の相談は、何から始めればよいか分からないまま時間だけが過ぎてしまうことがあります。
しかし、相談から解決までの流れはそれほど複雑ではありません。
事前に進め方を知っておくだけで、落ち着いて手続きを進められます。
ここでは、弁護士に相談する際の一般的な流れをわかりやすく整理します。
- 現状を整理する
- 弁護士を検索・比較
- 無料相談を予約する
- 必要書類を持参して相談
- 方針を確認して契約へ
ステップ1:現状を整理する
相談の前に、相続人の関係や財産の概要を簡単に整理しておくと、状況を説明しやすくなります。
家族関係、被相続人との続柄、財産の種類(預貯金・不動産・株式など)、借金の有無など、分かる範囲で構いません。
完璧にまとめる必要はなく、「わかっていること」と「まだ不明なこと」を分けて紙に書き出すだけで十分です。
整理が不十分な部分は、相談時に弁護士から必要な情報を案内してもらえるため、最初から無理にすべてを調べようとしなくて大丈夫です。
ステップ2:弁護士を検索・比較
遺産相続に強い弁護士を選ぶには、複数の候補を比較することが大切です。
弁護士にはそれぞれ得意分野があり、相続事件を日常的に扱っているかどうかで対応力が変わります。
法律事務所のサイトを一つずつ見ても構いませんが、効率よく探したい場合は、相続分野に対応した弁護士だけを絞って検索できる弁護士検索サイトが便利です。
実績・対応エリア・相談方法・費用などを一覧で比較できるため、「どの弁護士に相談してみるか」を落ち着いて検討できます。
焦って一人に決める必要はなく、候補を2〜3名ほど挙げることを目安にしましょう。
ステップ3:無料相談を予約する
候補を絞ったら、まずは無料相談に申し込みます。
初回相談では、現状の整理、解決の方向性、想定される手続きの流れ、費用の目安などを聞くことができます。
この段階で大切なのは、「話しやすいか」「質問に丁寧に答えてくれるか」といった相性です。
法律の説明が分かりやすいか、こちらの状況を丁寧に聞き取ってくれるかを確認しましょう。
相談を受けたからといって、必ず依頼しなければならないわけではありません。
ステップ4:必要書類を持参して相談
相談の際に持参できる資料があれば、話がスムーズに進みます。
<持参できるとよいもの>
- 戸籍謄本や法定相続情報一覧図
- 預貯金・不動産・株式など財産が分かる資料
- 相続人の関係が分かるメモ
弁護士は、不足している資料やこれから調べるべきことを整理してくれるため、まずはあるものだけ持っていけば大丈夫です。
ステップ5:方針を確認して契約へ
相談の中で提示された方針・進め方・費用の説明に納得できれば、契約に進みます。
もし不安や迷いが残る場合は、その場で契約する必要はありません。
いったん持ち帰り、ほかの弁護士にも相談して比較してみることで、安心して任せられる相手を選ぶことができます。
【関連記事】遺産相続を弁護士に依頼した場合の流れと費用|弁護士の選び方についても解説
遺産相続に関する弁護士以外の相談窓口
相続では複数の専門家が関わることがありますが、どこまで対応できるかは法律で明確に定められています。
特に、相続人同士の交渉・調停・訴訟の代理は、弁護士だけが行える業務です(弁護士法72条|非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)。
ただし、必ずしも最初から弁護士に依頼する必要はありません。
税務、登記、書類整理など、争いがない場面では他の専門家のほうが適しているケースもあります。
「どこまで誰に頼めるか」を知ることで、ムダな依頼や遠回りを避けられます。
税理士:相続税や節税対策
税理士は、相続税の計算や申告、節税のアドバイスを行う専門家です。
相続財産の評価額や生前贈与の扱いによって、税額は大きく変わることがあります。
税金に関する判断が必要な場面では、税理士に相談することで、無駄な税負担を避けられます。
ただし、相続人同士の交渉や代理行為はできないため、争いがある場合は弁護士が必要です。
<税理士に依頼できること>
- 相続税の申告手続き
- 不動産・株式などの評価額算定
- 生前贈与や名義預金の整理
- 節税を考慮した遺産の分け方の提案
司法書士:不動産の相続登記
司法書士は、不動産の名義変更(相続登記)を法律上の代理権を持って行える専門家です。
相続人間で遺産分割がすでにまとまっており、手続きを正確かつスムーズに進めたいときに最適です。
必要書類の準備や法務局での手続きも任せられるため、実務負担を大きく減らせます。
ただし、話し合いがまとまっていない段階では対応できません。
<司法書士に依頼できること>
- 不動産の相続登記
- 名義変更に必要な書類作成
- 法務局への提出手続き代行
行政書士:遺言書作成や死後の事務作業
行政書士は、役所や金融機関に提出する書類作成を主に担当する専門家です。
相続に関する事務処理が多く、どこから手をつけるべきか困っている場合に役立ちます。
自筆証書遺言の作成サポートや、口座解約・保険金請求などの手続きを進めたいときに有効です。
ただし、相続人同士の調整や代理交渉は法律上できません。
<行政書士に依頼できること>
- 自筆証書遺言のサポート
- 相続手続きの書類整理と案内
- 死後事務(口座解約・保険請求など)の補助
自治体の無料相談窓口も活用できる
相続について「誰に相談すべきか」段階で迷っている場合は、自治体の無料法律相談や法テラスを利用するのも有効です。
費用を抑えて専門家に方向性を聞けるため、最初の情報整理に適しています。
ただし、実際の交渉や手続きが必要な場合は、専門家への正式依頼が必要になります。
<こんなときに有効>
- まず状況を整理したい
- どの専門家に依頼すべきか判断したい
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遺産相続に関する最新の法改正情報
遺産相続の制度は、家族形態・人口構造・財産の性質の変化に応じて見直しが進んでいます。
祖父母・両親の時代とは異なり、現代では単身世帯の増加、都市部への移住、金融資産や不動産の多様化が進んでいます。
こうした社会環境の変化に対応するため、2023年・2024年に重要な改正が施行されました。
ここでは、新しく民法で義務化された制度を解説します。
2023年4月施行4つの新ルール
2023年4月の民法改正では、相続手続きが何年も放置され、トラブルが複雑化することを防ぐためのルールが導入されました。
親族の所在不明や、遺産分割の話し合いが進まないまま時間だけが経過してしまうケースが増えたことが背景にあります。
| 改正ルール | 内容 | ポイント |
| 遺産分割に期限が設定 | 原則、相続開始から10年以内に分割を完了する必要がある | 「いつか話し合う」では手遅れになる |
| 相続土地国庫帰属制度 | 管理できない土地は条件付きで国に引き渡せる | 不要な土地の負担を避けられる |
| 所在不明の相続人がいる場合の特則 | 裁判所を通じて手続きを進められるようにした | 親族が連絡取れなくても遺産分割が可能に |
| 相続放棄した人の管理義務の明確化 | 相続放棄後も「最低限の管理」は必要 | 放棄すれば完全に無関係になるわけではない |
相続は「放置するほど不利になる時代」になっており、必要な手続きを早めに進めることが重要です。
改正によって弁護士に依頼するメリットが大きくなったと言えます。
2024年施行2つの新ルール
2024年は、相続に関わるルールが大きく転換した年です。
相続手続きを「放置しないこと」「短期で節税しないこと」を目的とした法改正が行われました。
不動産の名義変更(相続登記)は義務となり、生前贈与による節税は長期的な設計が必要になっています。
| 改正ルール | 何が変わったか | 影響・ポイント |
| 相続登記の義務化 | 不動産を相続したら、3年以内に登記申請が必須。放置すると10万円以下の過料。 | 「名義変更は後で」は不可に。相続開始後、早めの対応が必要。 |
| 生前贈与の持ち戻し期間延長 | 贈与財産を相続税の計算に加える期間が3年 → 7年に延びた。 | 「とりあえず生前贈与」での節税が難化。資産計画は長期目線に。 |
相続は「いつかやる」ではなく、期限と税制を踏まえて計画的に動く必要がある手続きへと変わりました。
【関連記事】2024年に相続登記が義務化!義務化されたらこうなるをいち早く紹介
遺産相続に関するよくある質問(FAQ)
遺産相続では、費用や手続き、どこに相談すべきかなど、判断に迷いやすい点が多くあります。
ここでは、特に相談の中で質問が多い内容を簡潔にまとめました。
弁護士費用は誰が払うの?
原則として、弁護士に依頼した人が支払います。ただし、どの手続きを弁護士に依頼したかによって「依頼者」は異なります。
例えば、遺留分侵害額請求や相続放棄の申立ては、請求した人・申立てた人が負担します。
一方、遺言の執行を弁護士に依頼した場合は、民法第1021条により、費用は相続財産から支払われます。
つまり、この場合は 相続人全員で費用を負担する形です。
依頼から解決までの期間は?
相続問題の内容によって大きく変わります。
早期に弁護士へ相談するほど、短期間で解決できますが、放置すると財産調査や証拠確保が困難になりやすいため、期間が長引く傾向です。
| ケース | 目安期間 | 状況の例 |
| 話し合いのみで解決 | 1〜3ヶ月程度 | 相続人同士の対立が小さい場合 |
| 調停に進む場合 | 3〜12ヶ月程度 | 財産内容や取り分に争いがある場合 |
| 訴訟に発展した場合 | 1年以上 | 遺言無効・遺留分侵害など争点が複雑な場合 |
地元で信頼できる弁護士を探す方法は?
地元で弁護士を探す方法としては、新聞・広報誌の法律相談案内、自治体の無料相談、Google検索などが一般的です。
しかし、「地元にいる弁護士」=「相続に強い弁護士」ではありません。
そのため、先に相続問題を多く扱っている弁護士を絞ってから、その中で地元の事務所を選ぶのが良いでしょう。
弁護士検索サイトを使えば、同じ地域内でも「相続に強い弁護士」だけを比較できるのでおすすめです。
弁護士に丸投げしても対応してもらえる?
可能です。相続人への連絡、協議の進行、調停・裁判での出席、必要書類の収集まで、弁護士が代理して進められます。
ただし、最初の相談時に必要な情報は共有する必要があります。
- 相続関係(家系)
- 財産の有無や心当たり
- 希望する解決方針
「手続きは任せたい」「精神的負担を減らしたい」という方も、弁護士に依頼することで安心して進められます。
まとめ|遺産相続の悩みは弁護士に早めの相談を!
遺産相続は、財産の種類や相続人同士の関係によって複雑になりやすく、進め方を誤ると長期化や対立に発展することがあります。
弁護士に相談すれば、遺産分割の交渉や調停・訴訟、遺留分・寄与分・特別受益の整理、相続財産の調査まで、一連の手続きを任せることができます。
とくに、不動産が含まれる場合や話し合いがまとまらない場合は、早期の介入が有利です。
地元で相談したい場合も、まずは「相続に強い弁護士」を検索サイトで絞り込むと、適切な相談先を見つけやすくなります。
迷いを感じた段階で、早めに専門家へ。これが相続トラブルを防ぐ第一歩です。
